171.そんな奴の元へと送られたアーデルとクラーラが今頃どんな目にあってるかと考えると……(SIDE:ロッテン)
エッチなことしたんですね?!(*゜∀゜)=3ムッハー
「そういえば、帝国の学園では異世界から召喚された勇者と同級生になったといってましたね。彼に頼るのは」
「無駄でしょ。だって『チート』とか呼ばれる力があっても、勇者でもなんでもないアーデルやハイドには一度も勝てなかった奴だもの」
辛辣な評価を下すロッテンであるも、実はそうなった理由がある。
ロッテン達の同期となった異世界勇者のキビト君は確かに『チート』と呼ばれる力を有するも、その『チート』は退魔に特化されたもの。
故に魔の力を伴わない人間、特に『レベルを上げて物理で殴る』を極限レベルで体現させてしまったアーデルやハイド相手では相性が悪過ぎたのだ。
そのせいで実力を過小評価されてしまい、ロッテンも勇者はあてにならないっと誤った認識が刷り込まれていたのだ。
……学園在籍時にアーデルやハイドから散々へこまされた事もあって『チート』を過信する事無く謙虚な心持ちで地道に鍛錬を重ね、卒業後は悪魔王『オニオン』討伐を目指して仲間達と共に各地の悪魔絡みのトラブルを解決してまわる綺麗なチート勇者キビト君は泣いていいと思われる。
「まぁ、クズや悪魔王の事はこれで切り上げましょうか。ナニモノかが暗躍してても我々では対処できません。対処不可能な事案に備えるよりも、アーデル様を目覚めさせる手段の模索の方がよっぽど建設的です」
「その手段の模索が暗礁乗り上げまくってるのだけど……何か手がかりあったわけ?」
「さっぱりですね。ですがまだ一週間。手がかりを求めてアムル辺境領とゴッドライフ領国の国境の空白地帯に立つ魔王城跡への調査に向かったアムル家の世紀末4兄弟。
ウェディングドレスの製作者とされる聖樹の聖女とコンタクトを取る手段を求めてゴッドライフ領国へと向かったハイド氏とロンジュ氏もようやく現地に着いた頃合い。
ドム爺様も詳しくは語ってくれませんでしたが、悪魔王とコンタクトを取れそうな連中に渡りをつけるとも言ってましたし、今は慌てず朗報待ちとしましょう」
「わかってはいるけど、やっぱり心配は心配よ。なにせ悪魔王は去り際に『ボスの元へ連れて行く』と言ったのでしょ。
皇国では悪魔王は全ての元凶であり、奴を倒せば全て丸く収まるって考えられてたけど、その背後には悪魔王すら従えてしまうような存在がいるなんて初耳だわ。そんな奴の元へと送られたアーデルとクラーラが今頃どんな目にあってるかと考えると……」
「そういえばそうですね。悪魔のボスの元まで連れていかれたアーデル様とクラーラ嬢がどのような目にあってるか……えぇ、どのような目にあってるか気になります。
きっと、裸にひん剥かれて乱暴されてるに違いないでしょう。エロ同人みたいに……エロ同人みたいに!!はぁはぁ……はぁはぁ……」
悪魔を従えるボスの元に連れていかれたっというキーワードに心躍るものがあったのか、つい調子乗って鼻息荒く力説するマイヤー。
そんな変態紳士な婚約者を目の当たりにしたロッテンは無言でマイヤーの腕をガシッと掴む。
そして……
ガキィ!!!
「ウァ~~~ッ!!!!」
「おお~~~っ!これは、アムル家に代々伝わりし48の殺人技の一つとされる『卍固め』をロッテンお嬢様が独自に改良したつもりが、知らず知らずに原点回帰させてしまったと言われてる『ヘル卍固め』だぁ~~!!」
最初から同室に居ても無言で控えていた事もあって、唐突に現われたかのような形となった侍女カナリアがここぞとばかりに実況発言。
その仕事ぶりは主人をサポートする侍女として相応しいものであろう。
ただ、サポートする方向性が何か間違ってる辺りは……まぁいつも通りとしておこう。
そんなわけで今日も今日とて、ドMな変態紳士に拷問という名前のご褒美を与える流れとなった執務室での日常の一コマが繰り広げられてる中。マイヤーからエロ同人みたいな乱暴をされてると予想されたアーデルとクラーラの現在はというと……
「はぁ~~~……極楽だわ~~~」
「本当~~もうこのままお湯の中に溶けてしまいそ~う」
裸になって温泉の湯舟で怠惰という名前の暴力を全身余す事なく受けてる真っ最中という、ある意味ではマイヤーの言葉通りの目にあっていたそうだ。
この後はマッサージという名前の拷問も用意されてますw
まぁ、お義姉ちゃんのママンは拷問をマッサージと称しちゃうようなお方なんですけど……
果たしてどうなる事やら




