128.あーアーデル様、また発情したのか……
今日も王宮は平和である( ^ω^)
「あーーーーくんかくんかくんかくんかぺろぺろぺろれろれろれろれろれろれろれろれろれろれろ」
「あ~らら~予想してたけど壊れちゃったね」
「ふふふ……壊れましたわね」
「壊れちゃったよ」
「ん。壊れた」
理解が及んだ事で完全に理性がぶっ飛び、だいしゅきホールドから舐めまわしへと移行したアーデルにクラーラ達はつい笑う。
これでロッテンがこの場に居たら即座に鋼のハリセンで無理やり正気に戻す場面であるも、今ここに彼女はいない。
さらにいえば、クラーラ達はアーデルを無理やり正気に戻すつもりはなかった。
「今日の謁見では無理して完全無欠な女王様の仮面をずっと被ってたわけだし、メイさんの指摘通り今夜ぐらいはオカズにされるのも仕方ない……わけであるけど」
「わかっております。大浴場に行きましょうか」
「わ~皆で風呂なんて久しぶりだ~おもちゃ持っていこう、おもちゃ」
「ん。ひよこちゃんもっていこう」
鼻から忠誠心を噴出させながらべろべろと舐めまわされた事で凄惨な姿になったクラーラのために、いそいそと入浴セットの準備を始めるで侍女達。
ちなみにユキとマイが収納棚から取り出してるひよこだが、それはアーデルがコレクションしている人形の一つであった。
アーデルは10年前の誕生日にクラーラから手作り人形をもらった事がきっかけで人形に興味を持ち、趣味として多種多様な人形を集めるようになった。
その中には等身大クラーラ抱き枕人形という自身の趣味趣向をストレートに突き詰めたものもあれば、定番の熊のぬいぐるみや水の浮かべるひよこちゃんや倭国名産のカラクリお茶運び人形のようなみんなで楽しめる人形もある。
子供が拙いながらも精一杯作ったであろう藁人形もあれば、失恋した女性が怨念を込めたとしか思えない藁人形もある。
真夜中にみたら悲鳴を上げかねない恐怖の人形や見る度に髪が伸びてるような気がする人形っとあきらさまにヤバイものもある。
とにかく多種多様な人形が鎮座されてるが、それらは共通してアーデルにとってはかけがいのない宝物。
どんなものであっても棚に収納して大事に保管してるせいで……
何も知らない者が初見でみれば、あまりのカオス具合に発狂するのがお約束である。
ただまぁ、次期王太子妃で王妃代理という肩書を持つアーデルの寝室へと入るには言うまでもなく許可が必要。
許可を得て入る者は当然、注意喚起や専用のお守りが渡される。
逆に許可もなく不法侵入する者は……
「さすがに今日は居ないか」
クラーラは人形棚を見つめながら独り言のようにつぶやくが、それが何を意味するかはあえて語らないでおこうと思う。
「クラーラ様。お風呂の準備できましたが、大丈夫ですか?」
「ん、これぐらいなら大丈夫。問題ない」
メイからの質問に問題ないっと答えた通り、クラーラはだいしゅきホールド中のアーデルを支えながら立ち上がる。
アーデルは180cmに届きかねない高身長でモリモリでなくとも決して華奢と言えない程に筋肉がある。
当然体重も身長や筋肉の量に比例して相応にあるも、所詮は100kgにも届かない程度。
200kg程度の荷物であれば軽々と片手で持ち上げる事が出来るクラーラにとって、アーデルを抱えたまま歩くなんて大した負担ではない。
そのまま侍女3姉妹を伴って平時と変わらない足取りで浴室へと向かうも……
今のクラーラの姿。アーデルが垂れ流した忠誠心の塊のせいで、血塗れだった事をうっかり忘れていた。
そのため廊下をすれ違った使用人や大浴場の先客達からぎょっと驚かれるも……
((((あーアーデル様、また発情したのか……))))
アーデルの発情癖はある意味王宮の名物であるため、限られた者しか入れない専用でなく王宮勤めなら誰でも入れる共有の大浴場を訪れた件も含め、目撃者達は実に慣れた調子で対応するのであった。
そんな義姉妹とそのお供をする侍女、さらに多数のモブと大量のアヒル軍団が入り乱れる浴室では……
「ぐふふふふ……ぴちぴちぎゃる(死後)達が洗いっこしながら胸をもみまくるシーンはたまらん……たまらんのぉ」
覗きが居る事含めてのお約束シーンが散見されるという、実に眼福ものであると一応伝えておこう。
丁度そのころ、隠し通路を抜けて王城地下のある隠し部屋を訪れたマイヤーは……
「おや。任務が継続中だというのに総責任者のドム爺様が留守とは珍しい。よもや決起集会の襲撃で予期せぬトラブルでもあったのですかな?陛下」
「マイヤーか。集会の襲撃は予想の範囲内の惨劇で終わって、今は事後処理の最中だ。後は明日に関して細々とした仕込みの結果待ちなのだが、先ほど急に出て行かれた。向かった先はまぁ……いつもの悪癖のアレだ……全く、こんな時に何をやってらっしゃるのか」
「あーなるほど……」
一体なぜこのタイミングなのかまではさすがのマイヤーもわからなかった。だが……王城内での仕込みの報告に来た暗部の一人がついでとばかりに王宮でのちょっとした騒ぎ。クラーラが忠誠心の塊を垂れ流すアーデルを抱えながら浴場に向かったという情報を置いていった事で全て理解できた。
ちなみに義姉妹の入浴シーンの覗きだが、自他ともに認める超シスコンな超人のお義姉ちゃんが全力全壊で警戒してる事もあってその難易度はハードを通り越したルナティックレベル。
通常なら気付けない空間を隔てた視線すらも『きさま!見ているなッ!』で睨み返すほど。
どんな隠密の達人だろうと、お義姉ちゃんの超人を通り越した神レベルの感知をすり抜けることはできずに補足されその後は……
マイヤーのような訓練された変態紳士でも拷問と称さざるを得ないようなOSHIOKIが待ち構えているとだけ言っておこう。
さらにいえば、二人はド田舎生まれなため異性に裸体をさらす事になんら躊躇がない。プライベートの時には男連中を誘って市井の混浴の銭湯にも訪れるぐらいなのでそのタイミングを見計らえば覗きなんかせずとも堂々拝めるのだ。
そんなわけで二人への覗きはハイリスクローリターンという愚行ながらも、ドム爺は『こっそり覗くからこそ得られる浪漫があるんじゃわい!!』とかいう謎の拘りを持って覗きを決行し……
結論。
「ぎょぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
どっごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!!!!
地下まで響き渡るかのような悲鳴と轟音が全てを物語ってるであろう。
こうして読者サービスも終了し、さっぱりとしたアーデルはクラーラと共にベットへと潜り込み……
双方ともに今までの激務で相当に疲れていたせいか、二人とも実にあっさり夢の中へと突入。
読者が期待したお楽しみな出来事は一つも起きなかったのである。
キョウモオウキュウハヘイワデアル(*゜∀゜)




