仲良しだなあと思って?
「とても美しい場所ね!」
「本当に、綺麗な場所ですね!」
「でしょう?こちらは、俺の実家が管理している場所だから、森の中でも安全だよ。」
木漏れ日の美しい、静寂に包まれた森の中で、家族3人で、のんびりと過ごしています。
マーリックは、養母に似ている為、この3人でいますと、本当の親子のようです。
「サムセイト子爵家の私有地なの?」
「曽祖父の代から管理しているみたいだよ。」
「そうなんだ!養父上、もし良かったらだけど、そのサムセイト子爵家の人達に会える?」
「うーん………母上なら、喜ぶ可能性があるが、父上や兄上達は固いぞ?」
「うん、それでもいいよ?義理の親族として挨拶してみたいんだ。」
「分かった、父上達に、そう伝えてみるよ。」
ゴーリュンの実家、サムセイト子爵が管理している私有地だそうです。ゴーリュンは、実父に頼んで、利用する許可を得たそうですね。
サムセイト子爵とゴーリュンの会話は、上司と部下のような感じです。
ゴーリュンは、親子というものに憧れを抱いているからでしょうか?
養子のマーリックとの関係は、親子のような、義理の兄弟のような、温かいぬくもりあふれる家庭を目指して、頑張っているご様子で。
「リュディ、肌寒くはないかい?」
「ええ、大丈夫よ?
ちょうどいい涼しさだから」
「そう?それなら、良かったよ」
小春日和の涼しさ、とても心地良いものだ。
木漏れ日が差している場所に、可愛いらしくて小さな花々が咲いている。
「ねえ、養父上
リュディって呼び始めたの?」
「ああ、うん、そうだよ?」
「やっぱり………!?
いつの間に、そんなに仲良くなってるの?」
「ふふふ、リュディから呼んで良いってお許しを得たから、嬉しくて。」
「そうなの!?息子としては、養父上と養母上が仲良しなのは嬉しいけど、息子の前で、イチャイチャしすぎないようにね?」
「ふふふ、それは、もちろんだよ」
何やら、お婿様と可愛い息子が仲良くコソコソ小声で内緒話をしています。
マーリックがニヤニヤ揶揄うような表情して、ゴーリュンは何か照れていらっしゃいます?
ふたりとも、いったい、何ですか?
気になるのですが…
「あら、マーリック
ゴーリュンと内緒話なの?」
「養母上と養父上が仲良しだなあと思って?
新婚夫婦というより恋人になりたてみたいで」
「まあ!マーリックったら!」
マーリックったら!
養父母である私達を揶揄っていたの!?
こ、恋人になりたて、合ってはいますけれど、息子に揶揄われるのは恥ずかしいことですね!
ああ、でも、そういえば、この子は、大人びていますけれど、今は、可愛い10歳でしたわ!
こうやって揶揄って、甘えているのかしら?
そう考えると、可愛いらしいですわね。
「そう、恋人になりたてなんだよ」
「………えっ?それは、本当に?
ふたりは、政略結婚で結婚したかと…!」
「政略結婚だよ、結婚して1年以上経つけれど、つい先月まで、あまり話さなかったんだ」
「そうなの!?恋人になれたんだ、凄いなぁ。
僕も、婚約をする相手と政略結婚だとしても、養父上、養母上のように仲良くなれるかな?」
「なれるさ!
私達が証明だよ!ね、リュディ?」
「ええ、きっと、大丈夫よ、マーリック」
お互いに不器用な私達でも大丈夫でしたから、マーリックなら、良いお嫁さんが見つかるわ。
15歳くらいになったら、マーリックの婚約者さんを決めることになるでしょう。
マーリックに合いそうな子を探す必要がある。
「マーリック、貴方は、いずれ、20歳くらいになりましたら伯爵位をもらうことでしょう。」
「は、伯爵位を?良いのですか?」
「ええ、良いのよ、国王陛下、お父様から許可を頂いていますから、大丈夫なのよ。」
「そ、そうなのですね…?」
マーリックは、辺境伯位になれない代わりに、伯爵位をもらう予定となりました。
リュディヴィーヌは、賢い彼を、ただの辺境伯家の養子、次期辺境伯閣下の義兄として育てるより、次期伯爵様として育てたいと国王陛下に依頼したのです。
実は、この領地に、伯爵位は、3人います。
その方々は、警備部隊隊長、冒険者ギルド長、商業ギルド長を努めています。
辺境伯領立騎士団騎士団長クラスになる予定のマーリックが伯爵位でも構わないのですよ。
「この領地に、貴族令嬢はいますか?」
「いいえ、今は、いないわ。前は、私達くらいの年代の伯爵令嬢がいたそうですけれど、他領の伯爵家に嫁入りしたそうですからね。」
「なら、婚約者は、他領か王都か、どこかの貴族令嬢ということに………?」
「そうね、良い婚約者が現れると良いわね。
わたくしも伝手を頼って探してみますけれど、正式に決まるのは、15歳以降ですよ。」
「はい、ありがとうございます…!」




