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辺境伯な女領主は恋を知らない  作者: ゆりあ
冒険者たちとの出会い
14/27

気が強い割に心配性だからさ

「カイラン師匠、オルトさん

今回は、いつまで滞在する予定に?」


「1週間くらいだな、オルトは、妻子を待たせてしまうから、それぐらいがちょうど良い。」


「ああ!そうだな!サーシャナは、気が強い割に心配性だからさ、早めに帰宅するつもりだ!」


「ふふ、カイラン師匠、オルトさん、わざわざ、こちらに来てくれて、本当に、ありがとう。」


ふたりは、また、1ヶ月以上くらいも掛けて、ゲイルディス王国に戻らなければならない。


オルトライティの妻子は、比較的、安全の高いのどかな村に、ひっそりと住んでいるらしい。


さすがに、長距離の旅に、まだ10歳の息子は連れて来れないためだ。





「なぁ、ゴーリュン」


「うん? 珍しいね、何か相談事かな?」


「オルディーが冒険者見習いとして15歳で自立したら、こっちに引っ越して来ても良いか?」


「え、こっちに?引っ越してくれるの?

もちろん構わないよ!ねぇ、リュディ?」


「ええ、もちろん、ゴーリュンの大切な方々なのですから、わたくしも、大歓迎ですよ?」


「おお!そっか!ありがとう!」


息子さんが、15歳で冒険者見習いになれば、引っ越しする計画を立てているそう。


つまり、5年後ね?今から楽しみですこと。


「なんかさ、リュディヴィーヌ姫様は、冒険者に慣れていなさそうだなー?」


「ええ、兄妹達は、冒険者の皆様に指名依頼で、ご依頼をすることが多かったのですけれど……

わたくしは、どちらかと言うと、事務作業で、あまり表に出ませんでしたから。」


兄の王太子殿下、弟の第二王子、第三王子は、冒険者達に視察の為の護衛依頼しています。


妹の第二王女も女性冒険者に依頼して、薬草の採取のお願いをしています。


しかし、わたくしは、ベテラン冒険者さん達と関わりが薄かったので、新鮮な気持ちです。


この領地に来てから、ゴーリュンに出会えて、仲良くなれてから、新鮮な気持ちになることが多くて、嬉しく思いますね。


「ふーむ、確かに、第一王女の噂って、才女だということしか、噂に聞かないかも?」


「わたくしは、10歳の時に、この辺境伯家に、養女として、赴くことが決まりましたから。」


「10歳の時に…!?」


「ええ、最初は、驚きましたけれど…

こうして、ゴーリュンを縁として出会える方が増えて、嬉しく思いますわ。」


「そっか! うんうん、それは、良かった!」


オルトライティは、銀燐帝国の王家の末裔だ。


愚帝と呼ばれた皇帝陛下の唯一の王子として、普通に生活している様々な国の王家の者たちに劣等感を抱いてしまうことがある。


しかし、なぜだろう、リュディヴィーヌ姫様と話していると、その劣等感が和らぐ。


それは、彼女が、王家に生まれたはずなのに、慢心せずに、謙虚な姿勢だからだろう。


ただ、ただ、優しいお姫様だからだろう。





「ああ、そうだわ!

カイラン殿、オルトライティ殿!」


「うん?姫様、どういたしましたかな?」


「ん?どうしたの?リュディヴィーヌ姫様?」


「そういえば、ゴーリュンとご相談をしまして。

冒険者のお二人に、ご依頼がありまして。」


「ふむ? 依頼とな?」


「うん、良いよ、ゴーリュンとリュディヴィーヌ姫様からの依頼なら、受けるよ?」


「まあ!ありがとうございます!この辺境伯家の息子であるマーリックを鍛えてもらうことっていう、ご依頼をお願い出来るかしら?」


「うむ、もちろん、出来ますぞ!」


「もちろん、マーリックなら鍛えがいがありそうだから、構わないよ?」


「えっ?養父上、養母上、そのような依頼を?

宜しいのですか?ありがとうございます!」


「ええ、もちろんよ、マーリック!」


ゴーリュンも、リュディヴィーヌも、すでに、実子のように可愛いマーリック。


信用できる冒険者の皆様相手なら、指名依頼をしても構わない、と思ったのです。


ゴーリュンは、次期騎士団長として、お仕事で忙しいのです。その代わりに、1週間と短期間ですが、おふたりに鍛えてもらいましょう。


マーリックは、まだ、10歳なのです。成長の伸び代が、まだ、まだ、ありますからね。


やる気がみなぎっている今だからこそ、鍛えてもらうのが、良いのですよ。


「ふふふ、辺境伯夫妻からの指名依頼という形にしますが、いかがでしょうか?これからの旅に向けての旅費分くらいは、払いますよ?」


「うむうむ、分かったぞ、辺境伯閣下よ。」


「承知しましたよ、リュディヴィーヌ姫様!

明日、ギルドを通して、俺達に依頼してくれると嬉しいかな。今日中には、ギルドには、話を通しておくからさ。」


「ふふふ、ええ、もちろんですよ。」

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