144.返答は以下に!!!?
今回はクズをざまぁな目にあわせるだけでなく、ざまぁ後の王国の統治を滞りなく進める必要もあるわけで……
まぁ、つまりあれです。
しばらくの間、クズは放置プレイとなりますw
ヨハン大司教補佐が開催宣言し、周囲は改めて黙り込む。
この調停式の結果次第では王国の未来が決まるといっても過言ではない事もあって、周囲に張り詰めた空気が漂う
まぁ、そんな空気の中であってもクズだけは騒ごうとするも、それはアインとツヴァイで取り押さえられた。
「殿下、落ち着いてください。アーデルが用意した資産の数々。あれが無くなれば国が維持できません」
「まともな運営が出来なくなれば、貴族や民衆からも不満が出ます。アーデルにはそうした不満の受け皿にしてしまいましょう。
そうして不満が最大に高まった時に殿下が立てば、各貴族や民衆も打倒アーデルへと動くでしょう。
また、上手く国を立て直せたとしても、殿下は正当な王の血筋。正当性を全面に押し出せば、やはり各貴族や民衆は殿下を王へと推挙するでしょう。
どちらにせよ近くない未来にアーデルを王座から引きずり落とせるので今は耐えてください」
「そうそう、トビアス元国王陛下も殿下を本気で勘当するつもりではありません。ほとぼり冷めればすぐに撤回してくれるはずです」
「そ、そうか……よくわからんが、今は耐えればこの屈辱を何倍にもして返せるのだな?」
「「も、もちろんでございます」」
表向きは肯定しつつも裏ではそんな事出来ないだろうな~っと思っていた。
二人はそれぞれの父からの命令もあって盲目的にクズを持ち上げてきたが、今はその曇りきった目も晴れているのだ。
忠臣であったマイヤーが姿を見せてないということは、彼はすでにクズを見限っているのだろう。
そうした今まで気付こうともしなかった事実に気付いてしまったせいで、自分達は完全に終わったのだとわかってしまった。
最早クズに万が一の勝機はない。
自分達に出来るのはこれ以上の醜態……
すでにどうしようもないほどの醜態を晒してるけど、戦争の調停式という神聖な場を荒らすという愚行だけは避けねばっという想いもあって、嘘も方便っとばかりに宥めた。
その甲斐あって、クズは大人しく成り行きを見守る事にしたようだ。
「くくく……アーデルよ。精々俺のために傾いた国を立て直すがよい」
「……((殿下が話の要点をしっかり理解してくれるなんて意外だ……))」
驚きに満ちた目で見る二人であるも、その間にも進んでいた交渉の席にてさらなる驚きの目で見る羽目になるのであった。
「ハイド様。王国は開戦前に交わした取り決めに従い、賠償金5000Gを一括でお支払いいたします。ですが、額が額なので現金だけでなく美術品や骨董品といった国宝を織り交ぜてのお支払いになる事はご了承ください。
これが品の目録となっておりますのでご確認ください」
「確かに受け取った。さらにアーデル女王陛下の潔さに感服し、目録確認は執り行わない事とする。ヨハン大司教補佐よ、問題はないだろうか?」
「後ほど賠償金に関する訴えを行わないと審判の神に誓うなら、認めよう」
「誓おう」
「ならば、お二人はこの書類にサインを……うむ、確認した。これにてこの度の戦争は終結とする!!」
これで調停式……すわなち戦争は終わった。
その代償として王国は5000億Gもの資産を失ったわけだ。
通常であれば、この先の王国の未来は絶望しかないだろう。
だが……その絶望は即座に取り払われる事となる。
ハイドは調停式終了と同時にポケットから取り出した指輪をアーデルに差し出した。
「アーデル!!結婚してほしい!!!」
いきなりのプロポーズ。
全く場の空気を読まない行動に通常ならドン引きするだろうも、アーデルは別に驚かない。
元々、ハイドはこういう性格をしてると理解してるから今更っというのもあるが……
これは最初から用意されていた筋書でもあるのだ。
よって、アーデルはあえて芝居がかった口調で返答した。
「ハイド様。私は長年の婚約者から婚約破棄されたキズモノとはいえ、今はフランクフルト王国の女王様なのよ。
そこらの安っぽい女とは格が違うのだけど、それはわかってらっしゃるのかしら?」
「もちろんだとも!!だから結納金も用意している!!その額だが……」
ここでハイドは一度区切って周囲を見渡す。
調停式が終わった直後というこのタイミングで……
皆各々の思惑を抱える中での、唐突なハイドのプロポーズで最大限に注目を浴びてるのを確認しながら……
呼吸を整え……
そして……
大地が振るえるかのような大音量で持って宣言した。
「俺が用意する結納金は5000億G!!
5000億Gの結納金と俺のこれからの人生全てをアーデル女王陛下の伴侶として捧げたい!!返答は以下に!!!?」
「そのプロポーズ!!よろこんでお受けいたしますわ!!!」
ラブストーリーは突然に……
でもまぁ、ヒロインとヒーローは超が付くほどの直球タイプだから恋愛要素もこうなるのは必然……っということにしといてください(マテ)




