141話 敵戦力分析
「そこで、皆さんにもお願いがあります」
と、ヒース君パパ。
まあ、何を言いたいのか、だいたい予想はつく。
「この国に滞在して、メダルの守護にご協力いただきたい。そちらの仲間を助ける目的にも適うでしょう」
うん、そうなるよね。
だけどなあ。
「そういや、タケル君は他の四人の能力は判ってるの?」
「ん、だいたいは」
……早く教えておいて欲しかったよ? まあ、今さらだけど。
「一人に一つずつ能力がある感じだった。コウキは相手の時間を止める能力でフリーズって言ってたな。一度に一人しか止められないけど、一対一なら無敵っつってた」
あ、あれか。動きが見えないんじゃなくて、動きを止める能力。爽やか青年のやつ。
動きを止めた後に、階段の下に相手を運ぶことすら可能なんだろう。チートだな。
「レンカのはスイッチって言って、事前に決めたものか、認識しているものとで位置を入れ換える能力だな」
鉄球持ちのスポーツ少女が使ってたやつだな。
攻撃が必中になるやつ。
うん、チートだな。
「ユイが使ってたのがイレイズで、魔法の効果を消す効果があるらしい。コウキのフリーズを解除するくらいしか試せなかったけどな」
ある意味、俺にとって一番厄介な能力だね。
石で拘束しても消されたわけで。
ブラックボルダーなんかも消されそう。
「でもって、ユウタの能力がコネクト。全員の能力を共有して使えるようになる。俺のはアイテム前提の能力だったせいか、他のやつには使えなかったけど」
え? それじゃあ、人数分同時にフリーズされてたら終わってたんじゃないか? それ。
前の時は……ああ、そうか。メダルの効果でいきなりムキムキになって殴りかかってきたから、能力使わなかったのか。助かったな。
まあ、指揮してたのがおっさん枢機卿で、指示待ち状態みたいだったからなのかな。
「それって、全部神通力なの? なんて神様?」
「いや、なんかちょっと違う感じだったけどな」
一人一個ずつってのも雰囲気違うよね。
「異世界からの召喚では、特殊なスキルを身に付けることができると言われています。おそらくはそれによるものでしょう。その命を取り込めば、神兵にも力が引き継がれ、より強化されることになります」
と、ヒース君パパ。
……ちょっと纏めてみようか。
魔法の類いはイレイズで無効化される、と。神通力も含めて。
でもって、見える範囲で自由に位置を移動できる。事前に決めておけば見えてなくても移動できる。
相手の動きを意識ごと停止できる。
仲間の数だけそれらを同時にできる。
……いやいや、少年漫画の敵キャラでも、もう少し手加減しませんかね?
「とにかく、手が足りないな。相手以上の人数で物理戦力を用意しないと、一斉フリーズで終わってしまう」
「あの……」
と、ここでアイリスがおずおずと手をあげる。
そういや、いたっけ。静かだったな、カエデもヒース君も。
「シンディ達も呼んだ方が良くないですか?」
「あ、忘れ……」
おっと、アイリスの目が久しぶりに油虫を見る感じになりかけている。
俺レベルになると直前に察知ができるのだ。
「まず、れ……んらくしないとな、うん。メイベルは向こうの様子、判るのか?」
膝に座ったままのメイベルの頭を撫でて話を振る。
「はい。無事残りのチームと合流できました。いまは拠点作りを進めてましゅ」
「お、そうか。……でもなぁ、どうやって合流したもんかな。移動方法が無いよな。ニーナが運んでくれるわけ……無いよな」
「ニーナさんは、他のチームの方がやって来た時点でお家に帰られました」
まあ、そうか。それまでは帰るのを待っていてくれただけでも恩の字ってところか。
「ドラゴンが現れたので大騒ぎになってました」
……嫌がらせだな、多分。
何かお菓子でも開発しておいた方が良さそうだ。
タケル君印の餅米でなんとか……。
「シンディ達は、俺が迎えに行ってもいいけど、暫く空けても大丈夫?」
その間に再度襲ってきたりしない?
いや、俺がいてもあんまり役に立たないか……。
とにかく、世界樹さんにマイ・ジェットを通してもらえるようにしてもらって、とっとと行くのが良さそうだ。




