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ほぼ存在しない俺を、学園の姫だけは見つける  作者: さーど
第一章その1 これが、姫様との始まりだ

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EP12.姫からの贈り物

 やあ諸君、江波戸蓮えばとれんとは俺の事よ。


 12月に入って、かなり寒くなってきたな。

 防寒具も付けずに俺は下校してたんだが、さすがに寒くなってきている。


 そこため暖かいものが欲しくなり、俺は財布を取り出して自販でコーヒーを買った。

 やっぱコーヒーってのはいいものだよな……上手いし、温かいし。


 そんなこんなでコーヒーを飲んで温まりながら、俺は帰路を辿った。






 マンションに帰ってきて少ししたら、突然インターホンがなった。

 影が薄い俺は誰が来たのかは想像が着いたんだが……もし違ったらあれだしなあ。


 ……てか、普通にまず通話機を見ろって話なんだけどな?

 影が薄すぎるせいで、扉を開いてから相手を確認することが癖になって来ている。


 そんな愚かである俺は、扉を開いた。


「……よお。なんだ 」


 開けた先には案の定、[学園の「姫」様]こと白河小夜しらかわさよが立っていた。


 今下校してきたようで制服……その上から、コートやらマフラーやら手袋やらで防寒ばっちりだ。

 俺は大した防寒具を持っていないから羨ましいぜ、全く。


 俺が「よお」とぶっきらぼうに言うと、小夜は微笑んで「こんにちは」と返してきた。

それから、手のひらサイズのとあるものを掲げて口を開く。


「近くの自動販売機で江波戸さんの生徒手帳が落ちていましたので、届けに参りました」


 あ、マジか。

たしかに、掲げられたそいつは俺の生徒手帳だった。


 俺の生徒手帳は、財布と一緒にスラックスの右ポケットに入れている。

 さっきコーヒーを買った時に落としたんだろうな……しくじったぜ。


「ああ、すまん。わざわざありがとよ」


 さすがにな?落し物を届けてくれたことには礼を言わないといけねえ。

生徒手帳を受け取った俺は、とりあえずと私服のスキニーの右ポケットに生徒手帳を入れた。


 ……というか、今考えるとこいつ以外が拾ったら、俺もしかしたら一生生徒手帳なくしたままなんじゃね?

 それなら危なかったわ……


「いえ、大丈夫です。私()見つけることが出来て良かったです。それでは」

「おう」


 小夜もそれが分かったのか、少し変わったような言い方をして微笑む。

そして、隣室へと戻っていった。


(誕生日、)| 《明日じゃないですか……》」


 ……なんか小夜からブツブツと独り言が聞こえてきた気がするような。

 まあ聞き取れなかったし、別にどうでもよかったしで、俺は気にせずドアを閉めた。






 そして次の日だ。


 俺は今日は''偶然''料理を作る日だったから、約束通りやつの部屋に恵んでやっている。

 やっぱり俺、優しい。


()()()ありがとうございます。いつも助かっています」

「''今日は''たまたま''作ったもんでな」


 さりげなく訂正しながらそう言うと、小夜は可笑しそうに「ふふ」と笑う。

 なんで笑ったかは、俺には決してわからん……決して、な。


「──あ、そういえば……」

「ん?」


 突然何かを思い出したらしい小夜は「少し待っていてください」と、俺を置いて部屋の奥へと消えていった。

 ちょ、おいおい……防寒具をつけてないから結構寒いんだが?


 寒くさ腕を摩ってすこしすると、小夜がトコトコと何やら包みをもって戻ってきた。

その包みを俺の方に差し出しながら、にこりと満面の微笑みを向けてくる。


「お誕生日、おめでとうございます。……これ、いつもおすそ分けしてくださっているお礼も兼ねてのプレゼントです」

「……は?」


 なにやら包みを差し出して急にそう言ってくるが、俺は困惑を隠せないでいた。

 ……いや、ちょっと待て待て。


「……なぜ俺の誕生日を知っている?」


 今日は12月7日……世間はある人気ゲームの発売日となんか騒がれている日だ。

 しかし同時に、この日は俺の誕生日でもあったのである。


 ただ俺は今年、誰にも今日が誕生日だと報告していない。

……いや報告する相手がいないのと、そもそも報告できないからなんだが。


それはさておき。

 俺は、親戚から贈られたプレゼントを見ながら、後で一人寂しく祝う予定だったのだが……


そう思いながら目を見開いて口にすると、小夜は人差し指を立てる。


「昨日、生徒手帳を落としていたでしょう?その時に名前を確認する際、誕生日も記されていたもので……」

「あぁ〜……」


たしかにうちの学校の生徒手帳は、結構重要な個人情報が載せられている。

だから道中で落とした時点で、かなり危ないものではあったりする。


「だから、いつもお世話になっていますし折角ですからなにか贈り物をしようかな、と」

「そうかよ……別に良かったのに」


 こいつと俺は、今のところ俺が飯を恵んでやっていること以外は別に接点がない。

 だから、祝う義理も道理も全くないと思うんだが……


「まあ、折角ですから。貰ってください」

「わーかったよ……さんきゅ」


諦めたように包みを受け取ると、小夜は満足気に頷いたのだった。






 部屋に戻って、一人。

 ケーキを頬張っていた俺は、小夜からのプレゼントの中身が気になっていた。


「……<ごくん>」


 少し急ぎめにケーキを食べていると、もう食べ終わってしまった。

しかしそんな事はどうでもいい……食べ終わったと同時に、俺はプレゼントの包みを外す。


「……おお、これはありがてえ」


 中身は、紺のマフラーと黒い手袋だった。

触った感じ手触りも良く、大きめのを選んだのか手袋も余裕で入る。


 で、昨日言った通り俺は防寒具を持ってはいないから、大分ありがたい物品だった。


今度また、礼を言おうかね。

 そう決めた俺は、贈られた防寒具を制服のかけられたハンガーにかけた。

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