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美少女男子高校生の日常  作者: くろめる
第一章 春
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バースデー2

・・・なんだかアキツグがそっけない気がする。


目を合わせようとすると顔を背けるし、話しかけようとすると富岡に話しかけにいっちゃうし。


・・なんなんだ・・


俺は行儀悪くコップを口で咥えてずるずるジュースを飲みながらうーうー唸っていた。

俺が何かしたのだろうか?アキツグは元からあんな感じだっただろうか・・?

何か下手をしたのだろうか?俺のことが嫌いになったのだろうか?


とりとめのないことをぐるぐると考えてたら、ついに目まで回ってきた。


「ちょっと、コウ?大丈夫?」


らーいじょうぶ、アキツグなんてどうでもいいもん!


「・・いや、アキツグじゃなくて・・あんたが、、って、それもしかしてお酒じゃない!?」


何言ってんら。未成年がお酒なんてのんだららめらよ。

それにしてもこのジュースかわったあじがするにゃぁ。


ふはぁ〜〜。うーん、なんだか体があついぃ・・


「えっ、それお酒だったの!?・・ジュースだと思って冷蔵庫から出しちゃた。」


「彼山さん・・」


そんなことよりアキツグはどこだ〜!こらしめてやる!

俺はよたよたと椅子から立ち上がった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


はぁ・・まいった。あんな態度をとっちまうなんて。。

俺はひとりベランダで自己嫌悪していた。


どうにもこの間からコウのことを意識してしまうようになった。

もともとあいつのことは気に入っていたし、好きだったのだけれど、それはあくまで友達としてのつもりだったのだが・・・。


彼山が俺に告白してきた時を思い出す。


「わたし、アキツグせんぱいが好きなんです!付き合ってください!」


顔を真っ赤にして、涙目になりながらそう言ってきた。

彼山は可愛い子だ。

最初は誰だかわからなかったけど、よく見れば昔よく対戦したT中のマネージャーの子だとわかった。


当時はもっと地味で、ちらりと目を合わせたら慌てて顔を逸らしてしまうような子だった気がしたんだけれど、随分活発な印象になったな。


T中のやつとは結構まだ仲が良くて、そいつとの会話でたまに彼山の話が出ていた。


『お前のこと好きだって見れば一発でわかるよな〜。でもなんだか今は告白できないみたいな事言ってるんだって。もっと可愛くなってから告白したいとか?』


お前そういう事を勝手に伝えるなよ。

と当時はあきれたものだ。


もしこの子が俺のために頑張って綺麗になろうとしてくれてたのかと思うと、それは嬉しく、やはりドキッとしてしまう。


俺の事が好きだと言ってくる子は、まぁ、自慢じゃないが、結構いた。

だけどどいつも上辺だけしか見てないというか、パッと見で選んでんだろな〜こいつら。という印象だった。

なんとなく目を見ればそういうのはわかってしまう。そういう輩に時間を割きたくないので適当に断っていた。


その点彼山はまっすぐに俺の目を見てきた。

まるで射殺すかのような視線だった。告白相手にそれはどうなんだ?とも思うが、それだけ真剣だったというのは伝わった。


だから、俺は実のところYESと答えようかと思ってたんだけど、、

そう思ったとき俺の脳内に待ったがかけられた。


ぱっと浮かんできたのはコウの姿だった。

なんでコウが?と思った。


確かにあいつはすげぇいいやつで、昔から大の親友だと思ってる。

あいつのことは好きだったが、それはあくまで友人としてだ。

そもそもあいつは男なんだから、ここで出てくるのはおかしい。。

そりゃ、外見はピカイチで可愛かったけれども。。


ただ、ここ最近、つまりあいつが女になってから、あいつはますます可愛くなっていた。

外見に正しい性別がマッチしたというか、、

それに髪も徐々に伸びてきてて、女らしくなってきた。


女になって初めての高校生活、あいつは色んなやつに取り囲まれて、眉毛をハの字にしていた。

馴れ馴れしく触ろうとするやつがいたもんだから、ついあいつの手を取って教室から出てきてしまった。


あるとき、コウが男に襲われた。

あいつまたなんか首を突っ込んだのか?と考えたがそれは違った。

文字通り襲われていた。

なんで男が男を襲うのか、なんて、一瞬思ったがそれも間違い。

そうだあいつは今は女だったんだ。

コウは震えて泣いていて、俺は一番に駆けつけられなかった事実をひどく恥た。


あるとき、コウとのデート券をかけたバスケの大会なんかが行われた。

俺は別にデートとかはどうでもよかったんだが、ただ、他のやつがあいつの周りをウロウロするのは、なんとなく癪だったんで、つい力を入れてしまった。


大昔、俺たちが小学生だった頃、給食費が無くなるなんて事件が起きた。

真っ先に疑われたのは俺だった。当時はかなりのイタズラ小僧で、クラスメイトや先生を困らせていた。

だけどやっぱり疑われたのはショックだった。クラスのやつら全員が俺がやったんだと指差してきた。

だけど、コウだけは違った。

あいつだけは、「決めつけるのはよくない。もっとちゃんと探そう。」といってクラス中の机やら棚をひっくり返し、給食費の入った封筒を見つけ出した。なんてことはない、無くしたと思っていたやつの引き出しの奥底にぐしゃっと押し込められていて、気が付かなかっただけだったのだ。


