新学期2
1万PVオーバーありがとうございます!こんなに読んでいただけるとは思ってなかったので嬉しいです。感謝。
高校2年になってから数日が経過した。
初日は少し目立ってしまったけれど、まずまずの出だしだったと思う。
なるべ地味ーに、私はいませんよーという雰囲気を出して空気になろうとしているのだが、
なぜか、休み時間になるとよそのクラスから人が集まって来て、俺のことをジロジロと見ていく。
・・・ちょっと編入生が来たくらいでわざわざ見にくるもんかね?
俺を見て何が楽しいのかわからんが、目を合わせると慌てて目を逸らされる。
鬱陶しいなぁ・・。
自分が少々目立つ外見をしているという自覚は少なからずあるのだけれど、男の時はここまでではなかったぞ。うーん。やっぱ、認めたくないけれど、この顔と今の性別は「ハマってる」ということだろうか。
女に生まれた方がよかったんですかね?
そう思うとちょっぴり悲しくなる。
さて、次の授業の前にお花摘みにでも行っとくか。
女の子はよく連れション(?)をするみたいだけど俺は一人で行きたいのでさっさと行く。
・・・ちょっと、トイレ行くのでどいてくれます?
あと、ジロジロ見ないでくれ。行きにくいじゃないか。。
編入生とは言ってもそれは形だけなので、俺は校内の配置で迷うことはない。
すんなりとトイレの場所まで行き着く。
ガチャっとトイレの扉を押して入る。
そこには見慣れた立ってする用の便器が並んでおり、便器の前には男子諸君が立って用を足していた。
等間隔に並んだ男子諸君の視線が突き刺さったあたりでようやく気づいた。
あ、男子トイレだこれ。
「「「きゃぁぁぁぁ!!!」」」
叫ばれた。
男子諸君、意外と乙女な反応するんだな。
「ごめんなさい。」
俺は何も見なかった。俺が悪いんじゃない。俺のことをジロジロと鬱陶しく見てくるやつらのせいで、気が回らなかったんだ。ドンマイ。俺はそっと扉を閉じた。
16歳の乙女に立ち小便姿を見られるのって、結構なトラウマになったりしないだろうか?
・・ま、大丈夫だろう。きっと。
うーん、いかんな、気を抜くと男の時の行動をしてしまう。ちゃんと意識しないと。
俺は乙女、俺は乙女・・・。
あ、次は美術だから、教室移動しないと。
一旦教室に戻り、荷物を持って再び出る。
階段を登っていたら、青山に小声で話しかけられた。
「ちょっとコウ、注意しないとだめだよ」
注意?なんのことだ?さっきのトイレのことかな?
首をかしげると青山が階段下の男子生徒の方を一瞥する。
「パンツ、みえるよ」
!?
スカートの裾を抑えて、バッと後ろを振り向くと、数名の男子が顔を逸らした。
「コウは知らなかったかもしれないけど、この階段って、すっごい下着見えやすいんだよね」
今まで気にしたことはなかったが、美術室のあるこの旧校舎は階段がかなり急だ。
昔の長いスカートだったら問題ないかもしれないが、最近の女子高生のスカートでは見えてしまってもおかしくはない。
・・くっそう、だからもっと長くていいって言ったのにー!
後ろ数名から「ちっ、余計なことを・・」という小さいつぶやきが聞こえる。
「ぁぁ、コウさんのお下着が今日は見れませんわ。。」という女子の声も聞こえたのは何でだ。
午前の授業が終わりお昼休みになった。
うちの高校は学食もあるが、俺には弁当がある。
高校入った頃から俺は自分の弁当は自分で作っていた。
最近は高校に入った弟の分も一緒に作っている。ついでだし。
だが、父のはない。帰ってこれなかったりで、お弁当箱なかったりするし。
そのことを父に告げるとすごく悲しそうな顔をされた。どんまい。
俺はお弁当を持って屋上に上った。
アキツグも誘おうと思ったのだが、いつの間にか教室にいなかった。
青山は弁当を忘れたそうで、今日は学食で食べると言っていた。
うーん、他のクラスのマコトやアキラを誘うかな〜。。
・・・まぁいいか今日は。
春の日差しが心地よく降り注いでいる。
やっぱ天気のいい日は屋上で食べるに限るなーと思う。
一人で食べるのは少しさみしいけれど、たまにはいいだろう。
俺は茶巾袋に入った弁当箱を取り出し、蓋を開ける。
ふふふ、どうだ。この卵焼き。完璧じゃないですか!
中々の出来栄えに自己満足に浸りつつ、ご飯をもくもくしてたら一人の男子生徒がこっちにやってきた。
・・・だれだろう。知らない人だな。
なんだか純朴そうな少年だなぁ。
俺の目の前で立ち止まると、ガッチガチに強張らせた手を差し出してきた。
手には便箋が握られている。
これはなんだい?
