125.……それ、私を生贄にするって言わない?
俺は義妹ちゃんを生贄にし、超人お義姉ちゃんを召喚!!
クラーラは生まれながらの奇病のせいで、完治前はいつ死んでもおかしくない身体であった。
何度も生死の境を往復してきた弊害か、物心付く頃には常人だとまずみえない存在。主に死神をみることができていた。
死神は何度もクラーラをお迎えに来るも、アーデルがクラーラをホールドするとすぐに撤退する。
アンコのようないい加減な仕事をする者だけでなく、無駄話は一切せずに役目をまっとうする固そうな死神もアーデルの姿をみれば即時撤退。
その理由は何かとおせっかいを焼いてくる変わり種の死神曰く
“お義姉ちゃんは殺しても死なないぐらい生命力に溢れてる人間になってるっすからねぇ。そんな人間が周囲にもその生命力を分け与えるもんだから、死神はお役目ごめんになっちゃうんすよ”
あんまり説明になってないが、とりあえず絶望的な状況下でも勇者が諦めずに立ち上がれば周囲の者も負けじと立ち上がってくるとか、そういった物語の主人公的な力が働いていると思えばいいそうだ。
通常なら『現実は現実。物語じゃあるまいし気のせいだ!!』っと突っ込むところであるも、アーデルの場合は本当に効果があった。
本人は自分の周囲に与える影響に全く気付いてないようだが、一部は無意識に勘づいてた。
メイやロッテン、マイヤーといった一癖や二癖もある者からは仕える主として忠誠を誓われてるし、シィプシィやペーターのように中立組織所属という立場故に忠誠は誓えずとも、個人として協力を申し出てくれる程に人望がある。
あらゆる者から敬われるその姿はまさに王と言えよう。
クラーラもアーデルのそうした王の資質を純粋に尊敬するが……
「ハァハァ……ハァハァ……」
病弱だった頃と違い、今の健康体となったクラーラに抱きついて興奮する様はどうあがいても個人的趣向を満たすHE☆N☆TA☆I☆のそれ。
王どころか人としての資質すら疑いかねないレベルにやばかった。
クラーラはそんな義姉に呆れはするも、辞めさせようとは思わない。
なにせアーデルは常日頃から王としての重圧を背負ってる身。公的な場ではこうした素の面をほとんど見せない仮面を被り続けてるのだ。
いくら死神直々に『殺しても死なないような人間』と称されても、精神的な疲労は蓄積される。
時々はこうしてストレス発散させないと、いつか大失態をやらかす可能性はあるっというか……
「いや、これすでに大失態一歩手前だし……やっぱりあれかな。普段から適度に本性出さないと駄目って奴?」
「全くです。お嬢様もクラーラ様のように、普段から本性を丸出しにしてもらえればっと思ってるのですが……」
「いやいや、メイさん。私は毎回丸出しにしてないよ。時と場合によってはちゃんっと猫被ってるよ」
「まぁそんなの今はどうでもいいことでしょう。今必要なのは、お嬢様への癒しなのですから、クラーラ様。今夜一晩はお嬢様のオカズになってください」
「……それ、私を生贄にするって言わない?」
「そうとも言いますね。なんならミルクもセットで……」
「そんなひどい!!ユキとマイも鬼畜なお姉ちゃんに何か言ってあげてよ」
「だってさ、マイ。何か言うとすれば……あれだよね」
「うん、ユキ。合わせて言う……せーの」
「「いいぞ~メイお姉ちゃんもっと言っちゃえ~~!!」
「ぷーくすくす。我が妹達ながらよくわかってらっしゃるじゃないですか。後でお小遣いあげましょう」
「「わ~いわ~い」」
「が~ん……部下を買収されるなんて、私泣いていい?」
「「「アーデルお嬢様がより暴走するのでおやめください」」」
「あ~はいはい。鬼畜3姉妹の言う通りだもんね。わかりましたよ~ぷんぷん」
そう怒るクラーラだが、これもいつもの事。
マイヤーもこの5人のやりとりは見慣れてる事もあって、皆が落ち着くのを正座しながら淡々と待つ……俗にいう放置プレイを楽しむのであった。
HE☆N☆TA☆I☆紳士はかくあるべしであるw




