本当にごめん
「それでは私達の演奏が成功したことを祝しまして、乾杯です」
「「乾杯」」
このみが元気よくグラスを持つと、突き出された5つのグラスにこつんとコップを当てる。
現在拓海達がいるのは以前剛達と来たお好み焼き屋。
小五郎が空いている店でお昼を食べようという話をした時、このみがこの店を指定したのだった。
「拓海先輩、何で乾杯って言ってくれないんですか? しかもそんなに不機嫌な表情をして、演奏が成功したんですからもっと笑いましょうよ。笑顔です」
「誰のせいでこんな表情をしてると思ってるんだよ」
このみが何を言っているのかわからないといった顔で拓海のことを見ている。
現在拓海達がいるテーブルにはこのみと古川の他に篠塚と剛も合流している。
先程全ての演奏が終わった後、剛と篠塚にメールでお昼ご飯の誘いをすると2人共すぐここに来た。
現在の席順は手前側から古川、拓海、剛の順になっており、その向かいの席に篠塚とこのみが座る。
剛は先程からメニューを一瞥し拓海達とは一切話そうとしない。
「何ででしょうか? あたしはわかりません」
「わからないじゃないだろ? まだ注文してないのに何で俺の席の前にはお好み焼きを焼くヘラが置かれてるんだよ?」
「しょうがないですよ。だってうちのバンドの料理長なんですから」
「俺は料理長に就任した覚えはない」
拓海はこのみの前でまだ料理をしたことはない。
そのため拓海の料理の腕をこのみは知らないはずであった。
「愛梨先輩に聞きましたよ。拓海先輩のお好み焼きおいしかったって」
「愛梨ちゃん?」
「すいません。この前の話をこのみちゃんとメールでしてた時、お好み焼きの話をしてしまったので」
篠塚は申し訳なさそうに拓海の事を見る。
別に拓海は話してもよかったのだが、このみのにやにや笑いがどうしても許せなかった。
「拓海君料理上手いんだ。僕料理できないから尊敬しちゃう」
「俺だってそんなにできるわけじゃないよ」
「えっ? 真里菜先輩と孝明先輩も拓海先輩の料理の腕はプロ並って言ってましたよ」
「そこからも情報が漏れてたのか」
孝明と真里菜からも情報が漏れていたことに驚く拓海。
もし会う機会があれば、あの2人にも自分の情報をこのみにだけは話さないようにお願いしようと決めたのだった。
「プロ並って、拓海君すごいね」
「確かに私が食べたあの料理もすごいおいしかったので、そういわれるのも頷けます」
古川と篠塚の中で拓海の作る料理のハードルがあがっていく。
拓海は殆ど発言していないのに、自然と上がるハードルに恐々としてしまう。
これでまずいものを作ったらどうしようかと。
「そうだ。拓海先輩、これを付けてください」
「なんだよ? タオル? これをどうするんだよ」
「これをこうして頭に巻きつけて、できました」
このみが拓海の頭にタオルを巻きつけた。
拓海からは自分の姿が見えないので、自分がどの様な姿になっているかわからない。
ただ周りの反応で大体どんな姿になったのか察することが出来た。
「拓海さん、お祭りの屋台にいる人みたいです」
「江戸っ子ってこういう人のことを言うんだね」
「拓海先輩、その姿最高にあってますよ。よっ、料理長」
「だから、いつから俺は料理長に就任したんだよ」
愚痴りながらもこれ以上このみ達の相手をすると疲れるだけなので、メニュー表を開き何を頼むか確認する。
このみも拓海のことをいじるのに飽きたのか、篠塚と共にメニュー表を見ていた。
「それでは早速注文しましょう。すいません、そこのお姉さん。ここからここまでのお好み焼き全て下さい」
「待て待て待て。そんなに食べれるわけないだろ。まずはメニューを選んでからにしろよ」
「大丈夫です。ここはおじいちゃん達がおごってくれるので、今日は食べ放題です」
「それで残したら意味ないだろ? ちゃんとメニューを選んでから店員さんは呼ぶ。これは決まりだから」
