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◤書籍化&コミカライズ配信中!(検索!) ◢極悪令嬢の勘違い救国記 ~奴隷買ったら『氷の王子様』だった……~  作者: 馬路まんじ@サイン受付中~~~~
第三部:『地獄狼』決戦扁

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101/133

101:エターエンドのその先へ




「はァ、なんだよ」



 荒廃したオーブライト領。

 その残骸の中で膝を突いたヴァイスを見て、ザクス・ロアは理解した。

 ああ――この男は完全に折れてしまったと。

 だから。



「じゃ、死ね」


「かはッ――!?」



 何の未練もなく無造作に。ザクスは大剣で、王子の胸を貫いたのだった。

 背中から鮮血が噴き出した。破れた心臓の破片が散り、ヴァイス・ストレインは絶命した。



「……は、ぁ……」


「けっ。ちょっと奪い過ぎちまったなぁコイツから。ブチ切れて強くなるラインと、精神崩壊するラインを見極めなくちゃなぁ~次は」



 ザクスは大剣を乱雑に振るい、突き刺さっていたヴァイスを無造作に転がした。


 地にぶつかり、「ぐ……」と小さく呻く王子。

 だがそれは生きているからではない。脳死するまでの間、衝撃を受けた肺が衝撃で反応し、空気を漏らしただけだ。


 そう。いうなれば新鮮な死体という有様で。まだ脳だけは死んでいないが――それも数十秒の猶予だろう。

 なにより、本人の精神はもうとっくに朽ちているのだから。とっくにヴァイス・ストレインは終わったも同然だった。



「――決着だな、ザクス」



 終結の空気を感じ、仮面の男『虚無なるファビオライト』が声を掛けた。

 それにザクスは「おー」と適当に返す。



「あの嬢ちゃんとヴァイス・ストレイン。女王(クイーン)(キング)を取ったんだ。この戦争は、『地獄狼(オレ)』たちの勝ちだな」



 まぁヴァンピのガキは死んでるかもだが――と。

 ザクスは赤髪を掻きながらおざなりに言った。



「不機嫌じゃないか、ザクスよ。年齢ゆえに疲れを感じたか?」


「歳のことは二度と言うなボケ。――そうじゃなくて、単純に消化不良なだけだっつの」



 そう言ってから、足元に転がった死体(ヴァイス)を雑に踏みつけた。



「期待よりかは成長してたさ。だが、予想外とまでは言えなくてなァ。それに、あの嬢ちゃんもあっさり死んじまったしよ」


「ああ。彼女の異能は『女王の鏡眼』――噂を聞いた限り、弱った臓器が見える程度だ。実際に闇の中、ただただ無力に苦しんでいたよ」


「はっ。つまんねー」



 こうして――戦争は終わった。

 結果は『地獄狼』の勝利である。

 部下の損耗は確認していないが、圧倒的なナンバーワンとナンバーツーさえ無事なら、後のメンバーは取り換え可能。ゆえに何も問題なし。

 


「俺たちの勝利だ。じゃ、適当に残党殺して引き上げるぞ」

 

 

 あとはもう消化試合だと――彼らはそう結論付けて、ハンガリア領に向かおうとするのだった。

 

 だが。

 

 

「――まだよ」


「ッ!?」

 

 

 その時だった。()()()()()()()()()()()()が、ザクス・ロアの顔面を殴り抜いた――!


 

「ぐがァアアァァァーーーーーッ!?」


「ザクス……!?」



 戦場の餓狼は転がるように吹き飛んだ。

 拳自体が強力だったわけではない。むしろ、鍛え上げられたザクス・ロアからしたら、虫の刺したような一撃だった。

 だというのに――ザクスは全力で威力を軽減するために、自ら吹き飛んでみせたのだ。



「は……嘘、だろ……?」



 手を当てて、呆然とする。

 小さな拳を受けた横顔が――砕けていた。

 皮膚がひしゃげ、骨が四散し、筋肉が無惨に断裂していた。

 全力で受け流してもソレだ。もしもまともに当たっていたら――いや。

 それ以前に……!



「嘘だろ……嘘だろッ、嘘だろ嘘だろ嘘だろ嘘だろォオオーーーーッ!?」


 

 呆然。困惑。痛苦。混乱。驚愕。そして喜悦――!


 

 空前絶後の事態を前に、ザクス・ロアは最終的に、狂ったように笑って喜んだ。


 この理不尽な意味不明を前に、彼は両手を広げて喝采を上げた――!



「おまえマジかよッ、レイテ・ハンガリア――――ッッッ!?」


「約束したからね」



 かくして終極(エターエンド)は覆る。


 空間と闇がガラス片のごとく砕け散り、虚空より少女は舞い降りた。



「ザクス・ロア。アンタをブン殴ると言ったでしょう?」



 幼くも麗しき辺境領主――レイテ・ハンガリア。

 澄んだ蒼き放射光を全身から放つ姿は、まさに女神のようで……否。


 

「この極悪令嬢ッ、レイテ様が帰ってきたわよォッ!」


 

 全ては勝利を手にするために。

 絶望を超え、極悪なる少女は、闇の底から舞い戻ったのだった。



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