55話 落ちて行くもの。
食事の後は軽く食休み。
リクライニングの椅子も作って並べる。
ピクニックみたいだな。
フライングディスクを作って投げてみたところ、ユキが高速ダッシュで追い付いてキャッチ。
そのままガチでの投げ合い、奪い合いが始まる。
フライングディスクというより、ビーチフラッグじゃなかろうか? 俺の知ってるフライングディスクでないのは確かだ。
運動が苦手なアイリスやエレメアも混ざっているのは意外だな。あ、魔法使ってやんの。
腹ごなしも終わったので、そろそろ帰る準備。
土地の南側が比較的に草が薄いので、ここを大地変容で整地して真っ直ぐな固められた地面へと変える。
これが今後滑走路となる予定だ。
家を作るのは中央の広い場所にするとして、他の場所は畑とか作るのもいいなあ。
手間がかかるのは嫌だから、ほおって置いても育ってくれる果樹とかどこかに無いだろうか? 実ったときに石化収納しておけば、一年中味わえるだろう。
庭の果樹と言えば、桃栗三年柿八年だな。
柑橘系も欲しい。
探しておこう。
マイ・ホーム予定地を飛び立ち、そのままファーレン南のエスタ湖へ。
10分もかからない。通勤圏内だな。
マイ・ジェットで毎朝通勤とか、資産500億円の御曹司のようだ。閉所恐怖症ではないが。
そのまま着水、と行こうかと思ったところで待ったがかかる。
「もう、今日の予定は無いんだろ? なら、一回このパラシュートってのを使ってみてもいいかい?」
と、言い出すのはシンディ。
ユキとエレメアは乗り気のようだが、アイリスは呆然としている。
無理強いは良くないと思うんだが。
こういうのは高度が低いとかえって危ないからな。一旦上昇。
「さあ、行くよー。アイリスも準備はいいかい」
「え、何で高っ、まっ……」
「そーれっ」
「うひゃぁぁぁぁ」
シンディはアイリスにパラシュート展開用の紐を握らせて、そのまま外へほうり出す。
良い子は真似しちゃいけないよ?
落ちて行くアイリスは、すぐにパラシュートを展開したようだ。
それに続くシンディ、ユキ、エレメア。
自由落下を楽しむ気か、パラシュート展開を遅らせて、次々とアイリスを追い抜いて行く。
俺は上空を旋回してそれを見守った。
あいつら、何だかんだで満喫してるなあ。もしかしたら、ニーナがダイブしたのを見て真似したかったんだろうか?
その後、スカイダイビングにハマったアイリスに何度もマイ・ジェットを飛ばす様、ねだられることになるのは、また別のお話。




