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145.なぁぁぁぁ!!!!?あ、あれは………まさか!!!!?

知ってるのか?ライデン


うむ、あれはまさしく伝説の勇者にしか扱えぬといわれる魔法……

なんでも、この魔法の影響下にある者は不都合な返事が全く聞こえなくなるといわれておる。


その起源はレヌーノレ城と呼ばれるお化けに占拠された城の王が……

 急展開。

 調停式が終わった直後にプロポーズし、それを躊躇なく受けるだなんて一体誰が予想しただろうか。


 だが、この展開は前日の謁見の間に居た者に予め告知がなされていた。


 ゼーゼマン公爵家に支払われる賠償金5000億Gはハイドから婚約を申し込まれた際の結納金という形で丸ごと返還させるという……

 聡い者であれば自作自演のマッチポンプと気付いてしまう茶番劇を予め知らされていたのだ。


 もちろんこんな提案を黙って受け入れられるわけなく、反対したい者はいたが……

 だったら5000憶Gの負債をどこで埋め合わせればの話になってしまう。


 埋め合わせ方法も王命で徴収やら重税を課すやら没落した貴族から没収っといろいろあるが……


 後々の禍根の事を考えれば、女王となったアーデルの権限でもって結納金を丸ごと国庫に放り込ませた方が無難に……いや、一部以外は利益のある形で収まってくれるわけだ。


 ここまでされたら、反対する理由もなくほぼ満場一致でアーデルの提案を受け入れた。



 逆に利益を受け取る事が出来ない一部以外……その代表となるクズ達はあまりの展開に唖然としていた。

 一体何が起きてるのか理解出来ないまま、茶番劇が進行していく。



「おめでとうございます!!!!」


 二人の婚約が成立した瞬間を狙って舞台の上へと乗り出す、一人の女性……

 端からみれば突然の乱入であるも、これもハイドの告白同様に元々予定されてた筋書通りの出来事。

 近衛兵達も女性……シィプシィと後ろに続く侍従を止めることなくアーデルとハイドの元へと素通しさせた。


「アーデル様。改めて女王の就任と婚約、おめでとうございます!!そして……私シィプシィが商業ギルド長の代理として事付けを預かっております。よろしいでしょうか?」


「構いません。商業ギルドの一件は聞き及んでいます。この度は王家がご迷惑をおかけして申し訳ございません」


「おやめください!!責を追うべきはあそこのクズとそのクズを祀り上げていた貴族一派であってアーデル様達の王妃一派ではありません!!!

 そのため我々商業ギルドはアーデル様が女王陛下として国を治められるのであらば、アーデル女王陛下と新たな契約を結び直したいと思ってます。そして、これは婚約のお祝いとして用意した品でございます。お受け取りください」


 後ろに視線を送ると侍従……ロンジュは心得たとばかりに背負っていた荷物を降ろす。

 梱包された布を取り払うとそこに出現したのは……














 まずは光であった。



 まばゆいばかりに光り輝く中に浮かぶのは花びら。

 淡いピンクを帯びた、小さな花びらに彩られた……



 純白の……



 ウェディングドレスであった。



「なぁぁぁぁ!!!!?あ、あれは………まさか!!!!?」


 ウェディングドレスの全貌が明かされた瞬間、ヨハン大司教補佐が自分の立場を忘れたかのような、驚愕に満ちた……ようにみえる声を張り上げる。


「ふふふ……このウェディングドレスの価値を一目で見抜くとは、さすがですわね」


「当然ではないか!!!ワシはゴッドライフ領国の生まれでここフランクフルト王国の教会へ赴任する前は60年以上もゴッドライフ領国の教会本部に身を置いていたのだ!

 当然、このウェディングドレスの逸話も聞き及んでいる!!これは……ゴッドライフ領国の聖域に住まう聖女様が聖樹桜の花を素材にして作られた、伝説に語られる初代勇者様が残した聖鎧や初代聖女が身に着けた聖衣と同等とも言われる『神器』の一つ!!

 今のゴッドライフ領国の礎と繁栄を築き上げたといって良いほどの功績を持ちながらも、魔力も聖力も持たぬ身だからと聖女の称号を自ら辞退したが故にあのお方専用として“神の手(ゴッドハンド)”の称号が与えられたあのお方のために……

 称号通り、その手で数々の奇跡を……死に瀕した命さえも拾い上げた“神の手(ゴッドハンド)”を持つサクヤ様のために作られたという、その名もズバリ!!『“神の手(ゴッドハンド)”のウェディングドレス』ではありませぬか!!!」


 ヨハン大司教補佐が興奮した様で語るウェディングドレスの概要。

 これらも当然のごとく、元々予定されていた流れだ。


 商業ギルドと王家との和解というか茶番劇の協力の代価となる利益の分配はすでにある程度済まされており、後はどのような形で和解の発表を行うかの段階だった。そこで横やり的に提案を入れたのがロンジュだった。


 彼の提案は調停式の後、ハイドとの婚約発表が成立した直後のタイミング。

 ここでシィプシィが商業ギルドの代表として“神の手(ゴッドハンド)”のサクヤが聖域の聖女から授かり、結婚式の際に披露したウェディングドレスをアーデルへ贈呈する事。


 たかがウェディングドレスと思うだろうが、このドレスは勇者の剣や聖女の衣と同様。人類では到底解明できない素材や技術が詰め込まれた『神器』とも呼ばれる逸品。


 『神器』であるが故に、その金銭価値は測定不能である。

ニアすてる


これをすてるなんてとんでもない

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― 新着の感想 ―
予定通りに進行しているね。 国の懐も痛まず、国民や貴族も重税に嘆かず、属国にも(今のところ)ならず。これぞ、「玉虫色の案件」ですね(笑) ……0子はリカイを放棄した(笑)
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