「えぇ~~っ」
絶叫するこのみを尻目に拓海はメニュー表を見ていく。
現在拓海達のテーブルには小五郎達、橘バンドの面々はいない。
小五郎曰く「若い人達だけの方がいいだろう」ということで、別のテーブルに座っている。
そちらの方は既にお好み焼きを焼きながら楽しそうに話しており、拓海達とは違うベクトルでこの場を楽しんでいるようだった。
「しょうがないですね。じゃあ、牛すじチャーハンと広島ミックスで我慢します」
「それ俺が頼もうとしていた奴なんだけど」
「じゃあちょうどいいじゃないですか。半分こしましょう。半分こ」
「わかった。その2つは半分に分けるよ。お好み焼きは食べなくていい?」
「お好み焼きも食べます。こうみるともんじゃ焼きもいいですね」
「わかった。このみはゆっくり選んでて」
メニュー表の端から端までをくまなく見ていたこのみを他所に隣の古川を見る。
古川は古川でメニュー選びに難航しているようだった。
「古川君は何が食べたい?」
「僕はおこたこ焼きってやつがいいな。なんかすごくおいしそうだから」
「もんじゃ焼きは? お好み焼きとちょっと違う食べ物なんだけど、意外とおいしいんだよ」
「へぇ~~、おいしそう。僕もんじゃ焼きって食べたことないんだよね。どんなのがあるの?」
メニュー表のもんじゃ焼きの欄を指差すと、古川はそこをじっと見つめている。
メニュー表を見つめる古川は真剣に悩んでいるようで、メニューが決まるまでそのままにしておくことにする拓海。
同時に顔を上げた篠塚に話を振ることにした。
「愛梨ちゃんはもう決まった?」
「はい、私はねぎ塩カルビもんじゃってやつを食べてみようと思います」
「それって僕も少し分けてもらっていい? 僕のお好み焼きも少しあげるから」
「はい、いいですよ。他には何か頼みますか?」
「古川君達は楽しそうだな」
メニュー表を見ながら話す古川と篠塚のうれしそうな姿を見て、仲がいいなという感想を持つ。
ここまで古川と篠塚の相性がいいとは思っていなかった拓海。
現に以前遊びに行った時よりも、篠塚の笑顔が増えたし古川も本田莉緒に怯えていた面影はない。
つくづく先日このみのことを捕まえてよかったと拓海は思った。
「そういえば剛君は何食べる? お好み焼きとか色々あるけど?」
「俺はいいよ。飲み物だけあれば」
「そうですよ。聞くだけ無駄なだけです」
「こら、このみ。余計なことを言うな」
ムスっとした表情をするこのみを拓海はたしなめる。
このみはいまだに剛のことを許していない。
現に剛とは先程から一切目線を合わせようとしていないので、それは明白だった。
「あたし、この前のことまだ許してませんから」
「ちょっとこのみ、何言ってるんだよ?」
「むしろ拓海先輩はよく許せましたね? この人に殴られそうになったのに」
このみは以前音楽室であった出来事を引きずっている。
その件は剛にも悪い所はあるが、原因は永森にあると考えている。
剛も反省している様子を見せていたので、拓海はそのことは既に水に流したのであまりぶり返されたくはないと思っていた。
「拓海、そのことなんだけど」
「なんだよ? 急に殊勝なこと言って。いつもの剛じゃないみたいだな」
剛が拓海の方に体ごと向き直ると、正座の姿勢で頭を下げた。
その姿勢は土下座と呼ばれる姿勢だったが、拓海は何がなにやらわからず混乱してしまう。
「いきなり何してんだよ。周りの人が変な目で見てるから、とりあえず顔上げろって
「本当にごめん、お前を疑って。感情的になってあんなことまでして、本当に悪いと思ってる」
「おい、謝るなよ。俺は別に気にしてないから」
「後、橘さんと古川君にも突っかかってごめん。悪いことしたと思ってる。ごめんなさい」
「僕は気にしてないからいいよ」
「まぁ、謝ってくれるならあたしは許しますけど」
あまりに突拍子のない謝り方に、このみ自信も何も言えないようだった。
