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辺境伯な女領主は恋を知らない  作者: ゆりあ
冒険者たちとの出会い
17/27

かっこいい奥さんだなあと思って

「俺らは、そろそろ戻るよ!」


「ああ、ふたりとも、ありがとう。」


「こちらに来て頂いて、有難うございます。

また、いらして下さいね。」


「ふたりとも! 鍛えてくれて、ありがとう!

これからも、頑張ります!また来てね!」


カイラン殿、オルトライティ殿は、これから、ゲイルディス王国のケレディー辺境伯領にある田舎の小さな村に戻るそう。


徒歩、馬車、船旅で、1ヵ月以上もかけて。


今は、そちらの村の家に、オルトライティ殿の奥さんと息子くんが暮らしているようです。


「うむふむ、良い子達じゃの。ありがとうのぅ。

また、来年辺りに来るよ。」


「こちらこそ、ありがとう!また来るよ!

今度は、奥さんと息子を連れて!」


「ええ、ぜひぜひ! 

また来年、宜しくお願いしますね。」


二人は、近くの港街から船に乗って行くそう。


船旅の生活は大変だと聞いていますから無事に着きますように、と祈りましょう。







「そういえば、マーリック

また、王都から手紙が届いているわ」


「えっ? 王都から?

今度は、誰からですか?」


「イレボーニ伯爵令嬢、テレッアサ嬢ね。」


「えっ!?また、テレッアサ嬢!?

なんで、僕に手紙が来るんだろう…?

あまり喋ったことが無いのに…」


「うーん…… それは、マーリック自身に、興味があるからじゃなくて?」


「えっ? 僕に、興味が………?」


もしくは、純粋に、マーリックを、お友達だと思っているとしか思えないのだけれど。


まだ、10歳ですからね、まだ自由だと思っていらっしゃるんだわ。


「うーん………どうしよう?

カイセルン様を敵に回したくないのに…」


「ああ、テレッアサ嬢の婚約者候補の?」


「うん、そうだよ。

ランボルー侯爵家の嫡男、カイセルン様。」


「ランボルー次期侯爵ね、彼に会ったことはないけれど、噂だけは、聞いたことがあるわ。」


その噂は、良くないものが多いけれど…


彼は、冒険者ギルド本部長のご子息だ。


自らも、12歳にして、Cランク冒険者という若手の中でも、強い少年であるらしい。


でも、彼は、その天才児として、驕り昂って、冒険者達への命令口調が強いらしく、冒険者の者達からは、嫌われていると…。


「ランボルー侯爵は、優しい人ですけれど…

ご子息は問題児だそうですね?困ったこと。」


「冒険者ギルド本部長の息子だから、いずれは、カイセルン様が跡を継ぐかもしれない。」


「ああ、冒険者を兼任する貴方にとっても、敵にまわると厄介な少年なのね。」


「うん、そうなんだ…」


ランボルー侯爵家は、ご息女が次期公爵少年に嫁入りする予定らしい。そのために、跡継ぎが問題児なカイセルンだけらしいのだ。


副本部長の次期伯爵な青年が、本部長になって欲しいという意見が通る可能性もあるが。


「そういう時に私情は挟まないで欲しいけれど、難しい人もいますからね。」


「気難しい方だから、微妙かもしれない。」


「何かあった時、その時は、リュディヴィーヌの義息子だと、わたくしの名を出しなさい。」


「えっ? 良いのですか?」


「マーリック、そういう人はね、かなり身分差を気にするものなのよ?」  


「ああ、確かに、身分や立場を気にする人です。

侯爵子息同士でも、僕は、次男坊だからって、いろいろと言って来ましたし……」


「王女で、辺境伯閣下の領主の名前を出したら、さすがに、敵には回らないでしょう?」


「ほ、本当ですか、養母上!?

ありがとうございます!」





「テレッアサ嬢は、どんな子なの?」


「うーん……

あまり喋ったことがないけれど……

カイセルン様と喧嘩している所なら見たよ?

気が強くて、女王様気質というか…」


「そうなのね………

そのままいくと、婚約破棄になる可能性があるから、王都から離れている我が家、辺境伯家に嫁入りしたいだけかもしれなくてよ?」


「あー、それでなのかなぁ。」


マーリックは、なんだか、微妙な顔だ。


テレッアサ嬢と気が合いそうな気質の子なら、受け入れても構わないけれど…


うん、テレッアサ嬢は、難しいそうね。


「だとしても、それは、ちょっとなぁ」


「そうね、マーリックと相性は悪そうね。」


「うん、マーリックが次期辺境伯になりなさい!

って言われそうな気がするよ?」


「まあ!そのようなことを言うの?」


マーリックは、国王陛下の公認で、辺境伯領立騎士団長を目指すために、次期伯爵として養子入りした子です。


次期辺境伯位は、ゴーリュンとわたくしの子がなることが決まっています。


そのようなことを言う、つまり、国王陛下公認なのに文句を言うようなご令嬢とは、こちらも遠慮したいお相手ですね。


「政略結婚でも遠慮したい気質のご令嬢だよ。」


「そちらも、わたくしの名を出した方が賢明ね。

何かあれば、呼びなさい。」


「本当に、ありがとうございます、養母上!」





「リュディ………」


「どうしたの、ゴーリュン?」


「リュディは、かっこいい

奥さんだなあと思って」


「そ、そうかしら?

ありがとう、ゴーリュン」

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