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70.お化けを掴める能力は、すごいのか? すごくないのか?

 朝だ、あーさーだーぞ! 異世界には浅漬けの元はなかった。


 なんとなくそんな気分だったので、朝ご飯はウリーを塩で揉んでみんなに食べてもらった。

 今から汗をかくからな、塩分補給は大事だ。朝ご飯を食べない人は熱中症にかかりやすいと聞いたことがある。食欲がなくても、味噌汁1杯でも食べておくと熱中症のリスクが激減するそうだ。朝ご飯はすごく大事。

 もちろん味噌汁も作ってもらった。俺のリクエストでまるネギとミョウガの味噌汁だ。この世界のミョウガは苦い根っこなんて呼ばれているけど、この苦みがいいんじゃないか。


「今日は昨日よりも奥に進んでみましょう。くれぐれも無理は禁物です。ご安全に!」


 まずはブルーブルを倒しまくって肉を大量GETした。

 昨日あんなに倒したのに、こんなに湧いているなんてさすがダンジョンだ! レアドロップっぽい革もそれなりに手に入った。今回参加できなかったメンバーにも何か作ってあげよう。青っぽい革だからクッションとかも良いかもしれないな。馬車で大活躍するだろう。




 しばらく進んだ先に川があった、川幅は広いが浅い。

 ダンジョンに魚はいるんだろうか? しばらく川を凝視したが魚影は見つけられなかった。とても残念だ。

 川を渡った先に地下へ続く階段があった。これが次の階層への入り口だろう。ちなみに川を渡ってからブルーブルと出会っていない。もしかしたらブルーブルは水が苦手なのかもしれない。それかここがセーフポイントなのか? まぁ、地上に戻ったほうが絶対に安全だから、ここで野宿はしないだろうけど。


 3層目は石造りの迷宮になった。


「なんだか暗いし不気味ですね」


 暗いのでトラの十八番『ライト』をお願いしようかと思ったが、必要がなかった。

 なぜなら俺以外が皆、光出したからだ。みんな自分を光源のように使うのやめようね……


「ここの魔物はまずいぞ! レイスがいる!」


 カイリさんが叫んだ。魔物に気づかれない? 大丈夫?

 遠くの方に半透明の魔物が浮いている。目が赤くてちょっと不気味だ。


「あのお化けは強いんですか?」


「攻撃が当たらない、魔法で倒すしかないから戦いにくい相手だ」


 お化けには攻撃が当たらないらしい。


「魔法だったら……トレーラさんお願いできますか?」


 今回のパーティーで、唯一魔法を使えるトレーラさんにお願いした。

 トレーラさんのファイアアローはレイスを瞬殺、魔石だけが残った。


「レイスは魔石しかドロップしないんですね。あんまりおいしい魔物ではなさそうです」


 がっかりしながら魔石を拾おうと前かがみになった時、壁から新たなレイスが現れた。


「あぶない!」


 スピナさんが俺をかばうように前に飛び出した。

 そしてスピナさんはレイスの顔を掴んで床へ叩きつけた。


「……スピナさん、ありがとうございます。スピナさんはレイスを掴めるんですね。それは聖女の力ですか?」


 スピナさんもとっさに身体が動いたのだろう。自分の手をグーパーしながら魔石になったレイスを見ている。


「もしかして、魔力循環して光ってると攻撃が当たったりします?」


 それからの皆の行動は早かった、レイスを見つけ次第順番に攻撃を当てて行った。

 そう、当てて行ったのだ! 俺の予想通り、魔力循環して光っていると攻撃が当たるらしい。ただし、武器の攻撃が当たるのは魔力を武器に纏えるポッパーさんとカイリさんのみだった。他のメンバーは武器に魔法を纏えないので殴っていた。

 レイスの厄介なところは物理攻撃が効かない事だったらしく、攻撃が当たれば殴っても倒せた。

 そしてたまに赤い宝石のようなものをドロップした。レアドロップは赤い宝石か?


「皆さんの魔力循環の成果が出ましたね!」


 みんなの努力の成果が見られて、とても嬉しい。


「聖属性の特性でレイスに触れたんじゃなかった……」


 スピナさんはちょっと落ち込んでいるが、お化けを触れることが聖属性の特性だったら逆に残念だと思う。きっともっとすんごいことができる属性だと思っていたほうが楽しいだろう。


「聖属性には聖属性でしかできない効果があるはずですよ。お化けを掴める能力じゃ、全然すごくないじゃないですか。もっと別の可能性が有ったと安心しておきましょう!」


 いや、普通にお化けを掴めるってすごいんだけどね……みんなできちゃったから……


 しばらくはレイスを狩った。

 俺の周りから人が消えると、暗くて怖いのでトレーラさんには俺の近くに居てもらった。そもそも俺はレイスに触れられない。ここでは完璧にお荷物なのだ。


 レイスは本来魔法を使ったりする魔物で、魔力が強いらしい。

 みんな魔法を使われる前に倒しているので弱そうに見えるが、本来は魔法使いしか倒せないし、魔法使いの魔力や精神力に限界がある。長時間の戦闘はパーティーが疲弊して厄介で、強敵扱いなようだ。

 ちなみに魔石も魔力が多いためなのか、高品質だと聞いた。

 うちのパーティーに限っては前衛も倒せるし、おいしい敵扱いなのだが……食べ物がドロップしないからおいしくないけど。


 そして、1時間ほど進んでいくと大きな門が見えた。

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