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94.はじまりの宴

「カイリさん、シャッドさん、ちょっといいですか?」


 厨房にて俺は、カイリさんとシャッドさんを呼んだ。


「明日からクランディールは本格的な活動を行います。多分、全員が揃う日と言うのは徐々に少なくなるでしょう。なので、今晩は宴会を開きましょう! 突然の思い付きなので宿は休めません。お客さんも巻き込んで盛大にやりましょう! 俺のとっておき食材を大放出します!」


 そういって俺はマジックバックからブルーブルの肉や、シーサーペントの肉を取り出した。


「ちょ、マスター! この肉はなんだ?」


 カイリさんが驚いている、シャッドさんに至っては驚愕の表情だ。


「ふふふ……とっておきの奴です。シーサーペントって知ってます?」


「マジか!」


 カイリさんが叫んだ! ビックリしたのかナミちゃんとナギちゃんが厨房へ走ってきてしまった。カイリさん興奮しすぎじゃない?


「もしかしてこいつも……釣れるのか?」


 シーサーペントはこの世界で見た最初の魔物だが、どっちかっていうとトラウマものだ。魚でも虎でも馬でもないのだが、非常に印象が悪い魔物なのだ。しかも、焼いて食べたけど味の印象もよろしくない。あの時は素焼きで食べただけだったからな……しかし今回は出汁も調味料も揃っている! どんな素晴らしい料理になるのか楽しみだ!


「いえ、こいつはさすがに釣れる気はしません。とある方からの贈り物で今まで秘蔵していたんです。カイリさんとシャッドさんに任せますので最高の料理に仕上げてください。それでは夕飯楽しみにしてますね!」


 俺は二人にそう伝え、ナミさんとナギちゃんには今晩は宴会をするからクランメンバーを集めておくようお願いした。




 俺は今、ベイツの街を歩いている。


 せっかくの宴会だ、ベイツの街でお世話になった人にも声をかけておこう。まずは冒険者ギルドだろう、エリーさんに今晩宿で宴会を行うからベティさんに伝えるようにお願いした。もちろんエリーさんもルイーダさんも招待しておいた。


 次に商業ギルド、ここのマスターにも土地を買う時にお世話になった。当初は広すぎたかなと思ったが、今の状態を考えると足りなくなりそうだ。その時はまたお世話になると思うので今のうちにコネを作っておかなければならない。


 そして町長のゴンさんだ、彼にもいろいろとお世話になった。俺はこの街出身ではないが、非常に良くしてくれる、好き勝手やっているけど不満を言われたことはない、むしろ背中を後押ししてくれている感がある。俺の異世界での最初にたどり着いた街がベイツで本当に良かったと思っている。


 そしてサーフに向かう途中に門番のタダンさんにも声掛けした。今日は日が暮れたら門を締め切る許可をゴンさんからもらっている。ここの門は人の出入りが流木を拾う人しかいないのだ、ドラッシェン様の魔力の影響で魔物もいない、ちょっとくらい門が早く閉まっても問題ないだろう。


 そして俺は日が暮れるまでタケダを釣りまくった。




「皆さん、明日からグランディールは新しい活動を始めます。この活動はこれから何世代にも渡り行っていける活動です。次の代も、その次の代も変わらず活動を行うためには日々人材を育てていかなければいけません」


 そう言って俺はギルドカードを掲げた。俺は先日Bランクの冒険者になったのだ、カードの色は金だ! 


「俺の職種は管理職です。管理とは物事がうまくいくようにすることを言います。しかし、俺だけが頑張っても何もうまくいきません。皆さんの力が必要なのです。ですが、訓練や教育を受けていない人がいくら集まっても物事はうまくいきません。じゃあどうするか! 人材を教育し、優秀な人材を作り上げる過程も管理職の仕事なのではないかと俺は思っています。クランディールには優秀な人材が集まりつつあります。しかし、今の人材が優秀でも、次の世代は凡人なんてことがあってはなりません。皆の知識は次世代に受け継がれ、もっと優秀な、もっと素晴らしい人材が日々排出されるクランになっていきたい。それすなわち、ベイツの街が優秀な人材を輩出する街になるということです! ベイツの街はこれからの最先端! ベイツの街が新しいことの始まりの街になる!」


 ちょっと腕が疲れてきたから、俺はギルドカードをおろした。金って比重が高いから重いんだよね……


「今日は、今現在もてる技法を使った素晴らしい料理を用意しました。クランメンバーの他、ベイツの街の皆さん。そして宿のお客さんも存分に堪能していってもらいたい」


 そういって俺はエールが入ったジョッキを手に取る。考えてみればエールを飲むのは久々かもしれない。


「これはクランディールのはじまりの宴! 今日は俺が全部持つ! 存分に食べ、存分に楽しみ! エネルギーそのまま未来永劫突き進もう! 乾杯!」


 そう言って俺はジョッキと天井へ突き出した。 

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