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修学旅行 ‐聖徳太子の御利益は-

 奈良。京都以上に歴史ある古の都。

 我が国始まりの地ともいわれ、その歴史は古く、弥生時代後期から、大和時代(古墳時代)、飛鳥時代、奈良時代と続き、794年に平安京に遷都されるまでが、奈良の時代だったといえる。

 日本書紀、古事記によると、初代神武天皇が橿原(かしはら)で即位、建国してから2680年以上と言われている。

 そして、6世紀になると仏教が伝来してきて、その文化にさらなる影響を齎す。

 ただ、その影響が強過ぎたため、京都へと遷都する羽目になったのだが…。

 そんなわけで、この地には、世界遺産や、史跡名勝天然記念物が全国で最多であり、他にも多くの歴史遺産で溢れているのだ。

 でだ、ここで奈良の京都の違いに就いて、簡単に説明するとこうなる。

 古墳、遺跡、社寺、仏像と、全て古い歴史を持つのが奈良。

 社寺、仏像、庭園と、誰でも魅力が分かりやすいのが京都。

 まあ、オレ達から見れば、どちらも同じ古いものだが、やはり年代の違いがあり、双方で新旧の差が表れているということだ。


「おい、男鹿。もういい加減にしないか」


「???」


 オレに声を掛けたのは、学年主任の坂本だった。

 でも、いったいなんのことだ?


「お前が勉強熱心なのは判ったから、そのくらいにしとけ。ガイドさんが困ってるじゃないか」


「あ、い、いえ、その……」


 なるほど、ガイドさんの仕事の邪魔だったらしい。

 悪気はなかったんだが、悪いことしたな。

 とはいえ、やっぱりこういう所へ来るとなぁ…。


 その後も、ガイドさんの案内に従い、次々と名所を巡っていく。

 もちろん、ガイドさんの邪魔をしないように……。

 う〜ん、やっぱり言いたい…。


「ここ、法隆寺は飛鳥時代、聖徳太子により造営された世界最古の木造建築を有するお寺です。

 聖徳太子は中国の優れた政治や文化、仏教を積極的に取り入れて国を発展させ、20歳という若さで摂政の役職につきました。

 そのような功績を背景に、法隆寺は『学業成就』『入学祈願』『諸願成就』の御利益があると言われています」


「だそうだ。受験が心配な奴ら、しっかりお参りしておけよ」


「だってさ」


 ガイドさんの説明に乗っかって、担任の徳田がオレ達を揶揄(からか)ってきたので、オレもそれに乗ってみた。


「もう、純くんったらっ」

「全く、これだからお利口さんって奴は」

「う〜ん、なんで?

 美咲ちゃんはともかく、真彦ってそこまで成績悪かったけ?」

「ともかくって、酷いよ、純くんっ」

「そう言えば、真彦って公立の商業高校狙ってるんだったわね」

「まあな。これでも、店屋の跡取り息子だしな」


 そう言やそうだった。

 こいつも意外と、将来のこと考えてるんだな…。


 オレの場合はどうなんだろう。

 このまま、ソングライターになるんだろうか。


 ……いや、それよりも、もっと目の前の問題があった。

 早乙女純のことをなんとかしないとなぁ…。

 今のままだと、将来もくそも無いってんだ。

 このまま、巧くいって無事引退出来れば良いんだけどなぁ……。


 如何なる聖徳太子様でも、多分、こればっかりは無理だよなぁ…………。

 はぁ……。溜息しか出ないや。

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