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25.自分達が上の立場になればいい!!(SIDE:ウール)

それで一国の財務部の長代理……

これは本人の才覚か、はたまた中がどうしようもなく腐ってて他にマシなのいなかったからか……


果たしてどちらなのかwww

 “自分達が上の立場になればいい!!”



 そのための手段として、知識を得るための勉強に励む事を提案。それを皆が賛同してくれた。

 特に貴族子息でもあるフェルトまでも賛同してくれたのは大きい。彼は父であるギスカーン子爵に頼みこんで皆のために家庭教師を手配してくれたのだ。


 ギスカーン子爵は勘当も辞さないほどのドラ息子が勉学に意欲をみせてくれた事を純粋に喜んでくれた。息子が平民や孤児と共に学ぶ事を嫌悪するどころか、逆に息子の意識を良い方向に変えるきっかけとなった学友として見てくれた。望むのであれば子爵家で雇う事も検討するっとまで言ってくれたのだ。


 こうして学ぶ機会を得たウールだが、どうやら商売事に才能があったようでメキメキと頭角を現した。


 クラーラと同じく経理どころか商談にも同行させてもらえるほどの教養を得るも……


 クラーラには敵わなかった。

 訓練と称した疑似的な商談も大体はコテンパンに叩きのめされて終わり。



 だが、ウールはへこたれなかった。


 敗因を分析し、さらなる上を目指すためより専門的な知識を求めた。


 その頃には都合よく商業ギルドに優秀な教師……

 なんでも王立学園の腐敗した実態に嫌気がさしたとかで、辞表を叩きつけてきた一流の教師達が新たな教え子を求めて商業ギルドを訪れてくれたのだ。


 ウールは彼等一流の教師から教えを……王宮勤めの官僚を何人も送り出した実績を持つ一流教師から教えを受けた事でさらにレベルアップ。


 同年代の中でもトップクラスの成績を出し、王宮へと召し仕えるほどにもなった。



 元孤児が王宮勤め……



 本来ならありえないほどの立身ができたのは何も成績だけでない。

 クラーラが王太子妃でもある義姉アーデルにウールを推薦したというコネによる部分が強いのだろう。


 クラーラはウールを遥か高みへと引き上げてくれた恩人である。

 だが、それと同時に……


 ウールの超えるべき壁である。



 昔から今まで一度も勝てなかった商談。


 中には勝ったものこそあれど、それは彼女の思惑通りのものだ。

 端からみれば勝利だろうとも、彼女の手のひらで転がされたのであれば敗北だ。


 いわゆる試合に勝って勝負に負けたというものであり、そういう意味ではウールは一度も勝ってない。


 ……


 …………


 ………………




 改めてクラーラをみたウール。彼女は外見こそ成長しても本質は昔と変わらない。

 にこやかに笑いながらも、その目は獲物を見定める肉食獣のそれ。

 隙あらばその喉元に噛みつき、引き裂きにかかる獰猛な獣の目である。


 良くも悪くも平等な彼女は勝負事に手を抜かない。

 特に実力や覚悟を認めた者相手には全力で叩き潰しにかかる。


 ぺんぺん草一本生えないぐらいに、徹底的に容赦なく……!!



(大丈夫だ……俺はあの時と違う。王宮勤めとなり、アーデル様やロッテン様と……帝国の学園に留学したという皆さまと共に第一線で戦ってきた。幾多もの激戦を繰り広げてきたんだ。その成果を今見せないで……どうする!!!)




 そう強く決意したことで、身体の振るえは止まる


「わかりました……いや、わかった。久々ながらも一勝負といこうか」


「もっちろん、言うまでもなく手加減しないからね。ウール君」


 あえて昔の口調に戻しながら手を差し伸べたらクラーラは躊躇なくその手を握り返してくれる。

 その際にちらっとアーデルをみるも、彼女はまだ血の海に沈んでいた。


「大丈夫、お義姉ちゃんはこの程度で怒るほど見境なしじゃないから……たぶん?」


「たぶんって、もし怒ったらどうするつもりだったんだ?」


「ん~……そこの窓めがけて投げ飛ばす」


「まてぃ!!ここ5階だぞ!!!窓めがけて投げたら落ちるだろ!!!」


「落ちるけどそれがどうしたの?」


「問題ありまくりだ!!!」


「大丈夫。お義姉ちゃん頑丈だし5階から落ちた程度で死なないでしょ……たぶん?」


「そういう意味じゃなぁぁぁぁい!!仮にも王太子妃様が窓から落とされるという事態そのものがまずいんだよぉぉぉぉぉぉ!!!!」


「それこそ大丈夫。何かあってもロッテンさんが後片付けしてくれるから」


「私の影をそんなくだらない事に使うな!!!」



 ごちん!!!



 返答と同時に拳骨が落とされた。

この義姉妹+親友は素だと大体こんな感じらしい?

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― 新着の感想 ―
[良い点] バイオレンス!ソダチスギだよ(笑) [一言] 「以前のオレとは一味違うぜ!」      人、それをフラグと云う。
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