48:大発展のハンガリア領!!!!
――かくして数日後。街の広場にある舞台場にて。
「民衆ども~~~、注目!」
「「「「「「「「「「「「「ぎゃあああああああああああああああああああレイテ様だああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」」」」」」」」」」」
「うるっさい!」
と言えば、一瞬でピシッと口を閉ざす民衆ども。
よしよし、わたしの恐怖政治が行き届いてるわね。ふふん。
「アナタたちも噂くらいは聞いていたでしょう? 街に並んだ『魔照灯』に続き、様々な魔晶石製の電気製品を試作してるってね」
「「「「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」」
「あっ、喋っていいわよ」
「「「「「「「「「「「「「ぎゃあああああああああああああああああああ聞いてますああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」」」」」」」」」」」
やっぱりうるっさいつの!
「……まぁいいわ。『レンジ』や『洗濯機』や『掃除機』などなど、それらはアナタたちの各家庭で使ってもらえるよう開発したからね。だから安全テストを重ねてて、なかなか市場には出せなかったんだけど……」
「「「「「「「「「「「「「レイテ様優しいああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」」」」」」」」」」」
優しくないっつの!
「問題は機器の外装だったわ。木では脆いし鉄じゃ重い。その問題をどーにか解決しようと悩んでたところで――」
ここでカッコよく指パッチンする!
……あっ、ぺにょって変な音が出ちゃったぁ……!
「「「「「「「「「「「「「ぎゃあああああああああああああああああああレイテ様可愛すぎるああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」」」」」」」」」」」
「いちいち騒ぐな! とにかく悩んでたところで、彼らが新素材『プラスチック』を提供してくたの! 紹介するわ、下級兵士シャキールくんとその仲間たちよっ!」
お膳立てしたところで、さっそく褐色チームに出てきてもらった。
シャキールくんが現れた途端、女性の民衆たちが華やぐ。顔いいもんねぇ~シャキールくん。
あ、でもあんま調子乗るんじゃないわよ? 今のアンタは異国の王子じゃなくて下級兵士って設定なんだから。
「はいシャキールくんっ、代表して挨拶!」
「うむ、いいだろう」
うむいいだろう!?
「さぁ拝謁するがよい。我こそが下級兵士シャキールだ。民草たちよ、よきにはからえ」
って、よきにはからえじゃないわよぉーーーっ!?
「ちょ、ちょっとシャキールくん、アナタ偉そう過ぎじゃない!? 今のアナタは下級兵士で……」
「職業に貴賎なし。どんな職でもどんな立場でも、己に胸を張れるのならば卑屈にする理由など一切なかろう」
ってここで無駄に王の度量を見せるなぁ~~~!
「おぉーっ、あの異国のイケメンさんなんかすごいぞ……!」
「大人物って感じ……あれは出世するぞ!」
「頼れる仲間が出来て何よりだ。共にレイテ様を支えよう!」
ウォーッと騒ぐアホ民衆たち。
う、うんまぁ受け入れてくれてるようで何よりだわ……。
「とにかく、これからどんどん『魔晶石式電気製品』を発売していくからね。超が付くほどの技術発展よ」
間違いなくアナタたちの生活は豊かになりまくるでしょうと続ける。そして、
「開発に尽力してくれたドクターとシャキールくんたちに感謝なさい。――あとなにより、開発費はアンタたちの税から成り立ってるんだから、自分自身を誇りに思うがいいわ。以上!」
はい発表会終わり。シャキールくん帰るわよ。
「うぅむ、最後は民衆らにも花を持たせるとは、やはりそなたは優しいな」
「はぁ~!? 優しくないっつの!」
これからも納税してもらうために、言葉のアメをくれてやっただけだっつの!
