208.俺はここで死んでもいずれ大魔王に生まれ変わって戻ってくるぞ!!(SIDE:クズ) ※ クズ7度目のざまぁ回(その1)
カオス(マイスター)が居る限り、俺は何度でも蘇る!!
生き地獄を乗り越え、必ずや王国に……!!
俺は帰って来るぞ!!
ウゥゥゥゥゥウゥ……
ウゥボゥァアアァァァアァァァ!!
“29日間の拷問お疲れさまでした。翌日には処刑されますが、処刑されたその瞬間にデルフリ様は魔王を超える魔王。大魔王としての力を得る資格を得るでしょう”
処刑前日、クズは精神世界で相対している悪魔チャカボの言葉を何の疑いもなく信じていた。
クズは調停式の翌日から毎日の容赦ない拷問……もう殺す気としか思えない程の拷問を受けていたが心身はぴんぴんだった。
当然だろう。
拷問中のクズは身体こそクズでも、精神が別人……いや、別悪魔なのだからクズ自身に苦痛は一切なし。
それどころか、拷問中は酒池肉林ともいうべき歓待を受けていたのだ。
その立役者となってくれたのがチャカボだった。
チャカボはこの一か月、クズの傍にて数多の欲望を満たしてくれた。
頻繁にやってくる天使の皮を被った悪魔も追い払い続けてくれた。
クズにとって彼は悪魔ではない。悪魔の皮を被った天使といってもいいほどに信頼していた。
そんなチャカボの言葉だ。
信じない要素なんてどこにもない。
クズは彼の言葉を何の疑いもなく信じていた。
信じていたからこそチャカボからの提案。
大魔王として復活する際はその場で即座にでなく、時間差で蘇るという案も最初こそ戸惑ったが利点を……
アーデル達にはいつ復活して復讐に来るかわからないという恐怖を煽る事が出来る利点を懇切丁寧にわかりやすく説明してくれた事もあって素直に受け入れたのだ。
「ははは!!やはりお前は最高だ!!改めて聞くが俺の部下にならないか?」
「光栄ですが、私の主はただ一人と決めておりますので辞退させてもらいます」
「そうか。それは残念だな……」
口でこそ残念というも、内心では腹立たしく思っていた。
いついかなる時でも自分が一番敬われるべき存在っと信じて疑わないクズの虚栄心はある結論に達する。
それは……
(よし、大魔王となった際にはまず最初にチャカボの主を殺そう……それでってまてよ?)
「そういえば、チャカボの主は女と言ってたよな?」
「えぇ。その通りですが、それがどうしたのでしょうか?」
「いや、なんでもない。聞きたかっただけだ」
クズは平静を装ってるつもりでも、実際はモロ顔に出ていた。
チャカボの主を殺すのではなく徹底的にいたぶって屈服させたいという想いをありありと表情に出させていた。
っというか……
「そうかそうか。ならチャカボを手に入れるだけでなく、その主の女をいたぶって屈服させてやるという楽しみまで出来るわけだ。これぞまさに一石二鳥という奴だな」
表情だけでなく、声まで出していた。
そんなクズの企みだが……
常日頃から人間達の欲望に付け込んで様々な悪事を働いて来たチャカボと接待悪魔達を統括してたガングロ姉妹にとっては、例えクズが表向きのポーカーフェイスでだんまりを決め込んでいようともお見通しだった。
だが、3人はあえて気付かないふりをする。
「ほっほっほ。神々を束ねる立場であられる審判の神様から説教を通り越した折檻を何度食らっても全く堪えないあのボス相手を屈服させるなど、できるわけないでしょうに」
「全くその通りよね。大体、大ママって戦乱の神々を素手でぼっこぼこにできるぐらい強いんでしょ」
「そんなお方に下種な欲望丸出しで挑むだなんて、命知らずにもほどがあります」
「こらこらお二人とも。欲望丸出しの命知らずなクズがいるからこそ、こんな美味しい仕事にありつけるのですよ。ここは馬鹿にするのではなく感謝しましょう」
「感謝かぁ……個人的には嫌だけど、ま~私達もこういったクズが居てくれるからこそウハハ~な想いできるわけだし、そういう意味でなら感謝もやぶさかじゃないかな」
「私も善人を誑かすのは未だにちょっと抵抗ありますが、悪党相手なら遠慮なくやれますし……その点だけはこのクズのクズっぷりに感謝します」
こうしてクズは自分の失態を……
悪魔達が忠誠を誓う主に害を与える宣言という、本来なら即座に制裁を食らっても当然のやらかしを行ってるのに、その主に害を与えられるわけがないっという信頼からあえて見逃されてる事に気付かないまま……
大魔王になって全てを手にするという妄想を描いたまま処刑に挑んだ。
処刑場に連れて来られたクズは泰然自若とした態度で民衆に向かって前日に考えた……実際に考えたのはチャカボでしかもカンペ有りな……宣言を行う。
「聞け!!アーデル、そして愚民共よ!!!俺はここで死んでもいずれ大魔王に生まれ変わって戻ってくるぞ!!戻った際には俺に与えた屈辱を何倍にもして返してやるから、その日が来るのを楽しみにしておくがいい!!!!はっはっはっはっはっはっはっはっh」
どこまでも傲慢な態度を貫きながら、実の父であるトビアスの手でもって……
ザシュッ!!
首を斬られた事でクズの視界が回転する。
首だけになろうとも意識だけは残っていたクズは、自分の頭が宙を舞って予め用意されていた壺の中に入ったという自覚は出来た。
まるでゴミのような扱いだとクズは憤慨するも、この怒りは後で倍返しすればいい。
そう思う事で怒りを沈め、暗闇の中で目を瞑る。
次に目が覚めた時は大魔王に生まれ変わった時。
クズは大魔王となった自分を思い浮かべながら、その瞬間が来るのを待っていた。
だが、そんな瞬間はいつまで経っても訪れない。
それどころか……
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
唐突に襲われた痛み。
首筋から激痛という言葉では到底収まりきらない、嘘偽りなく死ぬような痛みが前触れなくクズに襲い掛かってきたのであった。
Welcome to The Living Hell!!
このイカれた地獄へようこそ♪
君は(゜∀゜)<waste boy waste boy waste boy waste boy……