古川は元々剛のことを怒ってないようで、笑顔で許していた。
ただ1人事情がわからない篠塚だけは、剛の土下座を呆然とした表情で見ていた。
「突っかかって、感情的になって? 剛さんは何を?」
「そのことは後で話すから、とりあえず注文しよう。すいません、お願いします」
その後拓海がよどみなく注文すると古川と剛を連れて飲み物を取りに行き、席へ戻る。
ドリンクバーの所まで行く間店内を見回したが、あまりにも人が少ない。
夏休みなのに予想以上にこの店は人が少なかったので、採算が取れているのかと拓海は不安になる。
席へと戻るとこのみと篠塚が何かを話していた。
「何を話していたの?」
「さっきの剛さんの話です。愛梨先輩に説明をしていました」
剛は1人罰の悪そうな表情をしながら席へとつく。
それとは対照的に篠塚は男性人を見て、苦笑いをしていた。
「拓海さん達も大変だったんですね」
「多少ね。でも、今は気にしてないけど」
「そういえば光ちゃん、永森さんと付き合ったらしいですよ」
「マジ?」
剛は驚いた表情をするが、拓海は何故剛がそのような表情をするのかわからない。
あの2人が付き合うことになるのは時間の問題だと思っていた拓海。
永森の腕に抱きついていた光を見ていれば、それは一目瞭然だと拓海は思った。
「何でそんなに驚いてるんだよ? あの2人見てたら普通そう思うだろ?」
「でも、永森のやつ一言もそんなこと言ってなかったし」
そこまで剛に言った所で、拓海は永森が何故剛を拓海にけしかけたのか合点がいく。
たぶん剛は光と永森が上手くいったのかしつこく聞いたので、矛先を変えるために拓海の話をしたのだと思った。
「それと言ってもいいことかわからないんですが、瑠璃ちゃんについて‥‥‥‥」
「瑠璃ちゃん? 篠塚さん、瑠璃ちゃんあれから俺のこと何か言ってたの?」
「剛さんのことは話してませんが」
「じゃあ何? 瑠璃ちゃんの話なら俺超聞きたい」
「剛、あまりがっつくなよ」
「あまりいい話ではないんですが‥‥‥‥瑠璃ちゃんに最近彼氏が出来たそうなんです」
そのように話す篠塚はどこか節目がちに、それこそ後ろめたいことを報告するように話す。
なんとなくそんな気がしていた拓海はため息をつき、古川とこのみは剛に哀れみの視線を送った。
「それって、いつ?」
「7月の終業式の日ですね。確か国立大の大学生だとか」
「うわぁ~~」
その情報を聞き、このみがたまらず声をあげる。
あまりの残念さにさすがに叫んでしまったように見える。無論拓海もこのみと同じ気持ちだった。
「それじゃあ愛梨ちゃん以外は彼氏が出来たってこと?」
「そういうことになります。私も瑠璃ちゃん達から最近拓海さんとの話を聞きたいって、よくねだられてしまって」
そこまで話した所で篠塚の話は止まり、拓海の隣の席に座る剛に視線を向けている。
既に拓海の隣にいる剛は虫の息であり、隣で呪詛のように何かをつぶやいていた。
「大丈夫だって。剛君にもきっとそのうちいい人が見つかるよ」
「拓海以外の人に同情された」
「そうです。剛さんもこれから頑張ればいいじゃないですか」
「後輩にまで同情される俺って」
剛がへこんでいる所に注文したお好み焼きのタネが届く。
店員さんがテーブルの手前にタネの入ったボールを置き、お好み焼きを焼く準備が整った。
このみはお好み焼きができるその時を、いまかいまかと待ちわびていたようだった。
「さぁ、傷心の剛さんは放っておいて早速焼きましょう。はい、拓海先輩お願いします」
「このみ、何で俺にお好み焼きの生地を渡した? 自分で焼く気はないの?」
「やだなぁ~~。あたしが焼くより拓海先輩が焼いた方がおいしいじゃないですか。料理長なんですから」
「少しはこのみも手伝ってよ。俺今日頑張ったんだから」
「この前のデートでは率先して焼いてたくせに」
「わかった、俺がやるから。ちょっと待ってろ。後そのフレーズは2度と口にしないでくれ」