「ふふん、そうか優しくないか」
だがなんにせよ、とシャキールくんが言った途端。
「「「「「「「「「「「「「うッ――うぉおおおおおおおおおおおおッ! レイテ様これからもついていきましゅぅううううーーーーー!!!!!!」」」」」」」」」」」
広場に残る領民たちが、ここ一番の大声を出した。
「人々はとても喜んでおる。そなたの心はなんであれ、実によいことではないか」
「……ふんっ」
どいつもこいつも、うるさいっつの。
◆ ◇ ◆
こうしてさらに数日。量産された電気製品はどんどん市場に流れ、各家庭から驚きと喜びの叫びが上がることになったんだけど……。
「えぇぇ~~~ん、いくら取っても『魔晶石』が足りないよぉ~~~……!」
「頑張ってくれレイテ嬢。キミだけが頼りだ」
はい。文化発展でウハウハ生活になると思いきや、レイテ様はここ数日、『魔の森』に入り浸りになってました。
今日もヴァイスくんや守護兵団を連れて森をガサガサしています。ぶええ。
「――ヴァイス様にレイテ様ッ、オークをそちらに誘導しましたぞ!」
ムキムキ騎士が駆けてきた。元王国騎士団のムキムキソニアくんね。
そんな彼の後ろには『ブモーッ!』と叫びながら駆けるムキムキオークが。
「なによこのムキムキ筋肉祭り。わたし、猫みたいなグニャグニャのほうが好きなのにぃ~」
「いやレイテ嬢、猫は全身が筋肉で出来ているそうだぞ」
って知りたくなかったわよそんな豆知識っ!?
えっ、あんなに可愛いのに実はみんなマッチョマンだったの!?
「イヤーッ、変なイメージを植え付けないで! 絶対に忘れてやるぅ~!」
「あっ、あの、レイテ様! 早く『魔晶石』の位置を見抜いてくださると……!」
あーそうだったわね。
わたしの異能『女王の鏡眼』。それによる〝弱点の看破〟でしか、各個体ごとに違う石の位置は見抜けないんだわ。
「はいギフト発動っと。ヴァイスくん、あのオークは心臓部に『魔晶石』があるわ」
「心得た」
瞬間、一陣の豪風が吹き抜ける。
ヴァイスくんだ。一瞬にして彼はオークの懐に高速移動すると、そのまま厚い胸部に手刀を叩きこみ、石を抉り出したのだ。
「……まさに瞬殺ね。一応オークって、並の騎士が数人がかりで相手しなきゃいけない魔物なんだけど。ヴァイスくんやっぱり強いわねぇ」
「それほどでもない」
ツンとした表情で言うヴァイスくん。
流石は『氷の王子様』。一見すると不機嫌かのようね。でも、
「フッ……」
よーーーく見たら口角が上がってて、『褒められて嬉しい~』って気持ちなのがわかるわ。
もう彼とも二か月近い付き合いになるしね。
「レイテ嬢。俺が強くなったとすれば、キミの治める領地に来れたおかげだ」
「あはは、色んな魔物がいっぱいいるもんね。いい修行にはなったでしょ」
「いや、そういうことではない。……剣を振るう明確な理由。それが見つかったからだな……」
うん? なによそれ。
「いやなんでもない。それよりレイテ嬢のほうも、『ギフト』が成長してるんじゃないか? 最初は石を透視するのに数秒はかかっていただろう」
「ん、まーね。領主なのに、ここ最近は森を連れ回されてるからねぇ~~」
あーやだやだ、わたしの優雅な悪役ライフはどこに行っちゃったのかしら。
「フッ、落ち着いたら休暇を取ることにしよう」
「そうねー。ピクニックとか行きたいわ」
一緒にハンガリア領の空を見つめる。
色々と慌ただしい日々だけど、なんだかんだで充実してて平和だな~って感じだわ。
ヴァイスくんも同じ気持ちだとなんとなくわかる。
「やはりこの地は安らぐな。……しかし、こんな気持ちでいると、ふと思うことがある」
「なぁに?」
ヴァイスくんは遠い目をして、呟いた。
「同盟国を滅ぼしてしまった、我が弟――シュバールは今、どのような気持ちでいるのかとな」
・ここまでありがとうございました!
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