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妄想はいにしえの彼方から。  作者: 大嶋コウジ
ラ・ムー
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アトランティス調査団③

 赤ん坊のシイリは、ともかく俺をカウラのところに案内したがった。本当に赤ん坊なのか、こいつは……。


"カウラ兄ちゃんは、すごい人だから助けてくれるよっ!"


「何がすごいんだよ……。語彙力が無くて疲れるわ……。まあ、兄貴のことは分かってるけどさ……。早く場所を教えろ」


"うん、分かった~"


 ともかく、シイリの言った方向に移動して、カウラって奴とその両親、つまり、この時代の池上の両親の居るところに向かった。シイリが言う先には、小さなボロアパートがあった。


「ここに居るのか?……えっ?!お、お前ら銃を構えろっ!!」


 俺と仲間達が近づくと急にロボットが襲ってきた。しかし、当然、レーザー銃で蹴散らしてやった。俺達を舐めるなって~の。


「あぶねぇ、ムーのロボット……、ロネントってやつか……。何で襲ってきたんだ?」


 ともかく、池上のこの時代の家族にやっと会えた。彼らは、俺達を襲ってきたロボット達に監視されていて身動きが取れなかったらしい。何でロボットに監視されていたんだ?。


 ともかく、カウラ達を戦艦に案内して、瀕死状態の池上に会わせた。当然といえば当然だが、彼らは絶望したような顔になった。


「ロウア……。しばらく見ていないと思ったら、こんな事に……」


「あん?俺はここに居るぜ、兄貴」


「えっ?君はホセイトスさんだよね?」


「……そ、そうだった。俺はあいつと合体して……何でもねえよ……」


「???」


「それより、どうするんだ?兄貴……じゃなくて、カウラ……さん」


「まずは出血を止めよう。輸血に僕の血液を使ってくれ。ある程度回復したら、この子の手足を取り付けよう……」


 そう言うと、カウラは動かなくなったロボットを指差した。


「その動かないロネントか?」


「そうだ。何で僕は我が家のポンコツ家政婦ロネントなんて持ってきたんだろう……。だが、持ってきて正解だった」


 彼は、背中に家政婦を乗せて船にやって来たので何なのかと思っていた。後でロボットだと説明されたんだが、俺は何のためにもってきたたのか理解出来なかった。まあ、つまり本人もそうだったらしい。


「さあな、もしかしたら、赤ん坊に案内されたんじゃないか?あははっ!」


「あ、赤ん坊だって?」


「優秀な赤ん坊がこの船には乗っているんだよ」


「そ、そうなのか?」


「しかし、ロネントにさっきも襲われたけど、こいつは大丈夫なのか?」


「電池が切れているから大丈夫だよ」


「それなら良いけどな」


 池上の熱は続いたが、しばらくすると状態も安定した。その後、カウラは池上にロボットの手足を付けてやった。


「これで良しと、上手く動かせるだろうか……」


「そんなに難しいのか?」


「思念で動かすんだが、始めは制御が難しいんだ」


「そうなのか……」


 義手や義足とは違うらしい。俺はロボットのことはよく分からなかった。


「それにしても、う~ん……」


 しかし、同室に居るこの池上の、つまり、ロウアの父親は、御岳教授とそっくりな顔をしていやがってビックリだったぜ。


-----


 しばらくして、ベッドの上で池上は目を覚ました。異常な回復力だぜ。


「こ、ここは……?」


「大丈夫か?俺の船だぜ?」


「き、君は……永原か……、あれ、それともロウア君?」


「ロウアも一緒だぜ?なんか知らんがシンクロしちまった」


「そ、そうだったのか……。よかった。何処に行ったのかと心配していたよ」


「悪かったな、なんせ急に肉体に宿ったんだ。未来の俺も居るし混乱気味だぜ」


「あはは……。懐かしい口調だなぁ……。何にしても良かった」


 池上はそう言うと少し涙ぐんでいた。今度は"永原"の番だ。


「しっかし、久しぶりだな。この前は、一瞬でセウスに連れられてしまったからな。こうして話すのは何年ぶりだ?」


「う~ん、マイナス一万二千年ぐらいじゃないかなぁ……」


 池上が冗談を言ったので俺は大爆笑してしまった。


「ぷっ!あははははははっ!!じょ、冗談言えるぐらいだ、大丈夫そうだな、ぷぷぷっ!」


 俺が腹を抱えて笑っていると、池上は取り付けられたロネントの手足を器用に動かしていた。


「この手足……、ロネントだよね」


「そうだ、兄貴……じゃなくて、カウラが付けた」


「そうか……カウラさんが……」


「お前、よく動かせるな。動かせるようになるのはしばらくかかるって言ってたぜ?」


「まあ、何となく使い方は分かる。使って居る人を見てきたからね。そ、それよりも急がないとっ!!」


「急ぐって何処にだよ」


「神殿だっ!神殿に急いでくれっ!」


「もうすぐ神殿だぜって……お、おい」


 あいつは手足もままならないのに、その足で甲板に出て行った。俺は池上の後を追った。カウラも後からやって来た。カウラはあいつを止めるつもりはなかったらしい。


「ロウア、手足の動かし方は分かるかい?」


「平気だよ、カウラさん。イツキナ先輩を見てきたからね」


「イツキナ君を?……お前は彼女がロネントを使っていたのを知ってたのか」


「イツキナ先輩にはオーラが無いから変だと思ってたよ。でも、何か理由があるんだと思っていたから……」


「そうか」


 俺の船が神殿上空にたどり着いたときだった。あいつは、地上の惨状を見て真剣な顔になりやがった。


「……また僕はミスしたのか……しかし」


「ミスってお前……どうするつもりなんだよ」


「……船を地上に降ろしてくれ」


「あん?降ろすってったって、何処に降ろすんだよっ!」


「僕はちょっと行ってくる」


「今、行ってくるって言ったのか?お前、その手足でどうするつもり……お、おいっ!池上っ!あぁっ!」


 本当に手足の使い方を知ってるのか?そんなことを考える暇も無く、あいつは空中に浮かぶ船から飛び出して行きやがった。無茶をしやがる。


 だけど、人だらけのここ(神殿付近)にどうやって俺の船を降ろしゃ良いんだよっ!無茶苦茶じゃねぇかっ!あいつはそういう奴だったっけ?もう少し思慮深かったような気がするが。


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