12:護衛役が人間兵器だったわよ!?!?!?!?!?
ぜひオススメしたりしてください~!
「邪魔するわよ~~~」
というわけでやってきました『魔学研究所』。
お隣の修練場に負けず劣らずの大きさで、日々魔物が運び込まれてはなんかよくわからんことをしてる場所ね。
さて、兵士たちを引き連れて奥の部屋に進んでいくと――。
「やァレイテくん。ご機嫌麗しゅう」
……などと気取った挨拶をしてきたのは、目元が隠れるほどのロン毛のオッサンだ。
相変わらず怪しさ満点の風貌ね。日に焼けたことがないのか肌はまっちろで、纏う白衣はヨレヨレだ。
「こんにちは、ドクター・ラインハート。アナタちゃんとお風呂入ってる?」
「面倒だが一日一度は入ってるさ。……以前、年頃の少女に臭いと言われたのには結構堪えたのでネ」
そりゃよかったわ。……って、ソニアくんにヴァイスくん? あとは元王国騎士の面々も、何をぽかんとしてるのよ。おーい。
「ドクター・ラインハートですと……!? あの、あらゆる学問分野を一代進めた伝説の!?」
「『学術界の怪物』ラインハート。まさかレイテ嬢に保護されていたとは……」
えっ、このおっさんってそんなすごい人だったの?
なんかお散歩してたら不審者いたから拾っただけなんだけど。
「おォ、これはこれは王国騎士団の面々に、そちらの包帯くんはヴァイス王子かな? 革命で死んだと聞いたが……なるほど。キミらもレイテくんに拾われたか」
「幸運なことに。ドクターも、ご健勝そうで何よりで」
「堅苦しいのはやめてくれ。今の私は、そこのロリに養われてるだけの中年だよ」
って誰がロリよッ!?
わたし、十六歳なんですけど!? 領主のお仕事やってるんですけど!
「まったく失礼な人ね。……それで、さっきの魔物の大絶叫は何なのよ? 今は止んでるっぽいけど」
「あァ、『実験対象X』がちょっと暴れちゃってネ。でも植物魔物製の催眠ガスを吸わせたから、数時間は大人しく――」
『ガァァアアアアアアーーーーーーーーーーーーーッ!』
……ドクターの言葉は、再びの絶叫に遮られた。
「数時間は大人しく……してるはずだったんだけどネぇ」
「ネぇじゃないわよ! マジでなんなの!?」
領地に、ていうかわたしに危険が及ぶ研究だけは勘弁なんですけど!?
「いやァ実はねェ。死にたてホヤホヤの魔物・大鬼を弄って、“人間に隷従する形”で蘇らないか試したんだよ。それに失敗しちゃってネぇ。いま実験室内で暴走中さ」
「うへぇ、とんでもないことしてるわね」
わたしがドン引くと、背後に控えたソニアくんが「ドクターは昔からこういうところがあります」と耳打ちしてくれた。
「元々、倫理的にタブースレスレの研究で異端視されていた人です。まぁ結果を出して黙らせてきたようですが……」
「ヒヒヒ、一応ルールは守って来たんだけどネぇ。人体実験は死刑囚で我慢してたし」
「我慢て。良心の呵責ゼロですかアナタは……」
へらへら笑うドクターにソニアくんが呆れてる間にも、『グゥウウッ』と凶暴な鳴き声が響き続けている。
さらには外壁を激しく叩いているのか、建物全体がきしむ音も。こっわ。
「ちょっとドクター、これやばいんじゃないの?」
「うんやばいネぇ。私の開発した『コボルト鉄鋼』製外壁が壊れていく音がするよ。どうやら無理な蘇生で脳に損傷を負った結果、筋力のリミッターが外れているようだネ」
「冷静に分析してんじゃないわよ!」
ちょっと勘弁してよー……。兵士大量に引き連れてりゃ安全でしょと思って、暇つぶしに見に来たけど……。これレイテちゃんピンチじゃない?
魔物が実験室を抜け出したら、一番に襲われるのはわたしたちなんじゃ――と。
そんなことを思っていた矢先、バガンッと。
「あ、完全に壁が壊れた音がしたネぇ」
「ぴえ!?」
だからネぇじゃねーっつの!
そう叫ぶ間もなく、ドシンッドシンッと巨体の駆ける音が響き、そして。
『ガァアアアアアーーーーーーーーーッ!』
「出た~~~~~~~~~!?」
勢いよく壁を突き破り、わたしたちの前に赤色一角の巨人・大鬼が現れたのだった!
