美咲ちゃんの誕生日
他の投稿者の方を真似て、行間を開けてみました。でも、どうでしょうか。初めての試みのため、良し悪しがよく判りません。
新学期を向え、オレ達も遂に三年生。そして恒例のクラス替えが行われた。
「あっ、由希ちゃん! 真彦くんに純くん、天堂くんも!」
そして、美咲ちゃんとこのメンバーが、今年もクラスメイトとなったわけだ。
「おおぉっ。咲ちゃんと一緒のクラスだ。
これは運命的なものを感じるな」
「なんだ小藪、お前もか。よく見りゃ、他の連中もいるな。親衛隊が勢揃いだ」
「そう言われれば、御堂親衛隊までいる…」
「きゃ〜、天堂くんと同じクラスだぁ〜」
「うん、これって運命なのかも。神様は私達のこと、見ててくれたのね」
そうなのだ。今年はこいつら親衛隊連中も同じクラス。
それだけじゃない。
他にも、武士に、日浦のやつまでいる。
これはもう、小藪や日向(って、こいつも小藪と同レベルか…)の言うような、作者のご都合主義なんてものじゃなく、どうみても学校側の都合による、意図的なものだろう。
実際、担任教師は、若手教師のカリスマ、徳田龍之助だし、副担任教師は、ベテラン教師、学年主任の坂本良柔だ。
これは明らかに、学年内の厄介な生徒を、一所に纏めてしまおうといった、学校側の思惑としか思えない。
但し、リスクもそれなりに高そうだけど…。
まあ、それ故の、この人選というわけだ。
「あとは、純ちゃんがいたら完璧なのにね」
「そりゃ、仕様がないよ。早乙女純って、何処の誰だか判らないんだし」
「案外、同じクラスの子だったりして」
「そう言や、俺達のこと、結構、よく知ってるみたいだったよなぁ」
「確かにね。僕達と話してる時なんかにも、由希ちゃん達のことは、結構出てくるからね」
「うん、随分と親しそうに話してたもんね〜」
「でも、アタシ達もそうだけど、美咲ちゃんも、純ちゃんの正体については知らないんだったわよね」
「う〜ん、それについては秘密っていうか、純ちゃんってば、やっぱり教えてくれないんだよねぇ」
当然だ。教えられるわけがない。
絶対、バレるわけにいかない。
デビュー前後なら、物好きな特殊趣味扱いとか(それだけでも、冗談じゃない)、事務所の悪趣味な企画ということで済んだかもしれない。
けど、今は国民的アイドルだ。
それだけに、全国的に、詐欺だなんだで大騒ぎだ。
男性ファン達からも袋叩きにされかねない。
それはともかくとして、こうしてオレ達は、他者の思惑はともかく、一つ同じクラスになったというわけだった。
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学校が終わったオレ達は、以前、クリスマス会の時にも使ったファミレスへと来ていた。
遅れ馳せながら、4月4日が誕生日だった美咲ちゃんの誕生日会である。
参加者は、クリスマス会の時と同じ。
当然、早乙女純はいない。
代わりに、参加者から溢れたクラスメイト達が、周りの席に鬱雑鬱雑と。
店の迷惑になってなきゃいいけど…。でも、半ば貸し切り状態だし、いいのか?