彼の顔を覗き込むと、「あっ、いあ、あの、こ、これ読んでください!」と言われた。
これを読むの?
彼の手から便箋が手渡された。・・・果し状じゃないだろうな。
妙にしっとりしている。手汗か。
裏を返すとハートのシールが貼られているから多分違うだろう。
「はい、わかりました。」と返事をすると彼は高速でその場から退場した。
一体なんだったんだ。
周りの様子をキョロキョロと伺い、誰もこちらを見てないことを確認して、恐る恐る便箋の封を切って、中身を見てみる。
一通の手紙が入っていた。
『ああ、マイスイートハニー。君のことを思うと夜も寝られない、この焼け付くような想いを僕はどうしたらいいんだ・・』
みたいな内容だった。
もしやと思ったけど、これはラブレターじゃないですか!
渡す人間違えてないか。男だぞ俺は。
・・と思ったが今は女だった。
そうか、男からラブレターを貰うなんてイベントが発生するとはな。。
人生何があるかわからないな。。
男から貰っても嬉しくないはずなのに、なんだかちょっと照れてしまう。
好きという気持ちを伝えられて嬉しくないわけがない。
・・・内容は若干変だったが。
俺はラブレターをそっと閉じてポケットにしまった。
もちろんお断りするつもりだけれど、ぽいっと捨てるわけにもいかない。
自分が書いたラブレターが捨てられたなんて思うと、俺もちょっと泣いてしまうだろうし。
ちなみにラブレターをくれたのは1年生の高山コウジ君であった。
そっか、新入生の子かー。ごめんね。
俺なんかじゃなくて、もっとまともな女子とまともな恋愛をしてください。
うーん、どうやってお断りをしよう。。
それを考えると若干気が重くなったのであった。
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ここは高校のとある一室。
窓はすべて黒い遮光カーテンがかかっており、室内は薄暗い。
唯一の光は中央の机の上に置かれたローソク・・を模した電気で光るキャンドルライト。
怪しげなこの室内で行われているのは神聖な儀式である。
「首尾はどうだ」
黒い布を頭から被った者たちがおよそ10名ほど。
その中心にいる人物が声を発する。その声は深い威厳に満ちている。
おそらくこの集団の中心人物であることがうかがえる。
「はっ、本日のコウたんのパンツは残念ながら確認できませんでした!」
「な、なにい!?貴様よくもぬけぬけと、、!」
「今日は移動教室がある日だぞ!?確認できないでは許されんぞ!」
質問に答えた人物が周りから厳しく糾弾される。
そう、彼らにとって、コウたんのパンツの詳細は何よりも重要な情報なのであった。
「も、申し訳ありません、ですが、魔の十三階段からの監視はターゲットに気付かれてしまい、今後も警戒が予想されます。」
「気付かれただと、、くそう、コウたんのガードはゆるゆるだったのに・・」
「どうやら近くにいた女子が教えてしまったようです。」
「落ち着け。観察ポイントはそこだけではない、、今後はその女子にも決して気付かれないようにするのだ。」
悔しそうなメンバーに対し中心人物は落ち着いていた。
そう、彼には他にも確認する手段を持っていたのだ。
彼は一人の名を呼ぶ。
「ナンバー0002よ、貴様ならばわかるのではないか?」
ナンバー0002と呼ばれた人物が一歩前へ出る。
黒い布を頭から被っていて、詳細はわからないが、体つきから女性であることがうかがえる。
豊満な胸を揺らし自信に満ちた声でこう言った。
「うすピンクのレースよ!」
おぉ、、と、どよめきが起こる。
これで今日も一日乗り越えられる!とか、ああ、神よ。。とか
両手を組んで祈りを捧げる者までいる。
「流石はナンバー0002だ」
中心の人物は満足したように頷いた。
・・・ところで、厳かな雰囲気で開始されたこの儀式は一体なんなのか?というと、つまるところ、
コウのファンクラブ会議であった。
会員たちの報告会になっており、本日のコウの動向が報告されていく。
おはようからさよならまで。
今日食べたご飯から下着の色まで。
正直ちょっと気持ち悪い組織だ。
ちなみにファンクラブは新学期開始後設立し、3日で100名の会員を獲得していた。
当たり前だが、非公認である。
公認だったらパンツの報告とか許されるわけがない。
本日の会議参加者はナンバー10以内の幹部たちだけである。
末端の者たちには後日精査された情報が渡されるようになっている。
「ところで会長、耳に入れておきたいことが。。」
そう言ってメンバーの一人が中心の男に耳打ちをする。
「・・そうか、いずれそういう者が現れるとは思っていたが。。しばらくは様子を見よう。では本日は解散!」
儀式はつつがなく終了した。
だんだんキャラが増えて行きますね。




