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◤書籍化&コミカライズ配信中!(検索!) ◢極悪令嬢の勘違い救国記 ~奴隷買ったら『氷の王子様』だった……~  作者: 馬路まんじ@サイン受付中~~~~
第三部:『地獄狼』決戦扁

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「ぐぉおおおおおおおおおおおおおおおおーーーーーーーー……ッ!」



 青い空の下、ヴァイスくんの慟哭が響く。



「俺は……ッ! 俺は不器用ゆえに剣術しかできずッ、それによって兵士らからは好かれたものの、弟にも大臣にも嫌われて革命を受けたヴァイス・ストレインだ! 馬が好くわけがなかったッッッ!」


「どうどう……」



 馬に逃げられ無双したヴァイスくん。

 今はメンタルブレイクして馬牧場前で突っ伏していた。虫とか付くからやめた方がいいと思う。


 まぁ動物に嫌われるのってショックよね。



「ほら元気出してヴァイスくん。今回はご縁がなかったってことで……」


「うぅぅ」


「あ、頭にカタツムリのってる」



 と、その時だった。



『ブルルルルッヒィッ……!』



 唐突に響く重低な嘶き。

 そちらを見れば――って何アイツ!? でっか!?



「な、なんか滅茶苦茶デカい黒馬が近づいてくるんですけど!?」



 ああ。そういえば聞いたことがある。この馬牧場には、大型馬種同士が交雑して生まれた、とんでもないボス馬がいるって。

 アレがそいつってこと?



「むむっ」



 不意にわたしの目がムズムズした。

 すると――馬の横にもステータスが現れる!



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


・対象名:無名


・性質:混沌・悪


・出自:馬種・ペルシュトン(父)×馬種・ベルジャン(母)


・性能

『統率力:A』『戦闘力:A』『巧智力:A』『政治力:A』『成長力:C』


・特記才覚

『轟走』『噛み付き』『後ろ蹴り』


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



「わわっ、人間以外も見れるのね。ってすごいスペックしてるしあの馬!」



 まさに馬の王じゃない……!

 でも性質が混沌・悪!? このへんの記述についてドクターと話したけど、要は〝社会のルールに従わず、なんでもやらかすヤツ〟ってことよね!?



『ブルッヒヒィッ……!』



 うわぁ、めっちゃ悪そうな顔をしてるわ。

 こっち近づいてくるけど、あれはヴァイスくんを乗せようって魂胆じゃない。

 馬(手下)たちをビビらせた彼に対して〝なにワシのシマ荒らしとんじゃ殺すぞ……ッ!〟って感じね。



『ヒッヒィイイイイーーーーーンッッッ!』


「わぁっ、突撃してきた!」



 ヴァイスくんに向かう黒馬!

 通常の馬の三倍近い体躯があるため、すんごい迫力と地ならしの音を伴って接近してくるっ!



