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204.クラーラに美味しいモノを食べさせて、健康を取り戻させる!!(SIDE:アーデル)

さぁ、これが私の料理!!

昨日の病人も今日は『国士無双』の大豪傑!!


その名も超こってr「病人にそんなもん食わせるなぁぁぁぁぁ!!!」

スパコーン!!(`д´⊂彡☆))Д゜)・∵. 

 医食同源。


 これは倭国の格言であり、ざっくりいえば料理も薬と同じぐらい治療には不可欠だというものだ。


 幼い頃のアーデルは最初こそ病で苦しむクラーラのために薬を作ろうとするも、それは周囲に止められた。

 簡単な傷薬や飲み薬程度なら幼い子供でも作れるが、クラーラを蝕んでる病は全く事例がないような奇病だ。

 まぁ、クラーラの場合は厳密にいうと病ではなく怪我。魂が損傷という、死神のような魂に直接触れる事が出来る資格と技術を持つ者しか手出しできないのだ。

 だからこそ“神の手(ゴッドハンド)”と称される程の医療知識や技術を持つサクヤも人間である以上お手上げだった。だが、魂を損傷してる事実は見抜いてたらしく、薬で苦痛を和らげる事だけは可能だった。

 ただし、クラーラに与える薬はどれだけ簡単な類のものでも熟練者が相当に神経をすり減らしながら用意する必要性があり、そこにアーデルが入り込める余地はない。


 だが、アーデルはそれですんなり諦められるほど聞き分けのよい子どもではなかった。

 医療室前で散々喚いたところに騒ぎを聞きつけてやってきた母ユリアから優しく論され、代わりとして示されたのが料理だった。


 “アーデル。人間っていうものはね。毎日おいしいモノを食べてるだけで健康でいられるものなのよ”


 “じゃぁクラーラに美味しいモノ食べさせ続ければ病気も治るの?”


 “もちろんよ。でもね、あの子は好き嫌いが激しいから貴女やお兄ちゃん達が喜んで食べてるようなお肉の丸焼きを出しちゃだめよ。味付けも調味料たっぷりじゃなく少しだけにするよう……”


 その後も話は続いてたはずなのだが、幼いアーデルの記憶力ではここまでが限界であった。

 それでも要点だけは理解でき、その日にアーデルは誓った。



 “クラーラに美味しいモノを食べさせて、健康を取り戻させる!!”



 その誓いは慈愛の女神カプリスの元にまで届き、その瞬間にアーデルは女神からの加護。聖女の資格を得たのは本人もあずかり知らぬことであった………












「ふぅ……とりあえず下準備は出来たわ」


 アーデルは目の前のテーブルにドンっと転がったチョコレートの塊。

 助手として呼んでもらったマイの冷気魔法で固めたチョコレートを見つめる。


「ここまでは順調に進んで来たけど、この先は未知の領域なのよね……」


 目覚めた直後だと魔女クレアの元で過した日々の記憶は夢から覚めたかのように儚く消え去っていたが、料理してる内に思い出していった。


 というより、聖女修行の大半は料理作りだ。

 クリアー条件は魔女クレアの舌を唸らせればいいというものだから、向こうにいる間はほぼ料理漬けの日々。


 身体が嫌というほどに覚えてるのだ。料理という切っ掛けが修行内容を鮮明に思い出すのも自然の流れなのだろう。

 もっとも、思い出せるのは修行内容や宿泊所でもあった温泉宿でのまったりとした日々が中心。それ以外の事は靄がかかったかのように思い出せないのだが……


(多分そっちは思い出さない方がいいのよね)


 その判断はクラーラも同様であり、二人は知ったらやばそうな知識を意図的に思い出さないよう封印するっと示し合わせた。


 ただクラーラの場合は『百歩譲って“料理人系聖女”はいい。炊き出しなんかは教会の仕事の一つだし、聖女自らが料理を担当するのも別段不思議でもない。料理勝負も頭より身体で覚えるお義姉ちゃん向きだからそれもいい。でも……なんで料理勝負に負けただけでボロボロになるの?敗北するたびに爆発して吹っ飛ばされなきゃならなかったの……?』とか虚ろな目でぶつくさ垂れてるので少々……あくまでアーデルとしては少々心配になるも、途中からもういろいろと吹っ切ったようだ。


 修行中の時と同じく、余計な事を一切考えずただただ自分の仕事に集中してくれた。


 なお、ハイドに関しては最初こそ見守るだけだったが、途中から手伝うと言いだした。

 それ事態は善意から来るものだし問題ない。


 問題あるとすれば、チョコレートを煮込んでる鍋に砂糖と間違えて塩ぶち込もうとした事だ。

 物語ではメシマズ系料理人の定番ともいえるほのぼのとしたミスであるも、現実でやられたら洒落にならないミスだ。

 よって、アーデルは容赦なくハイドを塩ごとゴミ箱へぶち込んだわけだが、それで懲りるようなハイドではない。

 即座に復活して何か手伝える事はないかっとしつこく迫ってくるわけで、仕方なくクラーラ監修の元で聖剣の柄に使用するクッキー生地を作らせる事で解決させたのだった。

そういえば某しっと漫画だと、3号がバレンタインに向けて『人を食うチョコ』を作ってたっけなぁ……


いやまぁ、あの魔女様は偶然ではなくわざと『人を食うチョコ』を作っちゃうんだけどね(ぇ

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― 新着の感想 ―
病院食って味が薄くて量も体調に合わせてだから少なくて物足りないんだよな~。そんで隠れて買い食いして見つかって怒られるのがワンセットなんだよね(笑)ちなみにどんだけ食べるの?ハンター登録の第二試験の前半…
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