20⑨.一体どういう事だ!!説明しろ!!! ※ クズ7度目のざまぁ回(その2)
裏切り者にかける言葉といえば、まぁこれだよねぇ……
もっとも、南瓜さんにとっては最初っからクズの味方になったつもりはないとかで裏切りと思ってなさそうだけどw
“な、なんだ……一体何が起きたんだ!?”
クズは驚きの余り、目を開けて周囲を探った。
目を閉じる前は全てが闇一色の世界だったが、今は闇の中のある一点がほのかに輝いていた。
その光に釣られるようにして目を凝らせば、そこに居たのは……
「ほぉぉ……首を斬られてから約10分の間痛みもなく平然と居られるとは、さすが料理を極めたアーデル嬢の“祝福”が込められた聖剣。抜群の切れ味ではないか」
「首を斬られても斬られたという実感なく生き続ける……食材を裁く際には重宝できる切れ味ですが、処刑相手に使えば生首状態のまましばらく生き続ける事を強要させるという、まさに相手を『しょくざい』に見立てての『しょくざい』を促すための聖剣ですね」
「こらチャカボ、誰がうまい事いえと」
「くっくっく。知らなかったのですか?バニラさん。ボスの幼馴染とかいう名工は腕もさる事ながら、非常に遊び心溢れるユーモアな人物だったそうです。なので武器にもうまいこと言わせてしまう仕掛けを施すのは必然でしょう」
「……そういえば、あのお方の本質は三つ子の魂100歳までを証明してしまうほどに幼少期から対して変わってないという話だったな。そんなお方から幼馴染と称されるほどに仲が良かった名工という人物は…………ああ、うん。審判の神ブラッド様の気苦労が改めてよくわかってしまったよ」
天使らしく羽と輪から光を放出させているバニラと異形の悪魔の姿に戻ったチャカボが仲良く談話する姿であった。
二人はそれぞれ疲れ切った顔とどや顔という違いはあるも、クズを見下してる事に関しては一致していた。
“一体どういう事だ!!説明しろ!!!”
クズは力いっぱい叫んだつもりなのだが、生首状態だから声を発する事なんて出来ない。
端からみれば口パクだけにしかみえずとも、二人には通じたようだ。
チャカボが処刑前の敬う姿勢から一転、完全に見下すような口調で問いかけてきた。
「どういう事とはどういう意味でしょうか?」
“この状況だ!!説明しろ”
「この状況と言われましてもねぇ。見ての通り、デルフリ様。貴方は生首のまま生き永らえてる以上の説明が必要でしょうか?」
“だったらなぜこんな状況になってる!!まさかアーデルが”
「そんなわけなかろう!!お前が生き永らえてるのは慈愛の女神カプリス様の力によるものだ!!!」
“なんだと!?どういうことだ!!”
「わかりやすくいうと、貴様は首を斬られても死なない不死身の身体になってるということだな」
その後、バニラはなぜそうなってるのかの仕組みを淡々と説明するもクズはそれどころではない。
なにせ不死身といっても痛覚はそのまま。文字通りの死ぬような苦痛に襲われているのだ。
こんな生き地獄とも言えるような状態では大人しく話が聞けるわけない。
もちろんバニラもそれは承知している。
だが、わかった上で説明していた。
ついでにいえばその説明も『聖剣で負った傷は治せない』やら『五感はそのまま』やら『精神も絶えずケアさせてるので常に正気が維持される』っと、まさにパンドラの箱のごとき絶望が垂れ流されてるので、真面目に聞かなくて良かったであろう。
それにバニラは腐っても慈愛の女神に仕える天使。
「心配するな。私の主カプリス様は慈愛の女神。例えお前のようなどうしようのないクズでも情けを与えられている。よって、その不死身の身体も30日間という期限が儲けられている。30日後には死を迎えるので安心するがいい」
最後の最後に欠片程度の希望を用意してる辺り、バニラの説明は本当にパンドラの箱だった。
もっとも、話をまともに聞いてないクズはのたうちまわりながら要望を……
『今すぐこの痛みをなんとかしろ!!』っと叫ぶのみ。
その様はまさに生き地獄そのものといっていい有様だろう。
だが…………
身内から残虐非道と称されているチャカボ……いや、チャカボの主であるクレアにクズを生き地獄へと落とすよう依頼した張本人。クズが今現在苦しみもがく羽目となっている元凶ともいえる慈愛の女神カプリスにとって、痛覚が残った生首状態での生の強制など生き地獄の入口程度にしか捉えていなかった。
真の生き地獄。カプリス自身も自覚してる私怨での“人誅”はこの先にこそ用意されていたのである。
地獄よいとこ一度はおいで♪₍₍ ◝('ω'◝) ⁾⁾ チョイナチョイナ♪₍₍ (◟'ω')◟ ⁾⁾




