文化祭と黒歴史
前のタイトルは、なんか怖いので、タイトル変更しました。
11月初旬。うちの学校では文化祭が行なわれる。
と言っても、テレビや漫画等にあるような、高校レベルのものではない。
当然、大学レベルのような、お祭り騒ぎをするわけもない。
一部のクラスや部活、生徒会が出し物をする程度の、ちょっとした学芸会といったものだ。
解り易く言えば、運動系部活の体育祭に対し、文化系部活による発表会が、この文化祭というわけである。
つまり、合唱部や吹奏楽部、演劇部の上演が主柱であり、そこに、美術部や手芸部、文芸部といった部活が、この一年間の成果となる作品展を開く。また、囲碁・将棋部のように体験会を開く(単に遊んでるだけとも言う)等といった活動をするところもある。
そんな活動を、一日掛けて行なうイベントだ。
まあ、一般生徒にとっては、授業をせずに、一日だらだらと時間を潰すだけの日である。
ただ、オレにとっては、忌まわしい記憶の残る日でもあった。
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それは、一年前のことだった。
「はぁ? なんでオレがそんなことしなきゃならねーんだよ」
「だから、言ったでしょう。優美んところの演劇部の人手が足りてないって」
「だからって、それがなんで、オレなんだよ?」
「身が軽くって、アクションが出来そうな子って、他に思いつかなかったのよ」
この話を持って来たのは、由希だった。
そして話は、聞いての通り。
もう少し詳しくというのなら、
劇の題目は『水戸黄門』
あの有名なTV時代劇を、そのままパクっ…いや、イメージした、講談ものの創作演劇だ。
そして、オレが抜擢されたのは、彼らに従う、正義の忍者役。
なるほど、悪い気はしない。
と、そこまでは良かった。
良かったのだが、しかし……。
「どういうことだよ、おい!
話が全然違うじゃねえかっ!」
「何も違わないでしょ。ちゃんと忍者役だって伝えたはずよ」
「何が忍者だっ。くノ一じゃねえかっ!」
「くノ一だって忍者でしょ。嘘は言ってないわよ」
そういう問題じゃないって、判って言ってるだろ、こいつ。
「くノ一なんだから、お前がやりゃいいだろが」
「無理よ。だってアタシ、『佐々宗淳』役が決まってるし」
なっ、『佐々宗淳』って、『佐々木助三郎』、つまり『助さん』じゃねえか。
「普通、配役が逆だろ。
代われっ。今、直ぐに代われっ」
「無理よ。今さら、台詞なんて覚え直せるわけないでしょ。
それよりも、アンタも男なら、一度引き受けたことを、簡単に翻してんじゃないわよっ」
こうして、オレは不本意ながら、陽炎のくノ一役を引き受けることになったのだった。
てか、ねぇ、これって、いじめじゃないの?
舞台本番後、鬼塚さんに告られて、バレた後でボコボコにされたのだが、それは秘密である。
そんなわけで忘れてくれ。




