68:成長のハンガリアキッズたち!
『極悪令嬢の勘違い救国記』、いよいよ発売です❗
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電話番号『03-3354-5702』
「ん~、なんかだるいかも……」
ヴァイスくんらのトンチキ修行を見守ってから、さらに数日。
朝起きてみたらどーにも身体が重い気がするわ。
「ま、ずっと忙しい感じだからねぇ。でもボヤいてる場合じゃなしっと」
領主が忙しいってことはそれだけ領地が大きくなりつつある証拠よ。
実際、窓から街のほうを見てみれば、大型の建物をたくさんの人たちがいーっぱい建てまくってるわ。日の昇る時間からみんなやるじゃない。
「よしよし。悪の女王レイテ様がへばってたら、領民どもに笑われちゃうわ」
今日も一日がんばるぞ~っと!
◆ ◇ ◆
「やっほーケーネ。ちゃんと見回りしてるみたいね」
「むっ、レイテか」
民家の屋根を舞うように跳ねる赤髪の影。話しかけると、すぐに気付いて降りてきた。
ウチでお預かり中の幼馴染、風使いのケーネリッヒね。
「守護兵団のムキムキソニアくんから聞いたわ。アンタ、休みなく次々とスリやひったくりを見つけて、捕まえてくるそうね」
「ふふん、まぁ仕事だからな」
彼に領地の見回りを任せてから二週間ほど経つ。最初の内は異能を使い続けることに疲れたり、コントロールをミスって民家の壁に激突したりしてたそうだけど、今じゃかなり熟練したものね。
「一時期はしょげてたくせに、顔付きもずいぶん自信満々になっちゃって。男らしいわよ」
「むッ、な、なんだレイテよっ!? ま、まさか惚れたとか……!?」
「うん」
「マジでか!?」
えぇマジよ。
「アンタの手腕に惚れたわ。このまま領地の巡回係に永久就職しちゃわない?」
「って、誰がするかぁ~~~!」
顔を真っ赤にして怒鳴るケーネ。あら、そんなに怒ることだったかしら?
「くっ、変な勘違いをさせやがって……」
「うふふ、よくわからないけど本当に元気いっぱいね。仕事終わりにはヴァイスくんとの地獄修行もあるのに」
「うっ!?」
ケーネは青い顔をして呻いた。すっかり修行がトラウマになってるみたいね。
でも彼はかぶりを振ると、「別に平気だっ!」と強く言ってくる。
「強がっちゃって~」
「強がりではないっ! ま、まぁたしかに王子との修行は辛いが……うん、とにかく辛いが……うぅ……!」
あっちょっと泣いちゃった!?
「だ、だが力になることはたしかだ! だから耐えられる!」
それに、と。彼は明後日の方向を向きながら続けた。
「二度と負けたくないヤツが、いるからな」
そちらを見れば、そこには巨大な木材を「えっほ、えっほ……!」と運ぶ和服の美男子・重力使いのセツナの姿が。
「あら、彼も頑張ってるみたいね。おーい、せっちゃーん」
「むむっ!? おぉ、これはレイテ姫!」
パァッと笑顔で振り向くせっちゃん。忠犬みたいで可愛いわね。
「それと……」
でも隣のケーネを見た瞬間、和服美少年の女顔が渋くなった。
「貴様も一緒でござるか、負けーネリッヒ」
「って誰が負けーネリッヒだ!? このアホナが!」
「アホナだとぉ!?」
バチバチと睨み合う二人。ほんとこいつら仲悪いわね。
「知ってるかレイテよ!? こいつに教科書を渡してやったら、まず問題文から読み取るのに苦労してたんだぞ!?」
「ぎゃーっ、言うなと言ったろうが貴様!」
あら、人の秘密を明かすとはよくないんじゃないケーネ? わたしは悪の女王だからいいけど、領民同士で足を引っ張り合うのはちょっと……。
「それで、俺がいちいち読み上げて解説することになったわ。はぁ、これだから刀ばっか振るってきたヤツは……」
って、んんん???
「えっ、ケーネ。もしかしてせっちゃんに、勉強教えてあげてるの?」
「む……まぁ、ライバルがアホだと俺の格が下がるからな……。それに一応、コイツ年下だし……」
頬をポリポリと掻くケーネ。その様はどう見ても照れ隠ししてるみたいで……!
「あらぁ、あらあらあらあらあぁっ!」
「ってなんだその笑みはレイテよっ!?」
「べっつに~! いやぁ、あの性悪ガキンチョケーネリッヒが、ずいぶんと成長したなぁ~って!」
「誰が性悪ガキンチョだっ!?」
「アンタに決まってんでしょ! よーし、レイテ様が特別に撫でてあげるわ!」
レイテ様は極悪だからね。「ぎゃーやめろぉーっ!?」と叫ぶのを無視して撫でまくってやるわ。
あと「ざまぁないでござる!」とケーネを笑ってたせっちゃんもね!
「のわぁっ!? ひっ、姫ッ、和国男子たるもの年頃の女性に触れられるのはっ、あっ、ちょっとぉ!?」
「にしししっ! 嫌がるともっと撫でちゃうわよ二人ともっ!」
だってわたしは、極悪令嬢サマだからねぇ~!
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