188.あーうん、あのクズはもうどこまで堕ちれば気が済むのかって思って……
どこまでも~限りなく~♪
「っとまぁ、クズに関してはこんな感じになってます」
「ふふふ、クズを生き地獄へと堕とす計画は順調そうね……ってあら?義姉妹揃って何頭を抱えてるのかしら?」
「あーうん、あのクズはもうどこまで堕ちれば気が済むのかって思って……」
「私もさっきから頭がズキズキと痛くて……」
「お義姉ちゃんの頭痛い原因は義妹ちゃんから強烈なツッコミを食らったせいでしょうに」
クラーラはクズのクズっぷりに頭が痛くなったわけだが、アーデルの場合はクレアお姉さんの言葉通り、クラーラからの突っ込み……
クズが『クラーラは地獄に堕ちて当然』という発言を行ったという報告を瞬間に覚醒。そのままクズを殺すっとばかりに暴れはじめたのでクラーラから脳天を椅子で思いっきり打っ叩たかれて無理やり黙らせられた結果である。
そのおかげでアーデルは話を全然聞いてない事になるのだが、その代わりとしてクラーラがしっかり話を聞いていた事から問題ないだろう。よって本来ならアーデルがするであろう質問をクラーラが代わりに行った。
「えっと、話の中であのクズにまた魔王の力を渡すような約束したそうですけど、それ本当に渡すつもりなんでしょうか?」
「もちろん。チャカボちゃんには契約通り一か月後……今からだと丁度24日後に一週間前とは比べ物にならない程の、魔王を超える大魔王のような力を渡すつもりよ」
「……それを阻止するためには?」
「クズを殺せばいいのよ。ただし、あのクズは腐っても魔王。勇者や聖女でなければトドメが刺せない規則があるの。でもゴッドライフ領国の聖女様は皆手が離せない状況に陥ってるわけで~現状はまだ平和なフランクフルト王国への救援なんて出せないわよね~~下手に修行長引けば、24日後に大魔王へと覚醒したクズが王国滅ぼしちゃうかも?」
そうにっこりと笑うクレアお姉さんに嫌悪感を隠さないクラーラであるも、アーデルは落ち着けとばかりにポンっと肩を置く。
「なんだかわからないけど、期限が24日という事は残り23日以内に修行を終えて帰還してクズにトドメを刺せば万事解決。そうみていいのね?」
「シンプルにいえばその通り。フランクフルト王国を滅ぼさせたくないなら、この後の修行を気合入れて頑張りなさいな」
「望むところよ。クラーラも付き合ってもらうわけになるけど、いいわよね?いや、本当にクラーラが居ないとどうしようもないって事はこの一週間骨身に沁みたから」
「結局こうなっちゃうのね。でもお義姉ちゃんだけじゃ絶対23日以内に修行終えれないだろうし、私にも得るものあるからもう覚悟決めてとことんまで付き合うわ。それで、あのクズをしっかり引導渡すよ」
「もちろんボクもがんばる。今度こそ元ご主人様の力を適切に引き出して見せる」
「クラーラもデールマンもありがとう。王国を救うために修行頑張るわよ。えいえいおー!!」
「「えいえいおー!!」」
「話がまとまったようね。明日からは私直々に指導したげるから覚悟しなさい」
こうして3人は明日から本格的な修行が開始されるわけだが……
その前にっとアーデルが質問を口にした。
「……あの、素朴な疑問ですけど、クレア様は魔女なんですよね?魔女に聖女の指導ってできるものなのでしょうか?」
「出来るわよ。魔女の力も聖女の力も根っこの部分は大体同じ。私はその根っこにあたる基本部分だけを徹底的に教え込むだけ。その先の道はアーデルちゃん自身が決めればいいのよ」
「道……ですか」
「まぁ、今は基本を極める事に集中なさい。戦闘指南でも全ての基本は身体作りからっていうでしょ」
「なるほど。身体作りは基本ですよね。よ~っくわかりました」
「わかってくれてうれしいわ」
アーデルは納得するも、クラーラは相手が相手なだけあって釈然としないものを感じていた。
だが、クラーラは聖女のなんたるかを語るほど詳しくないので今は黙るしかなかった。
こうして、改めて明日から本格的な修行に打ち込むのであった。
その修行内容は……
「さぁ立ちなさい。まさか、この程度で終わるわけじゃないでしょう?」
中庭でズタボロになって寝転がるアーデル達3人を仁王立ちで見下ろすクレアお姉さん。
この構図からわかる通り……
実戦でもって一本取れという、実戦形式であった。
前準備のサバイバルといい、本番の実戦といい、これほんま通りすがりの主婦の錬金術修行だよ(笑)
ただ、あっちは旦那が生存してて子供が故人だけど、こっちは逆に旦那が故人で子供が生存。
他にも、あっちは胸がでかいけどこっち(コンコン)
おや?こんな時間に一体誰が……(ガチャ)
……
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