「あわわわわ……! 今更だけど、大鬼ってめちゃ討伐が難しい危険度準一級モンスターじゃないの。なんでそんなので実験したのよ!?」
「ふはははっ、よく聞いてくれたネ! 人型の魔物は脳の構造が人間と近しく、また上位種ともなればより構造が似てくるのだよ。だからこそ、人体脳医学の権威でもある私はその知識を活かせると思い大鬼の死体が持ち込まれた際にコレはチャンスだやるしかないと――ッ!」
「今それで殺られそうなんですけどォ!?」
ドクターが早口をかます間にも、鬼は剛腕を振り上げた。
咄嗟に兵士たちが立ちはだかってくれるも、たぶん無駄だ!
「あの大鬼は全長8メートル、体重3トンあるからネ。拳も1メートルくらいの大きさがあるから、私たち纏めてミンチになるよ~」
「いやぁぁああーーーーッ! アホのおっさんの家で突然死ぬぅーーーーーーっ!」
そして振り下ろされる鉄拳。
こりゃもう駄目だとレイテちゃんが諦めかけた、その瞬間、
「させるものか」
『グゴォッ!?』
研究室に響く轟音。
だがそれはわたしたちが叩き潰された音ではなく、鬼の拳がヴァイスくんに片手で受け止められた音だった……!
って、えぇ!?
「ヴぁ、ヴァイスくんさん!? なんで平気そうに止めれてますの!?」
「鍛えてるからな」
「そんなレベルかッ!」
体格差どんだけあると思ってるのよ。
なのに、こんな不条理が成立するなんて――、
「まさか、ヴァイスくんの『ギフト』!?」
「正解だ」
言うやヴァイスくんは巨拳を逸らすと、逆に鬼のどてっ腹へと轟拳を叩き込んだ!
瞬間、ズパァァァァンッという凄まじい音が響き、巨体の鬼が吹き飛ばされていく。
「俺のギフトは『天楼雪極』。秘める激情の多寡に応じて、身体能力を増加させる異能だ」
彼の身体から蒼白い光が溢れて零れる。
その様はまさに吹雪く白雪。あるいは舞い散る花弁のようだ。
「今の俺の倍率強度は、およそ3.5倍と言ったところか。……革命の夜、『傭兵王』と決戦した時とほぼ同等だな」
「って高くない!? 国を守る時と同じモチベーションってどゆこと!?」
そう問うと、ヴァイスくんのほうも「……そういえばどうしてだろうな」と不思議そうにしていた。
「自分のギフトなんだから詳細把握に努めなさいよ……」
「努力しよう。日々二十時間のギフト操作訓練も追加だ」
「ごめんなさい努めないで」
いい加減にしろ特訓気絶部。
あとよく考えたら、身体能力3.5倍くらいで3トンの敵を殴り飛ばせるってどゆこと?
元の身体能力自体がちょっと高すぎない……?
「とにかく、ヴァイスくんってめちゃ強かったのね。なかなか頼りになるじゃないの」
「あ、強化倍率4倍になった。なぜだ」
「いや知らないんですけど!?」
謎進化するヴァイスくん。そんな彼の前に、再びズシンッと足音が響いた。
『ガァアアーーーッ!』
吹き飛ばされた大鬼が舞い戻ってきたのだ。
既に全身傷だらけであちこちから血を噴きながらも、その瞳は暴威に染まったままだった。
「……哀れだな。死より蘇らされた結果、正気を亡くしてしまったか」
『ゴガァァァァアアアーーーーーーッ!』
耳をつんざく鬼の咆哮。大鬼は床が抉れるほどに踏み込み、ヴァイスくん目掛けて殴りかかった。
物凄い速さと迫力だ。でも、
「その魂、俺が眠らせてやろう」
ヴァイスくんはわたしたちを庇うように立つと、腰の剣に手を添えた。
そして、
「“ストレイン流異能剣術”奥義――『抜刀・斬煌一閃』」
抜刀と共に極光の斬撃が放たれる。
次の瞬間、鬼とその背後を全て焼き尽くすような『大爆発』が巻き起こった――!
「よし勝利だ。護衛役の任を果たせたぞ」
「って、いやいやいやいやいやいやッ!?」
け、剣で大爆発ってなんなわけぇーーーーッッッ!?
一体倒すのに兵士三十人は犠牲になるとされる大鬼「ええ……」
ついでに爆破された研究所「ええ……」
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