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137.おかしい……何かがおかしい……(SIDE:アイン&ツヴァイ) ※ クズ5度目のざまぁ回(その0)

キノセイダヨー(゜∀゜)

ナンニモオカシイトコロナンテナイヨー(゜∀゜)ノシ


ダカラ、(クズざまぁ劇の)ブタイニアガッテオイデヨー(゜∀゜)ノシクイクイ

 戦争終結の翌朝。


 消去法的にデルフリ王太子の側近筆頭となっていたアインとツヴァイは困惑していた。


 自分達は昨夜に起きた賊軍の夜襲によって囚われの身となった。

 具体的にいえば、率先して逃げ出した者に続く形で森へと逃げ込んだら網に囚われてしまったのだ。


 それからしばらくしてデルフリ王太子の捕縛宣言がされて勝敗が決した。

 王国軍は敗北という形で自分達は捕虜となった……


 はずなのに、なぜか王太子専用の豪華絢爛な馬車に乗せられた。


 その馬車は外観だけでなく中も5~6人が自由に足を伸ばせるほどに広く、車輪にサスペンションとか呼ばれる揺れを軽減させる器具が取り付けられてるので快適な移動が保障される。

 乗り込むのはデルフリ王太子とその側近である自分達。さらに行軍中の相手としてマイヤーが手配したという、褐色肌をした娼婦姉妹のニーアとミーア。この5人での優雅な旅だ。


 馬車内では祝勝会の前祝いと言わんばかりのご馳走が用意されており、デルフリ王太子はご機嫌っとばかりに席へと座って娼婦姉妹にお酌させる。


「はっはっは!!一時はどうなるかと思ったが、結局俺達の勝利だったな!!」


「ま、全くでございます。あの劣勢を覆すなんてさすがは殿下……です」


「そ、そこにしびれて……憧れます」


 両脇に娼婦を侍らせてのハイテンションなクズと違って、アインとツヴァイは違和感を感じていた。



 デルフリ王太子は何の疑問もなく、勝利したのが王国軍だと信じ切っていた。

 実際、デルフリ王太子とその側近たる自分達の扱いは到底捕虜とは思えない。


 だが……窓から従軍してる者をみれば見知った顔の者がほとんどいない。

 休憩の際にも外へ出て確認すれば、その知った顔。王国軍に所属している貴族やその侍従といった者達の姿を確認できなかったのだ。


 王国軍の人員で確認できたのは敵の大将であるハイドとその部下であろう者達と朗らかに談話しているマイヤーぐらいだ。

 マイヤーに何が起きてるのか詳細を求めるも、『今は忙しいので殿下の相手でもしといてください』っと投げやり的に応えられるのみ。


 デルフリ王太子の相手は元々の役目。

 父親からも王太子の信頼を得て側近に取り立ててもらえと言われてきた事もあって、そこに疑問はない。


 特に今は多くのライバルが居なくなったのでチャンスでもある。

 だが、それでも……





((おかしい……何かがおかしい……))



 自分達はとんでもない思い違いをしてるのではないのか?


 そう思いつつも、自分達の扱いはVIP同然。

 敗戦の将とその側近が受ける待遇ではないし、なにより……


 敵軍の大将たるハイドが馬の代わりとして王太子専用の馬車を引いているのだ。

 本来なら4頭でなければ到底動かせられない程の馬車を一人で、文字通り馬車馬のごとく引かされているのだ。


「はっはっは、敗軍の将というのは惨めなものだな!!ほら、もっと力を入れて引っ張らぬか!!!」


 デルフリ王太子の言葉に一切反論せず、黙々と馬車を引っ張るハイドと馬に乗りながら追従するマイヤー

 その姿は確かに敗戦の将と言わんばかりの姿なだけに……



 アインとツヴァイは王軍が勝利したというデルフリ王太子の言葉を信じる事にした。










 なお、真相としては……


「ハイド殿……あなた、自分から馬車を引きたいと申し出るなんて頭にウジ虫でも沸いてるのでしょうか?」


「はっはっは。マイヤー殿、そんなわけなかろう。これはただの修行の一環だ。それに、こんなものを馬に引かせるなんて馬が可哀想というものであろう」


「否定はしませんね。それに、馬の使い道は何も馬車を引くだけではなく他にも用途あるのは事実。ここで馬4頭分が浮くのは大歓迎なのでお言葉に甘えさせてもらいましょう」


「任された。文字通り馬車馬のごとき働きを見せて進ぜよう」



 っというわけである。


 4頭分の馬車馬の代わりという常人にとっては見せしめの罰にしかならない苦行も、力があり余り過ぎて困ってるハイドにとっては丁度良い修行にしかならないのであった。




 もちろん戦争はこれでもかというぐらい王国軍の敗北であり……

 今現在、王国軍陣地内では稀代の策略家のマイヤーですら見通せなかった惨劇。

 ロッテンのうかつな宣言のせいで民衆たちによる生き残り貴族達への凄惨な私刑が執り行われる最中である事は……この時誰も知らなかった。










 そんな感じでアインとツヴァイは多少の違和感を感じつつも移動そのものは順調に進み、予定通り翌日の夕方に王都へと到着。


 その日は以前宿泊した教会のVIP専用の客室……実際はただの貴賓用の牢に泊まり、そこでも同じく歓待を受ける。


「明日は調停式が行われます。(アーデル様)からデルフリ様とアイン様とツヴァイ様も参加するように言われておりますので、あまり羽目を外さないようお願いします」


 案内してもらったシスターにそう注意はされるも、デルフリに自嘲なんて言葉はない。

 道中に接待していた娼婦姉妹はママに仕事完了の報告する必要があるからっと別れはしたが、入れ替わる形でやってきた大勢の年若い娼婦とともに、シスターからの注意を無視して騒ぎまくった。






 ここまで来たらアインとツヴァイも疑いは消える。


 自分達が敗戦したなら、こんな歓待を受けるわけがない。

 明日には自分達が賊軍を討伐した英雄として王都民から歓待される。




 そう信じたまま、翌日の調停式の会場へと出向き……



 そこで彼等が見たものは……







 王都中央の大広間に用意された舞台にて……

 王の象徴たる王冠とマントを身に着け、その手には王のみが持つ事を許される王錫が握られているという、紛うことなき王国の代表として佇むアーデルとその隣で従者のごとく控えるクラーラの姿であった。

お義姉ちゃん「義妹です、なんなりとお申し付けください」


よし、では手始めに……(ギロリ)……イエ、ナンデモアリマセン(;゜Д゜)ガクガクブルブル

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― 新着の感想 ―
なるほどな~。こんな待遇を受けたら、勘違いするね。 もっともクズはそんなことしなくても大丈夫でしょ。だって「0子」だから(笑) 修行だからって馬替わり。……ダンベル代わりに持ち上げたりした? 役者は…
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