これからも春には来よう
その言葉の通りに、次の春には、
マーリックを連れて、海辺にやって来た。
マーリックに、実は、1年間くらい、政略結婚であるがゆえに、あまり話さない時期があったと話したら、彼は、非常に、驚いていた。
マーリックも、海の景色自体、見るのが初めてである為、言葉なく、感動していた。
さらに、その次の春には、
リュディヴィーヌは、ご懐妊されていた。
マーリックの、12歳年下の義弟か義妹になる子は、夏くらいに生まれる予定である。
懐妊したことを、この海辺で伝えた時は、
ゴーリュンも、マーリックも、屋敷の者達も、新しい家族が誕生するのだと、それはもう我を忘れるほどに、大喜びをしたものだ。
そして、さらに、次の次の春は…
ゴーリュンとリュディヴィーヌの間に誕生した王族特有の金髪碧眼の男の子と共に、海辺に。
「ゼーラメル!
これが、海だよ!」
「うにゅ?
うっきゃー!!」
「って、さすがに
分からないかな?」
「ふふ、そうね、マーリック」
「あ、やっぱり、難しいよね………」
「ゼーラメルは、今は、赤ん坊だから分からないけれど、いずれ、分かるようになるわ。」
「ああ、また、これからも春には来よう。」
「うん! また、家族で来ようね!」
この王国の言葉で、大海原という意味の息子、ジェルヴェール次期辺境伯領主、ゼーラメル。
色彩は実母から受け継いだが、顔立ちは実父にそっくりに成長しそうな子だ。
彼は、実両親からも、義兄のマーリックからも可愛いがられて、立派に、成長していく。




