また今度遊びに行きましょう
「今日はありがとうございました。すごく楽しかったです」
「こっちこそ、ごめんね。友達2人も連れてきちゃって」
「いえ、むしろこのみちゃんと古川さんと会えてよかったです。古川さんって意外と天然な方なんですね」
「それはあまり突っ込まないでよ」
「でも面白かったですよ。とてもユニークのある方なんですね」
篠塚が話しているのは古川とのアドレスの番号交換が上手くいかなかった時のことである。
スマホのバーコード画面が表示されなく、悪戦苦闘する古川。
結局、拓海が古川に操作を教えたので無事に番号交換が出来たのだった。
「古川さんは拓海先輩と番号交換したんですよね?」
「うん、テスト最終日に交換したよ」
「その時はどうしたんですか? あの画面表示させないと交換できませんよね?」
「う~~ん、どうやったっけ?」
よく考えればアドレスを交換するとき、拓海が全て自分でやっていた気がした。
だが、そのことは古川の名誉のため拓海は言わないでおく。
「愛梨さん、また今度遊びに行きましょう」
「はい、私も楽しみにしてます」
このみと篠塚の2人は完全に打ち解けたように拓海には見えた。
出会ったときはどうなるかと思ったが、こうして2人が仲良くしている所を見るとあそこでこのみを捕まえたのも結果的には良かったと思う。
心なしか山口や光といる時よりも篠塚の笑顔が増えたように拓海は感じる。
元々このみの見た目は女の子らしいが、中身は面倒見がよく困っている人を見過ごせないタイプなので、篠塚のことがほっとけないのだろうと思う。
ただ、何故か拓海に対しては我侭放題なこのみ。
その部分を直してほしいと心の底から思う拓海だった。
「拓海先輩も、もちろん一緒に行くんですよ」
「はいはい。わかりました」
「このみちゃん、その時は僕も誘ってくれるよね?」
「う~~~~ん、どうしましょう? 愛梨さん?」
「えっ? 私ですか?」
「そうです。あっ、今愛梨さんが迷ったんで古川さんは抜きです」
「そんな」
「すいません、古川さん。私はそんなこと思ってませんから。一緒に行きましょう」
先程から古川も交えたこのような会話も増えてきていた。
ただ、この会話をしている時の古川の扱いが、拓海には不憫で見てられない。
本人も冗談だと思っているからこそ、このような会話が出来るのでそれはそれで悪くないと思う拓海だった。
「もうすぐ電車が来るよ」
「わかりました。拓海先輩、何ぼーーっとしてるんですか?」
「あぁ、悪い」
拓海は無意識にホームで剛達のことを探してしまう。
だが電車のホームに剛達の姿はなく、永森達もいない。
この電車を逃すとあたりが暗くなってから電車が来るので、剛達が乗り遅れていないかと拓海は心配だった。
「じゃあ電車も着いたことだしそろそろ乗ろう」
「はい」
「拓海君も電車に乗らないといっちゃうよ」
「うん。今乗るから」
拓海は帰りの電車で剛達がいないことに一抹の不安を覚えるが、あまり深く考えないことにする。
1番重要なのは篠塚という大人しい少女に古川とこのみという新しい友人が2人も出来たことだ。
篠塚の笑顔を見ていれば、色々とトラブルに見舞われたが今日遊びに行ったことが無駄にならなかったように思う。
古川に促され拓海は慌てて電車に乗り、4人で楽しくおしゃべりをしながら帰宅の途につくのだった。