見た感じ、忌避されてる様子はない。
どちらかといえば、歓迎されているようにも見えなくもない。
店員も、どこか気が浮き立っている感じで、こちらの様子をちらほらと窺っているし。
まあ、実際のところ、店の宣伝というか、話題にはなっているはずだから、気にすることもないのかもしれないが。
その証拠に、店内には『花房咲』『御堂玲』のサイン色紙が飾ってある。
あと、『早乙女純』ひとつで、うちの学校の三大アイドルを制覇だ。
よし、気にするのは止めよう。
なにより、オレ達は客だ。
派手に騒ぎ過ぎない限り、問題ないはずだ。
野次馬達を他所に、パーティーは始まった。
去年とは偉い違いだ。
去年は、オレと真彦と由希だけだったというのに。
随分とにぎやかになったものだ。
プレゼントが美咲ちゃんへと渡され始める。
…とは言っても、こいつらのセンスじゃなぁ…。
実際、こいつらのプレゼントはというと…、
まずは、由希。
手渡されたのは目覚まし時計。
少しは学習したってことか。
そういやこいつ、物事、結構堅実派だったよな。
なのに、なんで、クリスマスじゃ、あんなチョイスをしたんだか…。
次は、天堂。
この一年間で出した曲のCD。プロマイド付き。
振れないな、こいつ…。
同じ事務所の同業者が、なんでそんな物、喜ぶと思ったんだよ。
しかも、売り上げは微妙な物ばかりだし。
「うん、ありがとう、天堂くん。
誰か知り合いの子にでも与げることにするね。
きっと、喜んでくれると思うよ」
ナイス、美咲ちゃん!
なんて上手い切り返し。
やっぱり、駄目なのは勉強方面だけなんだよな。
続いて、真彦。
手渡されたのは、……ラノベ? また?
懲りないな、こいつ…。
由希の時のこと忘れてんのか?
なんでそんな物、喜ぶと思ったんだよ。
またしても、イラストがアレだし、タイトルも変なだし、その上、なんだか無駄に長いんだよなぁ。
それに、今度は変な付録付き。
本当、懲りないな、こいつ…。
「わあっ、ありがとう、真彦くん。
これ、前からずっと気になってたの。
しかも、豪華特典付きの初版限定版っ。
手に入れるの大変だったんでしょう。
凄いよ、真彦くん」
まさかの大絶賛でした。…って、マジで?
いや、そういや、そういう子だった。
でも、このイラストで、このタイトル。
オレには、理解出来ねえな……。
イタ過ぎて、見てられねえ…。
このあとも、小藪や大西とプレゼントが続いて、そしてオレの番がきた。
なんで最後かって?
だって、序列最下位だし…。
その前に、実はオレは、前もって他にもプレゼントを渡していたりする。
今みたいに言うと抜け駆けっぽいけど、実際はそうではない。
『早乙女純』と『JUN』としてのプレゼントだ。
手渡したのは誕生日当日。事務所にて。
早乙女純から、ふたり分の手渡しだ。
JUNの方は、その正体が秘密とあって、直接というわけにはいかないからな。
その分、早乙女純からというわけだ。
プレゼントは、どちらもシルバー製のアクセサリー。
JUNからは、シンプルなデザインの指輪。
早乙女純からは、ハート型のペンダント。
一応、然程高くもなく、そして安くもない、そんな物を選んだつもりだ。
まだ中学生、しかし、社会人。
そんな絶妙の狭間で悩んだ末のチョイスだったんだけど、どうなんだろう…。
なにより、年頃の女の子相手のプレゼントだ。それなりに格好つけたいってのもあるしな。
で、ここで、オレ『男鹿純』に戻る。
オレの場合、表向き、ただの中学生だ。
そんなに高価な物だと不自然だ。
だから、やはり、それなりの物を選ぶべきであろう。
まぁ、三人分のプレゼントということで、あまり予算が残ってないってのもあるんだけど……。
とはいえ、前の時と同じパターンってのもない。
だから、そこのところも考えて…。
「ちょっと、純くん。これってどういう意味?」
美咲ちゃんが不満気に問い掛けてきた。
「いや、今、美咲ちゃんに一番必要な物だと思ったんだけど」
「確かにそうだけど。だからって、これはないよっ。
もうっ、純くんの意地悪っ!」
オレが用意した物。
それは受験生必須の参考書。
特に、美咲ちゃんには必要な物だと思ったんだけどなぁ……。
※作中のルビには、一般的でない、作者流の当て字が混ざっております。ご注意下さい。




