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辺境伯な女領主は恋を知らない  作者: ゆりあ
冒険者たちとの出会い
13/27

素直で良い子じゃないか!

「やあ、ゴーリュン」


「お久しぶりです、カイラン師匠」


「ふふふ、3年ぶりかな?久しぶりだねぇ」


焦茶色の短髪に黒目、青年のように見えるが、47歳らしい、カイラン・へーべ殿。


一見、ゴーリュンのように細身ではあるけど、Sランク冒険者だから、お強いのでしょう。


でも、正直、あまり目立たないから、ご挨拶をしないと、冒険者さんだと分かりませんね。


「よぉ、ゴーリュン、久しいなぁ!

元気にしていたかー?」


「ええ、オルトさんも、お久しぶりですね。

もちろん、元気にしていましたよ。」


「良かった、良かった!

確か、今は、25歳だよな?」


「ええ、今年で、25歳になりますよ。」


それ以上に目立つのが、オルトライティ殿。


かつての銀燐帝国の王家特有の、目立つ銀色の髪を隠すために被っているであろう、真っ赤な(かつら)の短髪に、緋色の瞳の冒険者。


初対面だと、真っ赤な印象しかありませんね。その緋色の瞳は、本物のようですが。


銀髪を隠すために、かなり目立つ真っ赤な色の鬘にしたことは、正解だと思えました。





「ところで、ゴーリュンよ。

なぜ、フォセット王家のお姫様が、こちらに、いらっしゃるのかな…?」


「確かに、金髪碧眼はフォセット王家の証。

なぜ、こちらに、おられるのですかな?」


「こちらは、先代辺境伯夫妻の養女となりました新しい女領主のリュディヴィーヌ様です。」


「ふむ? そうなのかい?」


「女領主………!?」


「はい、お初にお目にかかります。

ジェルヴェール辺境伯家の当主を受け継ぐ為に領主になりましたリュディヴィーヌですわ。

宜しくお願い致します。」


「リュディヴィーヌ?もしや、貴女は………

その名前は、第一王女殿下でしょうか?」


「ええ、はい、フォセット王家の第一王女として生まれ、先代辺境伯の養女になりました。」


「………ふむふむ、なるほど。」


王家には、二人の王女殿下がいる。


才女だと知られている第一王女殿下に、可愛いらしくて、無邪気な末っ子の第二王女殿下。


カイランは、その名前を聞いて、第一王女殿下だと気付いたが、なぜ、お姫様が、辺境伯閣下として選ばれたのか、よく分からない。


オルトは、フォセット王家の者だと気付いて、警戒心を高めてしまいました。


「わたくしは、こちらの

ゴーリュンの妻でもあります。」


「はい、実は、辺境伯家に婿入りしまして。」


「おおおお、なるほど、なるほど、ゴーリュンの奥方様でしたか!失礼いたしましたな!

私は、Sランク冒険者の、カイラン・へーべと申しますぞ!宜しく頼みますな!」


「ゴーリュンの奥さん………

Aランク冒険者のオルトライティ・マテラだ。

ゴーリュンは弟みたいなもんだな、宜しく。」


「はい、カイラン殿、オルトライティ殿。

宜しくお願い致します。」





「ふうむ?なるほど。

政略結婚というやつだな。」


「そういう形の政略結婚も有るのだなぁ。

なんとも、不思議なものだ。」


「うん、俺も、子爵家出身の俺が選ばれるなんて不思議だと思うよ。」


「うむ、ワシらから見ても、不思議だぞ?

ワシは、農民生まれだからの、政略結婚は必要無いんじゃ、今も、独身のままだしな。」


「うーん………不思議なもんだなぁ」


「リュディが、お婿様は、王族からではなくて、辺境伯領に住む殿方から選びたい、って言ってくれたおかげで出会えたんだ。」


「ほほー、政略結婚のようだが、仲は良好か!

良い縁に恵まれたな、ゴーリュン?」


「そうだなぁ。良い妻に恵まれたなぁ。」


「ふふ、ありがとう、ふたりとも」





「そっちにいる小さな少年は?

もしかして、彼も、家族なのか?」


「俺達に養子入りしたマーリックだよ。」


二人は、ずっと、側で控えていた小さな少年、マーリックに気が付きました。


そのマーリックは、自分の挨拶はまだだろうと見ていたので、きょとんとしてましたが。


「はい、初めまして!

ゲゼルテ侯爵家の次男坊として生まれ、二人の養子になりました、マーリックです!」


「ほほー?もしや、ゴーリュンの弟子かな?」


「はい、弟子入りしました!」


「つまり、ワシにとっては孫のようなもんか?

宜しく頼むのぅ、マーリックよ。」


「はい! カイランおじいさま!

宜しくお願いいたします!」


「おじいさまか〜!嬉しいのぅ!」


カイラン殿から、ガシガシガシガシと遠慮なく撫でられて、マーリックは、嬉しそうです。


マーリックも、私も、家族から、あんなに撫でられたことは無いので、新鮮なのでしょう。


「それなら、俺にとっては、甥っ子なのか?

オルトおじさんで良いぞー? 宜しくな!」


「オルトおじさま、宜しくお願い致します!」


「ふふふ、いま、年はいくつなんだ?」


「いまは、10歳になりました!」


「マーリックは俺の息子と同い年なんだなぁ。

今度来たら、オルディーも連れて来るよ。」


「本当ですか!?ありがとうございます!

会えるのが楽しみです!」


「ははは! 素直で良い子じゃないか!」

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