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89.第五回クラン会議を始めます!(ポッパーさん)

「マスター、俺が話してもいいか?」


 ポッパーさんが、俺のことを珍しくマスターと呼んでいる。


「どうぞ」


 めずらしく真剣な表情でこっちを見ているな。いや、あれは緊張しているのかな?


「シャッドさんのやりたいことに、俺は全面的に協力したい。材料のブルーブルの肉なら毎日狩って来よう」


「それは助かりますが、毎日ダンジョンへの往復は大変じゃないですか?」


 大きな木まででも、結構な距離があるからな。


「往復が大変な時は、1泊してきてもいい。とにかくシャッドさんがやりたいことに、できるだけ協力したい」


 ポッパーさんが居ないとお風呂を沸かしてくれる人がいなくなっちゃうな。トレーラさん沸かしてくれるかな? そんな関係ないことを考えていたら、ポッパーさんが会話を続けた。


「俺は一度、人生が終わっていると思っている。身体の自由が利かなくなり、働けなく、食う金も尽きかけた。安いはずの芋汁も高くて食べれないんじゃないかと言う切羽詰まったところで、マスターに拾われた。俺は運が良かった、この世にはたくさんの食うに困った人間がいる、働きたくても事情があって働けない、働けないからお金もない、そんな人間にも感動するくらいうまい飯を用意できる仕事っていうのは悪くない」


 お腹が空いているときは悪いことを考えることが多い。かといって、お腹が空いているからと言ってまずいものを食べたい人はいないだろう。安くてうまいが最高だよね。


「そうですね、安くて、うまいがあれば不幸は減りますね。ついでにうちで働いてもらえれば賃金もでる、いいことづくめです。ただ、ブルーブルを狩った肉を割安で手放すことになりますけど、いいのですか?」


 ギルドに買い取ってもらったほうが、間違いなく高値で売れるだろう、高級肉らしいし。


「俺はいいと思っている。ダンジョン産のドロップ品は、ギルド依頼でもない限り冒険者が自由にしてよかったはずだ。たまに革がドロップするだろう? あれだけでも十分な収入になるんじゃないか? それに……若いやつがでっけー目標を立ててやりたいって言っているのに、協力しないなんて漢らしくないだろ?」


 ポッパーさんカッコいいッス、俺もそう思うッス!


「私も旦那に協力するわ、戦うことはできないけどクランハウスのお掃除だったり、流木拾ったり、そうだ! お風呂も沸かせるから旦那が留守でもマスターは安心してね」


 そうだった、プッツンして覚醒したエメさんも武器に炎を纏わせることができるんだった。

 ええじゃないか、ええじゃないかー。


「僕もお父さんに協力します。僕はお父さんの様に戦えるようになりたいので、お父さんとダンジョンに行ってお肉を取ってきたいです」


 ランドくんはポッパーさんのようになりたいのね。でも、子供をダンジョンに連れて行くのはどうなんだろう?


「ランドくんのダンジョンに行くのは実力を見て、ポッパーさんが大丈夫と判断したらにしてくださいね」


「わかった、行動不能になったブルーブルにとどめを刺すくらいならすぐにできるようになるだろう。連携を確認して安全を確保しながらやっていけるように考える」


「くれぐれも大きなケガをしないようにお願いしますよ」


「一度経験した……二度としない」


 ポッパーさんが気を付けてくれるなら問題はないだろう。少々過保護になりそうな気もするが……


「マスター、安心しろ。慣れるまでは俺もサポートするぞ」


 カイリさんは頼もしい。カイリさんとポッパーさんが居れば俺みたいに群を呼ぶこともない、安全だろう。


「私もそれなりに戦えるようになりました。一緒にミドリ草も採取できます、協力しましょう!」


 クランクさんは、戦えるようになりすぎだと思うんだけど……

 ミドリ草は俺が採取しなくてもいい感じになるのかな? しばらくはタケダ釣りに専念しちゃおうかな?


「あの、私の話も聞いてもらえますか?」


 そう言って手を挙げたのは、スピナさんだった。

ちょっと短いですがスピナさんにバトンタッチになるので区切りました。

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