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辺境伯な女領主は恋を知らない  作者: ゆりあ
お騒がせなお客様たち
21/27

また、連絡無しのお客様!?

「リュディヴィーヌ様!!」


「えっ?何かしら、ロレイン!?」


「何があったんだ! ロレイン!?」


「何があったんですか、ロレイン!?」


「緊急です! お客様が来られました!」


「えっ!?また、連絡無しのお客様!?」


「えっ?今度は、どなたなのかしら……?」


先日とは違う、本気で緊急の知らせだと分かるくらいに青褪めた表情の執事、ロレイン。


えっ!?今度は、いったい、誰なのですか?


いきなり来るお客様が多すぎませんこと?


「わたしだよ

リュディヴィーヌ」


「まあ!! お兄様!?」


青褪めて、何やら緊張しているロレインの後ろから、優雅に歩いてやって来たのは兄でした。


光り輝くような金の短髪に煌めく碧眼の美しい神秘的な青年、王太子殿下。


なるほど………お兄様ならば、先に、お知らせが無くても、許されてしまうような人だ。


ロレインが、青褪めているのは、なぜなのか、分かりませんけれど。


「王太子殿下…!」


「えっ? このお方が…!?」


「義弟のゴーリュンと義甥のマーリックか?

初めましてだな、フォセット王家で、王太子を務めている、アルフレッドだ。」


「はい!宜しくお願い致します、王太子殿下!」


「宜しくお願い致します!王太子殿下!」


「うーん………君達は、義弟と義甥なのだから、アルフレッド義兄上、アルフレッド義伯父様とでも呼ぶと良い。妹を、宜しく頼むぞ。」


「は、はい! アルフレッド義兄上!」


「はい、アルフレッド義伯父様!」


突然やって来た王太子殿下を、義兄、義伯父と呼ぶように言うお兄様………


このお方は、相変わらず、自由奔放なのだが、実は、真面目で、努力家なお方だ。


ひっそりと自分を、鍛え、鍛え、鍛えてきた。

王太子殿下として相応しくあるために。


本当は、家族想いの、優しい人だ。





「アルフレッドお兄様」


「ああ、久しいな

可愛い妹、リュディヴィーヌよ」


「お兄様は、どうして、こちらに!?」


「ジュリオーンの代わりに来たんだよ。」


「あら、お兄様、もしかして、今回のアメリーズ子爵令嬢の件と何か関係がありますか!?」


「やはり、こちらに来ていたか………」


「ええ、来ていましたよ!」


このお方、王太子殿下であるお兄様がわざわざ来る程なんて………


いったい、何をやりましたの…!?


「何がありましたの!?」


「簡単に説明すると、ご両親と大喧嘩したらしいアメリーズ子爵令嬢が、先日、家出したんだ。

行方不明者か、もしくは、誘拐かもしれないとして捜索依頼が出る程に、いつの間にか、部屋からいなくなっていたらしい。」


「まあ! 家出でしたか…!?」


「子爵令嬢の部屋には、書き置きがあった。

私は、愛しのゴーリュン様に嫁入りしますわ!

探さないで下さい!と。」


「………えっ!?」


「………はい??」


王太子殿下であるお兄様が、わざと女声を真似して言うものだから………


その場にいた全員が、ぽかんとしてしまった。

執事や様子を見に来たであろう侍女も驚愕した表情をしている。


しかし、お兄様は、周りの空気に気付かずに、そのまま、話の続きを話し始めた。


「しかし、書き置きには驚いたよ。

ゴーリュンは妹に婿入りしたはずだからな。」


「ええ、わたくしの大切なお婿様ですよ。」


「リュディ以外、妻として迎えませんよ。」


「ええ、そうですよ!僕の養母上は

リュディ姫様だけですよ!」


「ほう?いつの間にか、親子揃って仲良くやれているようで、なによりだ。」


「ふふふ、ありがとうございます。」






「今回は、ジュリオーンの代わりなのね?」


「さすがに、ジュリオーンは、辺境伯領を長期間離れるのは難しい。だから、代わりに来た。」


「アメリーズ子爵令嬢は、ゴーリュンが、辺境伯閣下になられたと勘違いしておりました。」


「そのような勘違いを………?」


「ええ、彼女は、金髪碧眼が王族だと分からないようでしたから………」


「ふむ?それは、なかなか………

思った以上に世間知らずなのだな?」


「そうみたいですね?」


「何も調べずに家出して来たのか…?」


「ええ、そのようですよ。

しかもですね、ゴーリュンは、幼馴染ですが、15歳から10年以上会っていないようで。」


「うーん………そうか………

何を考えているか、よく分からんな…?」


「わたくしも、よく分かりません………。」


「まあ、とりあえず、わたしからジュリオーンに知らせておくよ。安心しなさい。」


「お兄様! ありがとうございます!」


まあ、何はともあれ、お兄様とジュリオーンのおふたりに、お任せいたします。


なんだか、不思議なことに

巻き込まれてしまいましたね。

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