112.はぁ?!お前はいったい何を言っているんだ……??? ※ 4度目の害虫貴族駆除回(その3)
アーデル視点だけだと状況が拾え切れなくなるので、神視点な俯瞰に変更です
「「「「「「「…………(はぁ?!お前はいったい何を言っているんだ……???)」」」」」」」
三男坊の理解不能な言葉にアーデル含む周囲は固まった。
言葉の意味が理解できずについ惚けてしまうも、メイのような護衛を受け持つ侍女や衛兵達は誰よりも早く動き出した。
王位継承権のない者が王位簒奪という謀反を堂々宣言したのだ。
王の守護を第一とする者達にとって、王の危機に棒立ちは愚の骨頂とばかりに動く。
すばやく三男坊を包囲して武器を突き付けた。
「な、違うだろ!!刃を向けるのは向こうだ!!王の資格がない癖して王を気取っている謀反者だ!!」
三男坊は反論するも、衛兵達は聞き入れないばかりかさらに圧力を強める。
衛兵達は王宮内でアーデルの働き……王妃代理として国政を取り仕切る姿を見てきた事もあって、正式な女王の就任こそまだであっても将来忠義を誓うにふさわしいお方と認めているのだ
王を守る者として、どちらの言葉に従うかは一目瞭然。
『このまま殺しましょうか?』っとばかりに目線で訴えてくるのでアーデルは手で制しながら近づく。
「あーうん。いろいろと突っ込みどころありまくりだけど……一応聞くわ。
次期レーハム侯爵家当主宣言はまぁいいわ。他所様の家の事情に首突っ込むのは野暮だからあえてスルーするけど、次期王なんてどういう意図で言ったのかしら?」
「それは当然……私がクラーラ嬢と結婚するからだ!!女王となられるクラーラ様の伴侶となる私こそが次期王にふさわしい!!!」
クラーラを娶る……
そんな宣言をよりによってアーデルに……
クラーラを溺愛するあまり、クラーラに求婚する不埒な男達を躊躇なく排除して来た超ドシスコンなアーデルの目の前で発したのだ。
当然、アーデルが冷静で居られるわけなく……
ガシッ!!
「アーアーゴメンナサイ。ヨクキコエナカッタカラモウイチドオッシャッテクダサイマセンデショウカー……めきめきめきめきめきぃ」
顔は笑ってるが、目が全くもって笑ってない……
口調も淑女然こそしていても、口からつむがれた言葉は先ほどの覇王の風格が子供だましとしか思えないほどの怒気が籠ったもの。
常人であれば即座に意識を消失するほどのものであるも、『鋼鉄の爪』でもって砕かれんとする顔面の痛みは気絶という安易な逃げ道を完全に封じていた。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「ヒメイバカリアゲテナイデ、サッサトシツモンニオコタエクダサリマセンカ?みしみしみしみし」
「「「「「「「…………(いや、質問に答えてもらいたいならその右手を放してやれよ)」」」」」」」
周囲……特にアーデルをよく知る面々は思わずそう心の中で突っ込むも、それを口に出す者はいない。
今のアーデルに進言しようものなら、どんなとばっちりが来るかわかったものでない。
それに、あの三男坊は先ほどから(仮)であっても王の前で散々不敬を働いたあげく、王位簒奪宣言までしてるのだ。
この場で処刑されてもおかしくないだけあって、わざわざ止める理由も必要性もない。
よって、アーデルが仕掛けた『鋼鉄の爪』は誰からも止められる事なく……
グシャー!!
砕かれた。
三男坊の顔面は頭蓋骨ごと、粉々に砕かれた。
わけはない。
「アーデル様。ここで殺すのはまずいのでそろそろ許してあげていいかと思いますが……?」
砕く前に、アーデルを止める豪胆な者が現れたのだ。
「エ~トビア……デハナクビィトサマ~コイツハショケイケッテイダシ、イマココデコロシテモモンダイナイハズデスヨ~」
「処刑までは止めません。ですが、ここは謁見の間。王都の貴族街に続き、国王の威厳の象徴となる場を血で穢せばせっかく無血開城させた意味がなくなってしまうのではないでしょうか?
不本意であろうともここは一つ穏便な対処を……」
「………それもそうね。いいわ、今のところはこれで許してあげましょう」
最後の仕上げとばかりに三男坊をぽいっと投げる。
ゴミをゴミ捨て場に投げ捨てるかのように、腰が砕けたままの馬鹿連中へと山なりの放物線を描くかのごとく放り投げる。
「あべしっ!!」「たわばっ!!」「うわらばっ!!」
ゴミ達から様々な断末魔があがるも、別に死んでない。
三男坊すら頭蓋骨にヒビが入った程度で致命傷には至ってないのだ。
意識も投げ捨てられた際の衝撃のおかげでまだ保っており、再度アーデルを睨みながら叫ぶ。
「貴様はやはり王失格だ!!こんな暴力を振るうような者が王になってはならん!!王には万人に優しいクラーラ様こそが付くべきだ!!!」
万人に優しい……
クズ王太子一派と一部……具体的にいうとアーデルはクラーラが優しいと信じているも、実際は全くもって優しくない。
礼儀知らずには辛辣な対応をとるし、時には暴力沙汰すら起こす。
相手が貴族のような目上だろうとも、相手の立場なんかお構いなしだ。
唯一の例外があるとすれば、クズ王太子一派。
クラーラはクズ王太子一派に粛清を与えるのはクズの婚約者で一番の犠牲者である義姉アーデルこそが相応しいと考えており、アーデルが動くまでは自分も無難な対応をすると心に決めていた。
だからこそクズ一派の勘違いが余計加速してるわけだが……
クラーラの本性を知らない三男坊は自信満々にその事実を突き付ける。
周囲の若手達はすでに心がへし折られ、さりとて爵位だけは高い三男坊に進言する気概……
国の頂点である王に散々不敬を働いていた事を棚上げにしてる事に気付いてないまま及び腰になるも、三男坊だけは未だ心は折れなかった。
一応彼、トリネー視点で語れば今は千載一遇のチャンスなのである。
そのチャンスは果たして本当に千載一遇なのか……?
あえていおう、絶対ちげーよwww




