囚われのお姫様
俺は目を覚ました。
頭がくらくらする。
普通に布団で寝て起きたときとはえらい違いだ。
・・気持ち悪い。
はっきりしない頭で周囲を見渡す。
あたりは薄暗いが、どこかの部屋にいることはわかる。
光源はベッドの側の小さな灯だけで、外からの光は一切ない。
というか窓がない。
・・どこだここは。
・・・最近こんなことばっかだな。
小さく苦笑する。
大丈夫まだ余裕はあるな。
これまでのことを思い出す。
確か俺はヨヨポートの女子トイレで背後から何者かに襲われた。
多分、トイレに入る時にすれ違った清掃員のおじさんだったと思う。
清掃員のおじさんが何故俺を襲ったかはわからないが。。
・・いや、俺を襲うつもりで清掃員に化けていたと言った方が正しいのかも。
で、ここはそのおじさんのアジトってわけか。
部屋の中は小綺麗にされていて、不潔な感じはしない。
品の良い調度品も目に付く。
床は真っ赤な絨毯が敷かれていて、ふかふかとしている。
・・すげー金持ちな感じがするな。
俺が寝ていたのは大きく厚みのあるダブルベッドだ。
空調が効いているのか温度は適温。
正直過ごしやすそう。
随分丁重に扱われているみたいだな。
身代金目的の誘拐ってわけでもなさそうだ。。
身代金が目的ならば、生きてさえいればいいわけだし。
正直あまり考えたくはないが、犯人の目的は・・俺自身かもしれない。
これまでの経験で、自分が男の情欲をそそる外見をしているというのは、さすがに学習した。
・・ぶるっと身震いする。こんなことが続くと、本気で男がダメになりそうだ。
もちろんそんな男ばかりじゃないとわかってはいるのだけど。俺自身も以前は男だったのだし。
そこまで考えて俺は自分の体が無事か確認してないことに気づいた。
っていうか服装もよく見ていなかった。
「・・・なっ、、なんじゃこりゃああああああ!!!!!」
うっかり大声をあげて叫んでしまった。
しょうがないだろう、だって俺の今の姿は、
真っ白なウェディングドレスに変わっていたのだから。
なんでウィディングドレス。。つーか着替えさせられたのか!?
胸の収納され方なんて、俺がやるよりも上手いくらいだ。
・・・どこの誰ともわからない男に、俺の体を触られたのか・・・
気持ち悪くて吐きそうだ。あまり考えないようにしよう。
だが、特に体に異常はなさそうだった。眠っている間に無理やり犯されたということもなさそう。
そこだけはほっと一安心する。
ただ首には異物感がある。
具体的には首輪がつけられていた。
首輪はチェーンで繋がれており、そのチェーンの先端は壁に備え付けられたフックのようなものに繋がっていた。
・・囚われのお姫様ってか。。
やれやれ、俺個人としてはお姫様より、それを救い出す王子様の役をやりたかったのだがな。
だが大人しく捕まっててやるつもりは毛頭ない。
できる限りの抵抗はするつもりだ。
だが、それでも敵わない時は、、
・・・頼むよ、、王子様。。。