すねたこのみからお好み焼きのタネが入ったボールを奪うと、タネをかき混ぜもくもくとお好み焼きを焼き始める。
拓海の一連の手際のよさに隣にいる剛は驚いているようだった。
「拓海、お前なんでそんな手際がいいのにこの前焼かなかったんだよ」
「剛のいい所を瑠璃ちゃんに見せるために決まってるだろ? あそこで瑠璃ちゃんにアピールしなくてどうするんだよ」
剛にいい所を見せるために拓海はお好み焼きを焼かせたのだが、全然意図を剛は理解していなかったらしい。
生地を広げ、手際よく焼いていると横から別の器が渡された。
「古川君?」
「出来れば僕達のも焼いてくれたらうれしいんだけど、いいかな?」
「わかった。そっちのも焼くから器をそこにおいといて」
「ありがとう拓海君」
古川の器を受け取り、拓海は古川達が作る予定だったもんじゃ焼きを作っていく。
もくもくとお好み焼きともんじゃ焼きを作っている時、ふと古川がこのみとお好み焼き屋に来たことを思い出す。
2人共殆ど料理が出来ないのなら、一体何を食べていたのだろう。そんな疑問が拓海の頭によぎった。
「そういえば古川君って、この前ここにこのみと来てたよね?」
「うん」
「その時ってどっちが焼いてたの? まさかどっちも焼けないとかないよね?」
古川は拓海の方を見て苦笑いをする。
それは暗に拓海の想像通りの展開だといわんばかりだった。
「最初は僕が作ってて、あまりにも下手すぎて形にならないからこのみちゃんに手伝ってもらったんだけど‥‥‥‥」
「このみ、料理できるなら少しは手伝ってよ」
「あたしだって全然出来ないですよ。以前古川さんとここに来た時は、すごいいびつな形のお好み焼きを食べたんですから」
「うん、お互いに焼くのに苦労して結局飲み物ばかり飲んでたもんね」
拓海はその話を聞き、特製イチゴパフェとパンケーキを食べた後に自分のフライドポテトにまで手を出していたこのみの食欲に納得する。
元々古川は少食らしく、あんまり食べないがこのみは違う。
お好み焼き屋で全然食べられなく、喫茶店で昼食を取ったのだと思った。
「とりあえずお好み焼きはできたから、このみと剛で分けてくれ」
「わぁ~~い、拓海先輩さすがです」
「うぉっ、マジでうまそう」
「古川君達のもんじゃ焼きはもう少し待ってて。今作ってるから」
「うん、わかった」
お好み焼きをこのみと剛が食べている間に、別に頼んだお好み焼きを焼いていく。
もう1枚焼いている間に、もんじゃ焼きの仕上げに拓海は入ることにした。
その様子を古川と篠塚が見入っている。
「拓海君って本当に料理が上手いね」
「すごいです」
「ありがとう。はい、できた。もんじゃ焼きはこれをへらですくって食べてね。後出来たてで熱いから、やけどしないように」
「わかった」
「それでは古川さん、食べましょう」
「愛梨先輩、このみも少しもらっていいですか? もんじゃ焼きもおいしそうです」
途中からこのみも古川と篠塚の話に加わる。
それを見て拓海はさっき食べていたお好み焼きはどうしたんだという疑問が浮かぶ。
お好み焼きを焼いてから5分も経っていないので、このみが催促をするのは明らかにおかしい。
拓海の頭の中にはそんな素朴な疑問が浮かんだ。
「このみ、お好み焼きはどうしたんだよ? さっきまで食べてたろ?」
「もう食べちゃいました」
「食べちゃったって‥‥‥‥えっ?」
「拓海」
隣で剛の泣きそうな声が聞こえたので、横を向くと剛が顔をくしゃくしゃにしていた。
鉄板のお好み焼きの方に視線を向けると既にお好み焼きはない。
残ったお好み焼きは最初に切り分けたと思われる1/8サイズのお好み焼きが、剛の皿の上に半分残っているだけだった。
「聞いてくれよ、拓海。この女、お好み焼きほぼ全部1人で食べやがった」
「失礼ですね。剛さんが食べるのが遅いんですよ」
「このみが食べるの早いんだよ。えっ? 本当に全部食べたの? あんなに大きかったのに」
