160.どんな障害物でも蹴散らして真っすぐに突き進む(SIDE:アーデル) ※ クズ5度目のざまぁ回(その8)
我が道突き進む!奥義……
アーデルが真の聖女へと目覚めた。
本来なら歓喜すべき事案ながらも、民衆は騒がなかった。
騒がず、静かに祈った。
アーデルが至った『明鏡止水』の心を乱さないよう祈りの力を捧げる。
“聖”の力の源は『希望』であり『信仰心』だ。
民衆達の祈りを通した想い。『信仰心』の力がアーデルの元へと……右拳へと萃まる。
それに伴って力は増すも、対照的に制御しきれなくなって暴れはじめる。
アーデルはそれを鎮めようとするも、クラーラが横やりを入れた。
「鎮めなくていい。次は暴れさせる……存分に……だって、落ち着きのないお義姉ちゃんはそっちの方が得意でしょ」
「えぇ……認めたくないけど、その通りよ。コンチクショー!」
くすっと笑うクラーラにアーデルも釣られるようにくすっと笑って肯定する。
力は十分に萃まったのだ。
なら次の段階に……
ここまで来たら、クラーラが……いや、ドレスが何をさせたいのかわかった。
アーデルは脳筋的な性格でも知恵の足りないお馬鹿な脳筋でない。
数々の理論を理解できるだけの知識と教養を保有してるのだ。
だからこそ、アーデルはこれからすべき事を理解した。
この萃めた力を拳に乗せてクズへとぶつける。
ただそれだけの事であるも、アーデルはこれだけではまだ足りないっと直感ながら理解していた。
この萃めた力をただぶつけるだけではクズと同じ。
クズが放っている闇の波動は見た目こそ派手であるも、中身はただ力を垂れ流してるだけ。
何も考えず力をそのままぶつけてるだけ。
そこに一切の工夫がない。
あれではいくら強大な力を放とうとも、7人の心を一つにした不動の壁を……
ひたすら耐える事だけに意識を注ぎ込むことで最強の盾と化した7人の『マッスルガーディアン』を貫けない。
貫くには一点に集中させた最強の矛が必要だ。
だからこそアーデルはさらに意識して力を一点に集中。
最初は長兄オウラの『マオウケン』。無類の馬好きが講じて愛馬の後ろ足蹴りを模した一撃となった拳を思い起こしながらある『動物』を思い浮かばせた。
アーデル独自の必殺技と称される程に極めた体当たり攻撃。『竜巻攪拌器』を初めて放とうとした際になぜか思い浮かんだ動物。
その動物と共にアーデルはイメージする。
『どんな装甲でも打ち貫く』ではなく、『どんな障害物でも蹴散らして真っすぐに突き進む』……
ただひたすらにまっすぐに我が道を突き進む猛牛のごとき一撃。その名は……
『竜巻推進器!!』
気合と共に突き出した拳。
その拳から放たれた力の奔流はアーデルがイメージした通り『長い角』を生やした猛牛に……なぜか黄金の鎧を纏った猛牛へと形作りながらクズめがけて突撃する。
直線状には壁として立ちふさがっている7人がいるも、アーデルは事前に飛び上がって打ち下ろす形で拳を放ったのだ。
黄金の猛牛は7人を飛び越える形で地上へと降り立ち、そのまま『長い角』を回転させながら真っすぐに突き進む。
クズが放つ闇の波動をものともせずに拡散させながら、ひたすらに真っすぐに突き進む。
そのあり方はまさしく『どんな障害物でも蹴散らして真っすぐに突き進む』というイメージ通りであった。
「な、なん……だと……!?」
クズは新たに現われた黄金の猛牛に面食らった。
自分の最強最大ともいえる力に真正面から立ち向かうどころか、平然と蹴散らしながら突き進むその姿にビビった。ビビってしまったのだ。
「く、来るな……来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
クズは叫ぶ。
力の限り命令するも、黄金の猛牛はクズの言葉なんか受け入れるわけがなく………
「アーーーーーーーーーーッ!!!!!」
ドゴン!!!
吹っ飛ばした。
幼い頃にアーデルから『竜巻攪拌器』を食らって吹っ飛ばされた時と同様、クズの身体は錐揉み回転しながら空高く舞い上がり……
グシャー
頭から激突した。
実は新技をハリケーソドライバーにするかスパイラノレドライバーにするか、最後の最後まで迷ってたのはここだけの話w
ちなみに黄金の猛牛のモデルは牡牛の黄金聖衣
技のイメージはオリジンセブンスさんのエルクホルン・テンペスト。
お義姉ちゃん自身が使えるかどうかは……考えてないけど、まぁ特定条件を満たした場合は使えるとみていいかもしんない?
披露する場があるかどうかまでは知らんけどね_(:3 」∠)_ソモソモコレデケッチャクツイタモドウゼンダシ




