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111/229

110.ならこの王座に相応しいのは誰かしら?(SIDE:アーデル) ※ 4度目の害虫貴族駆除回(その1)

最初はアーデル視点で残りの害虫駆除にかかります

(そりゃぁ驚くわよね)


 アーデルは謁見の間にて、驚愕の顔を浮かべる面々を見渡しながらそう思った。

 ただし、驚愕こそ共通でも内心は様々だろうと予測する。


 ようやく謀反を起こしたのかっと、どこか予定調和だと思う者もいれば……

 なぜ今この時にっと、タイミングに驚く者もいるだろう。


 他にも、手に持つ王錫にべっとりと付いた赤い液体……正体はトマト……をみて、王の運命を勘違いする者もいるだろう。


 そうなれば当然……



「貴様がなぜ王座に座っている!!」


 アーデルが王殺しによって王座に着いたと思う者はいる。

 その中でも血気盛んな若手が立ち上がって糾弾してきた。


「貴様!!王の前で不敬だぞ!!!」


「何が不敬だ!!何が王だ!!!王を殺してその座を奪ったこの簒奪者が!!!」


「そうだ!!貴様こそが不敬だ!!!」


「その王座はお前が座る者ではない!!もっと相応しい者がいるではないか!!!」


 王の前であるにも関わらず、『面をあげよ』の命が無いにも関わらずに次々と立ち上がって糾弾する面々。

 ただし、糾弾に参加するのは全体の1割にも満たない数。大半は追従することなく黙々と首を垂れるのみ。


 それもそうだろう。


 アーデルが王座へと着く事に反対、もしくは不満を抱くような連中は件の戦争と昨夜の大掃除でほぼ全てを地獄送りにした。


 特に昨夜の大掃除は王都中が大騒ぎとなるぐらいド派手にやったのだ。

 被害にあった連中も戦争に率先して協力やら戦争のどさくさで私腹を肥やそうとした悪党ばかり。余程の無能でなければ、あれが見せしめによる粛清だと気付く。


 新たな王となったアーデルに逆らえば、どうなるかなんて一目瞭然。

 わからないのは空気が読めない馬鹿……


 ただ騒ぐ程度しか出来ない無能だからっと処分を後回しにした連中。

 クズに近しい位置にいた同年代の連中ぐらいだろう。


 その中には先日のパーティーの参加者もいる。

 クズを見限ってアーデルの派閥への鞍替えを試みたようだが、まともに取り合わなかったので彼等は逆恨みした上で今この瞬間、アーデルを糾弾できる弱みを得る事ができたのだ。


 彼等は自身が正義とばかりな強気な態度で批判を始めた。


 自分達はそんな権利なんて一切ないというのに……

 問答無用で切り捨て……いや、物理的に叩き潰されても文句言えないというのに……


 実際、メイをはじめとする過激派達は視線で『殺っていいですか?』とばかりに訴えてた。


 だが、あの中にはパーティーに参加していない者。閻魔帳には処分を保留とされている者が居るのだ。

 保留中の者を選別せずに処分は不公平なので、アーデルは過激派達にステイのサインを送りながらあえて真面目に取り合う事とした。


「王座に相応しくないと言うけど、ならこの王座に相応しいのは誰かしら?まさかデルフリなんて言うわけじゃないわよね」


「うっ……」


 アーデルの言葉に馬鹿達は口を閉ざす。

 彼等は空気の読めない馬鹿といっても、クズはすでに王の器でない事ぐらいは理解できてるようだ。


 だが……


「デルフリ様こそが王にふさわしい!!あのお方は王家最後の生き残りだ!!!」


「あの方以外、王に就ける者はいない!!」


「そうだ!!あのお方の足りない所は我々臣下が支えればいいのだ!!」


 どうやら、意見を覆す気はないようだ。

 ちなみに彼等の言い分、王の足りない部分は臣下が支えるは正論でもある。

 アーデルも以前まではクズを支える気概を持って王太子教育を受けていたわけだからなおさらだ。


「その通り。貴方達の言葉も一理あるわ。でもね……」


 だから、アーデルも彼等の言い分を否定しない。

 ただし……


「デルフリには今回の戦争を引き起こした元凶であり軍を率いた将として、敗戦の責任取ってもらわないといけないのよ。その命で……ね!!」


 ダンっと王錫で床を叩く。

 その際トマトの汁が飛び散り、一部が顔にかかったのでせっかくだからなめとる。


(うん、旨い。やっぱりアムル領で採れた新鮮トマトは美味しいわ)


 トマトの旨さについにやけるも、それは端からみれば血を舐めて笑う狂人にみえたのであろう。

 あちらこちらから悲鳴があがる。


「な、なにが……責任だ!!元はといえばお前のせいだろ!!」


「そうだ!!お前がゼーゼマン領に逃げ込まなければ……」


「逃げるって何のことかしら?なんか私が先日教会からハイド第四皇子様に抱えられてゼーゼマン領に走り去ったとかいう目撃情報聞くけど……それロッテンで私じゃないわよ。

 だってそのころの私はギスカーン伯爵のご子息が率いる商隊に随伴させてもらう形でアムル領に向かってたわけだし」


 そう言いながらアーデルは淡々と説明する。

 あの日教会の拷問室で起きた真実を……


 マイヤーの策略によって与えられた誤情報の答え合わせをするかのように……

 多数の証拠や証言を元にして、馬鹿達の拠り所としていた情報を根本からへし折った。


「さぁて、まだ反論・あ・る・か・し・ら?」

完全に論破して終了したのでこの謁見は早くも終了ですね

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― 新着の感想 ―
トマトの汁を舐める……素晴らしい悪役っぷり(笑)それに対して吠えるなんて……正しくかませ犬ですね♪ 敗軍の将ならその責任を取らないとイケナイのは当たり前♪そんなのにオサルの大将になってもらうなんてね…
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