拓海が作ったお好み焼きはそこそこボリュームがあり、そんなにすぐ食べらられるとは思えない。
ハンバーグ屋の件といい、このみの食べるスピードは拓海の予想を大幅に超えていた。
その拓海の目の前で心優しい篠塚がこのみにもんじゃ焼きを取り分けていた。
「このみちゃん、もんじゃ焼きはこのぐらいでいいですか?」
「ありがとうございます。今度はじっくり味わって食べるようにします」
「さっきのは味わってなかったのかよ」
拓海の発言を無視したこのみはおいしそうにもんじゃ焼きを食べ始める。
それを見て怒る気にもならず、粛々とお好み焼きを作る作業に戻った。
「拓海君、このもんじゃ焼き本当においしいよ。拓海君って料理の天才だね」
「ありがとう。チャーハンもこれから作るから、ちょっと待ってて」
「わぁ、あたし拓海先輩が作るチャーハンがすごく楽しみです」
「このみは食べすぎ。それに食べるスピード早すぎだからもっとゆっくり食べろ」
「今は結構ゆっくり食べてますよ。そうだ、いいこと考えました」
このみが何かを閃いたようだが、絶対にろくなものでないと拓海は思う。
だが、このみは目をキラキラさせながら提案をした。
「拓海先輩があたしに食べさせてくれればいいんですよ。それで解決です」
「はい?」
「だから、拓海先輩があたしの小さいお口にご飯を入れてくださいといったんです」
このみが何を言っているかわからず、チャーハンを炒めていた動作が一瞬止まる拓海。
隣で古川が拓海のことを揺らすことで正気に戻ることができた。
「やべっ、お好み焼きもひっくり返さないと」
「拓海君、チャーハンもいためないとこげちゃうよ」
「なんだかあたふたしてきましたね」
「誰のせいだよ。誰の」
慌てて拓海はチャーハンを炒める作業に戻ると同時に味付けも行う。
お好み焼きの方が先に出来たので愛梨と古川の皿へとおき、チャーハンを中央で炒め続ける拓海。
このみが愛梨と古川のお好み焼きにも手を出している間にチャーハンも作り無事に終えた。
「よし、剛小皿かして。チャーハン入れるから」
「ありがとう」
「そしてこのみ、お前は何で口を広げて俺の事を見る?」
「拓海先輩が食べさせてくれるって言ったからじゃないですか」
「俺、そんなこと一言も言ってないけど」
拓海がそのように言うが、このみは目を瞑り口を広げた体勢のまま動かない。
しょうがなく拓海は自分の食べるように使っていたへらでチャーハンを掬い上げ、このみの口の中に入れた。
「う~~ん、おいしいです」
「これで満足か?」
「はい、もう1口お願いします」
「さっきといってること違うじゃん」
口ではそのようにいいつつも拓海はチャーハンを再びすくい、このみの口の中へと入れる。
その光景は親鳥が小鳥に餌をあげているようにしか、拓海には見えい。
いつもはこのようなシチュエーションの時は嫉妬する剛ですら、2人の行動を見て哀れむような視線を向けていた。
「なぁ、拓海。俺今まで女の子にあ~~んしてあげている所を見て、これほどうらやましくないと思ったことはないぞ」
「確かに。なんか親鳥が雛にご飯を食べさせてるみたいだね」
「古川さんは黙っててください」
「何で僕だけに言うの」
「そうだ、パンケーキもあたしは食べたいです。拓海先輩、注文してください」
「僕のことを無視しないで」
オチがついたところで、篠塚も剛もみんなで古川の事を見て笑ってしまう。
こうしてお好み焼き屋で行われた祝賀会は騒がしく続いていく。
この騒がしいひとときは小五郎達が声をかけるまで続けられるのであった。
ここまでご覧いただきありがとうございます。2章はこれで終了です。
3章は推敲が完了次第投稿を始めたいと思います。
予定では8月上旬から中旬、遅くてもお盆辺りを目途に投稿を再開する予定です。
それまで日が空きますが、今しばらくお待ち下さい。




