幽霊部員たち
部室ではシイリが歓迎されて、シイリもその歓迎に感謝していた。
(また部員が増えたな…。)
魂のロウアもこれを見ていて、話しかけてきた。
(良かったです。あぁ、私も涙をもらってしまいました…。)
メメルトもこの場でシイリの姿を見て喜んでいた。
(メメルトさん、ありがとう。大手柄だね。)
(いえいえ、実際助けたのはイケガミ様ですし…。でも、助かって良かったです。
部員として迎え入れてもらえたようですし。)
(そうだね。
あっ、メメルトさんも部員だよ?アマミル先輩も話していたし。)
(あ、ありがとうございますっ!嬉しい…。
アマミルをこれからも助けたい…。
私のような人を増えないようにしたいです。)
メメルトはアマミルを助けたい気持ちでいっぱいだった。
(幽霊部員が増えたな。)
(幽霊部員って僕の時代では名前だけ所属して活動していない部員のことを言うんだけど…。)
(そうなんだっ!あははっ!)
(ロウア君も幽霊部員って事だ。)
(あん?俺も部員かよ?知らねーよ、んなの。
ま、お前のそばにいれば楽しいから、いるだけだって。)
ロウアは憎まれ口を言ってるが少し照れているように見えた。
(まぁ、まぁ、二人とも影となって助けて下さい。)
(はいっ!是非っ!!)
(ふんっ。)
(だけど、シイリもいずれ霊界に戻らないとね。)
ロウアはシイリの今後を心配した。
(まぁ、でもしばらくはイイんじゃね?)
(…あはは、そうだね。)
(そうですね、私みたいに苦しまないで欲しいです。
それに、動けない身体ではなくて…
===== ピ~ッ、ガラガラ… =====
===== ピ~ッ、ガラガラ… =====
===== ピンポンパンポ~ンッ! =====
===== 未来が入れ替わりました~っ!=====
= アーカちゃんの登場ですっ!! =
= 今回は出るタイミングを間違えちゃったよぉ。 =
= もうちょっと早く出ても良かったんだよね。 =
= ごめんねぇ~。 =
「え、あぁ、いえいえ…。」
= 何だよぉ。ちょっと冷たくない? =
「そ、そんなことは…。いつも唐突なので…。」
= 何か飽きちゃった感があってやだなぁ。 =
= せっかく僕がお知らせに来ているのに何だよ~…。 =
「そ、そんなことは、えっと…、今回も何か変わったのでしょうか、アーカ様…。」
ロウアは精一杯のお世辞を言った。
= おぉ、様付けとは、分かっているじゃないかぁ。 =
= 仕方ないなぁ、教えてあげるかぁ。でも、"ちゃん"が良いなぁ。 =
「は、はい…、アーカちゃん。
今回はもしかしてシアムの未来が変わったのですか?
しかし、シイリが今回は助かったように思うし…。
未来では彼女がシアムの代わりに生まれるのでしょうか?」
= 何か急にバカ丁寧だなぁ。 =
= 良いところをついたけど、ちょっと違う。 =
「えっ?」
= シイリちゃんは母親から生まれることが出来なくて苦しんでしまったようだけど、 =
= 彼女自体のカルマが問題では無くて、母親の方のカルマが問題だったんだよね。 =
「シアムの母親が問題…?」
= そうそう。 =
= 彼女は身体が病弱だった。そのせいで子どもを堕胎させてしまった。 =
= この時代の堕胎治療でも回復させることが出来なかったんだ。 =
= その苦しみは彼女をずっと苦しめていた。 =
= そう、シイリちゃん以上にね。 =
= その苦しみは深いカルマとなって、転生の度に堕胎をしてしまう事になった。 =
= だけど、今回、堕胎した娘と出会うことが出来たことで罪の意識が消えたようだよ。 =
「…あぁ。」
= だから、君の時代に堕胎してしまったシアムの来世、良子ちゃんもちゃんと生まれることが =
= 出来たようだ。その名前は、御嶽 良子。 =
「や、やっぱり、御嶽教授の娘さんだったのか…。」
御嶽教授は、ロウアが池上良信だった時に大学の研究室にいた教授だった。
池上の時はあまり接点がなかったが、研究室に所属したばかりの時に話したときは温厚な性格だったのを覚えていた。
= この時代でもお父さん役みたいだね。 =
= しかし、この教授は酷い人間だね…、あっ、言い過ぎた…、今の無しっ! =
「???」
= 母親の苦しみも消えて、シイリちゃんの苦しみも消えて良かったね。 =
= この時代でシアムとの縁も深くなって、君の時代にも生まれたようだ。 =
アーカは話をそらすようにシイリの話をした。
「な、なるほど…。」
= しっかし、こんなに時代の改変をして良いもんかなぁ…。 =
= お父さんに相談してみようかな。 =
「そうだ、君の言う、お父さんってどんな人なの?」
= 僕のお父さん?説明しにくいなぁ。 =
= 君の知っている言葉で言えば、宇宙?って言えば良いかなぁ。 =
「う、宇宙?!宇宙がお父さんっ?!」
= そうそう、君も会えるかどうかって人だ、あれ、人じゃないか…。てへっ! =
アーカはテへ顔で頭を自分でコツンとした。
= それじゃあね~。 =
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アカシックレコードが立ち去ると、時間が流れ始めた。
…自由に動く身体で少しうらやましいかもです。)
(…あっ。)
(どうされたのですか?)
メメルトはロウアが急に叫んだので驚いてしまった。
(ん?まさか、またアーカか?)
(う、うん…。)
(アーカ?)
ロウアはメメルトに説明した。
(えっ?地球の知識を集めている人なんですか?)
(彼女は人なんだろうか…。よく分からないんだ…。)
(時間が止まったようになるんだろ?俺達も何とも言えないんだよな。)
(さすが、イケガミ様ですね…。私の及ぶところではありません…。)
(……。)
ロウアは教授が酷い人間だと言っていたことが気になった。
あの温厚な御嶽教授がなぜ酷い人なのか。
だが、この時代ではどうにも出来ず、心の奥に潜めさせることしか出来なかった。