「ヴァイスくん!?」



 そして――体重千キロもあろう馬は、ヴァイスくんへと激突して――、



「――おぉ、よしよしよし……! 俺の相棒になりたいのだな……ッ!」


『ヒヒィンッ!?』



 ……まったくヴァイスくんにダメージを与えられず、懐に頭を抱えられて撫でられるのでした。



『ブルゥッ!? ヒヒィッ!』


「ふふふっ、こらこら恥ずかしがるな」



 嫌がる黒馬だけど、ヴァイスくんのバギバギ細マッチョ筋肉にガッッッチリホールドされて動けない。

 王子様はよっぽど感動しているのか、それはもう絞め堕とす勢いで抱き込んでいる。



「イイ子だ。よし、おまえの名前は国王号としよう」


『ブルルヒィッ!?』



 〝勝手に名付けるなよ!?〟と言っているのかしら。



「俺は革命により成り上がった現国王(おとうと)を殺し、玉座の継承権を奪い返す。その夢を込めた名だ。おまえに託す」


『ヒヒィンッッッ!?』



 〝重すぎるユメ勝手に込めるな!〟と言ってそうね……。



『ヒィイイインッ! ヒヒィインッ!』



 おお、本気の抵抗を始めたわ。

 地を抉れるほど蹴り、ヴァイスくんをブッ飛ばそうとするッ――けど。



『ヒッ……ヒヒィン?』


「?」



 やっぱり、ヴァイスくんはまっっったくその場から動かなかった。

 抵抗してるわけじゃない。むしろ何もわかってない様子だ。

 本当に澄んだ目で、小首をかしげて黒馬を見つめて……そして。



「今、何かしたか?」


『!?!?!?』



 驚愕、そして恐怖と絶望に染まる黒馬の目。



『ヒ、ヒヒヒィイン……!』


「お~大人しくなったぞ。やっぱりイイ子なんだな~」



 こうしてヴァイスくんは、馬牧場の王を、プライドバッキバキにしてペットにしたのでした。

 むべなるかな……!




 ◆ ◇ ◆



 そして。



「わぁ~~速いわねぇ国王号! それにとっても力強い走りっ」


「ああ、俺との絆の力だ!」


「数分前に出会ったばかりでしょアナタ……」



 馬牧場にてボス馬・国王号、それと手綱と鞍を購入したわたしたちは、ハンガリア領の平原を駆けていた。

 ちなみに国王号のお値段、めっちゃ安かったわ。

 馬主さん曰く〝暴れん坊で他の馬を脅すし、大飯食らいだから困っていた〟とのこと。

 恐怖政治が圧倒的な暴力により終焉したわけね……。う~ん諸行無常。



「うふふ、わたしも騎乗用の馬を購入しようかしら」



 ウチの馬たちは馬車引きだけあっておっきいからねぇ。

 わたしみたいなチビ――もとい小柄な女性でも乗り降りできるような、小さめの子がいいかも。



「そしたらヴァイスくんと並走しましょうよ。優雅な貴族らしい遊びでいいじゃないっ」



 う~ふっふ。馬は高いから、庶民にはできない遊びよぉ!

 ブルジョワ気分が味わえてなんだか極悪ぅ~!

 

 ……いやでも、よく考えたらわたしがめっちゃ給料上げてるからか、けっこう馬買ってるヤツ多いかも。うぅぐ。

 


「むむ、レイテ嬢と並走か。それは楽しそうだが……いや、駄目だ」


「ぬえっ!?」



 なんでよっ!? 楽しそうならいいじゃないの!



「その、アレだ。もしも馬が暴れたりしたら、危ないからな。キミもその……極悪領主として、〝馬に振り落とされた〟という恥ずかしい噂を、領民に流したくはないだろう。ならば危ないことはするべきじゃない」



「むむっ、それは確かに」



 珍しく饒舌に語るヴァイスくん。うんうん、一理あるわね。

 領民たちはわたしのことが嫌いでしょうから、わたしがヘマこいたら一斉に笑ってくるでしょうし。

 それなら不用意な真似は最初からすべきじゃないかもね。

 せめて身長が伸びて、身体ができ上がるまでは一人乗馬はやめておきましょう。



「わかったわよ。じゃ、しばらくはヴァイスくんと一緒に乗せてもらうわ」


「! ああっ、任せてくれ!」



 あら嬉しそう。わたしに使われて喜ぶとか、重臣の自覚ができてるじゃないの。

 ――こうしてわたしは彼の背中にしがみつき、領内の農村に向かっていった。





・ここまでありがとうございました!

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― 新着の感想 ―
国王号なんて名前コミック版で出た際大丈夫かな?
国王号って名前だけ聞くと世紀末覇者が乗ってそうな名前だw
青春だ。青春だよヴァイスくん。尊い。眩しすぎる。 人以外の生き物でもスペック見られるのはいいな。ウマキングくん、下手にスペックが高いものだからプライド肥大して一番近寄っては行けない相手に近寄ってしまっ…
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