なんで俺の事を疑わなかったのか、あとで聞いてみたら


「俺はヒーローだからな」


なんてよくわからない事を言ってニヤリと笑った。

その笑顔がかっこよくて可愛くて、、そっか、、俺は、その時からコウの事がー



「・・・悪ぃ。好きな人がいるんだ。」


気がつけば俺は、彼山の告白を断っていた。

気持ちを封じ込めて、付き合う事もできたと思う。だけど、それはやっぱり違う気がしたんだ。

彼山は涙をにじませて震えていた。だけどありがとうございました。と言って去っていった。

そのあとは色々と大変だったが仕方ない。




俺は思考の海から抜け出し、ふぅっと一息ついた。


そう、俺は、コウの事が好きになってしまっていた。あいつを見ているとドキドキする。

近寄られるとどうしていいかわからなくなる。

ほんっとうに癪だが、マコトのやつがコウの側で大きく息をしてしまうのもわかる気がする。

・・いや、嘘。今のなし。そんなことはわからん。


はぁ、、


本日何度目になるかわからないため息を吐いた。

どうすりゃいいんだ俺は・・・。


背中をベランダの手すりに預け、空を仰いで流れる雲を見ていたら、

お腹にぽすっと、柔らかい何かが当たる。


って、コウじゃねーか!


「アキツグ〜〜、なんで俺の事を無視した〜〜〜」


なんて恨みがましい声をあげながら、俺の両方の頬をムニムニしてくる。

な、なんの話だ?と思ったが、今日の俺の態度の事だと気づいた。


「・・俺の事が嫌いになったのか・・?」


上目遣いで俺の事を見てくる。

心臓がドキンと跳ね上がった。


い、いや、俺は嫌ってなんか。。


「じゃあ、なんで俺の事を避けるんだよ」


それは。。それは俺はお前のことが、、

いっちゃう?言ってしまう?・・これを言ったらもう、元には戻れないぞ?

どうする!どうしたらいいんだ!?


「・・あっつぅ〜ぃ・・」


俺がめまぐるしく頭を回転させていたら、コウが唐突に服を脱ごうとしてきた。

俺たちがプレゼントしたブラウスのボタンをぷちぷちと外していく。


コウの胸元が大きくさらけ出された。

つい、そこに視線がいってしまう。ブラウスのしたにはキャミソールを着ていたが、

コウが前傾姿勢になっているせいで、胸元がよく見えてしまう。

可愛らしい下着がチラリと見えていた。

しっとりとした白い胸の谷間が下着に押し上げられて主張していた。


・・・ゴクリ


思わず生唾を飲み込んでしまう。

だめだだめだだめだ!理性がふっとんじまう!


コウが俺の頬に手を添えてくる。


「俺の事、嫌いか・・?」


ずいっと寄り添ってくるせいで、俺のお腹に柔らかい二つの塊が押し付けられる。

む、胸が当たってる、柔らかい、、、この二つの塊を両手で、揉みしだいたら、、、

甘美な誘惑が脳裏をかすめる。


だ、だめだ、そんなことしたら、それこそ、いつぞやの1年坊主と同じになっちまう!


俺の気持ちも知らないで、コウはすりすりとすり寄ってくる。

コウの下腹部が、俺の太ももに乗る。


コウの太ももが、俺の下腹部にあたる。


って!?まずいってコウ!?こいつどうしちまったんだ!?


「・・アキツグ・・・」


両目を潤ませて俺のことを覗き込んでくる。

そこで俺の意識は崩壊した。


「・・コウっ!、おれ、俺はお前のことが・・・!」


・・・すぅー。


・・


・・ん?


コウの両肩を掴んでコウの顔を覗いたら、


コウは


寝ていた。



・・なんで寝てんだこいつ。

ていうか酒くせえ!?


なんで酒なんて飲んでるんだ・・!?


「くかぁ〜〜」


大きく口を開いてスヤスヤと俺の胸で寝ているコウを見てたら、なんだか可笑しくなって

一人で笑ってしまった。






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