187.大事の中に小事なしとも言うし、多少の違反はやむなしっすよ。うん
その大事は思いっきり自分達から起こしてるものなんすけどねぇ……
だから、あえて言おう!!
人それを『マッチポンプ』と呼ぶwww
クズが気持ちよく狂乱の宴を楽しんでいるその頃、クズの命令に従ってバニラを追い出したはずのチャカボはというと……
「本当に最低のクズ野郎だな。チャカボ殿……こら待て!あのクズの肉体の中には悪魔が入っているのだ!!『聖』属性の回復魔法ではさらなる苦痛を与えてしまうのから『聖』属性以外の回復魔法を使ってやれ!!」
「全くですよ、バニラさん。私も先日の戦場でクズのクズ具合を見極めたつもりだったのですが、あれは想像以上に最低なクズでしたよ……
我々は確かに人間を痛めつけるのは大好きです。ですが、より効果的に痛めつける術を知るためにも、自ら苦痛を知る必要性があるのです。今回は天使のサポートがあるのですから、この機会に死ぬ直前に至るまでの苦痛を知って、その経験を自らの糧とするのです!!!」
現実世界側からバニラと二人仲良くクズの精神世界を覗き見しながら、配下達に指示や叱咤激励を送っている最中であった。
「さて、チャカボ殿よ。お互い配下への指示が一段落ついたところで次の『天使と悪魔の葛藤』を行うわけだが、どんな切口がいいと思うか?」
「そうですね……次はボス特製の『青汁』を持って登場はどうでしょうか?」
「あーあれか。味は良くとも身体には良くないジャンクフードのお供な『コーラ』に対して、身体には良いが味は壊滅的な『青汁』……それは嫌われそうだな」
「ああいったクズは正論で責めれば責める程、意固地になって反抗しますからねぇ。期限まではこうやってクズの罪を徹底的に積み重ねてやりしょう。おーっほっほっほっほ!!」
「その通りだ。ビーナス様が与えてくれた償いの生をことごとく踏みにじるクズには最早救済の価値なぞない。我が主である慈愛の女神様が望む通りの生き地獄へと突き堕としてやろうではないか。はっはっはっはっはっは!!」
とっても悪い顔をして笑い合う二人。
その様は二人の配下と再度の様子見に来ていた死神から『どっちが悪魔かわかったものではなかった(っす)』と口をそろえて証言する程であったのは、言うまでもない。
天使と悪魔の葛藤。
人間側は良心のせめぎ合いと解釈している争いも、神視点では別の意味がある。
それは、生前の犯した罪の増減の儀式だ。
天使の声を聞き入れた者には罪が減算され、逆に悪魔の声に聞き入れた者は罪が加算される。
その罪は死後の裁きに影響され、罪の多さに比例して死後の扱いが変わる。
そんな儀式に死神公認で、意図的に悪魔を支持するよう仕向けられたら……
何度も何度も繰り返されたらどうなるか……
結論から言えば……
「いうまでもなく、地獄で超一級の大罪人扱いされるっすよね。でも、そうした罪人の収容はかなりのコストがかかるんで、出来れば生前のうちに悔い改めて少しでも罪を清算してほしいってのが地獄側の本音なんすけど、あっしら死神は生者に関与できない決まりがあるんよね」
「当然私達天使側も同様。クズがどれだけ腹立たしくとも、直接の手出しは厳禁とされてる」
「生者に手出しできるのは基本悪魔だけですからね。それでも様々な規則があるので自由気ままとはいきませんが、クズは書類上だと神敵認定おかしくない程の罪人……そんな神敵を我々悪魔が悔い改めてあげるのですから、多少の規則違反もやむなしですよね?」
「そうっすねー。大事の中に小事なしとも言うし、多少の違反はやむなしっすよ。うん」
「その通り。慈愛の女神様の慈悲を必要とする者は多い。いつまでもクズに構ってられないのだから、悪魔の企みを見過ごす選択もやむなし……そういうことだ。頼んだぞ」
「くっくっく……お任せください。この一件、必ずや慈愛の女神カプリス様が満足してもらえるよう、魔女クレア様の名に誓って総員全力を尽くと誓いましょう」
そんな具合に、クズは知らず知らずのうちに想像を絶する生き地獄へと堕とされる下ごしらえが成されているのだが……
「はっはっはっはっは!!もっとだ、もっと料理をもってこーーい!!!」
自身に迫っている危機に全く気付くことなく、呑気に精神世界で酒池肉林のバカ騒ぎを楽しむクズであった。
これぞまさしく、知らぬが仏というものであろう……
きさまには地獄すら生ぬるい by世紀末⑨世主
ある意味ではこれこそが今のクズにピッタリなお言葉かもしれない(笑)




