67.第四回クラン会議を始めます
「それでは、第四回クラン会議を始めます。皆さん拍手~」
盛大な拍手とともに始まった、第四回クラン会議。
今まではパーティー会議と呼んでいたが、もうクラン会議と呼んじゃって問題ないだろう。
人員も増えてきたことだし、パーティーを分けたいところだが、いまいちどうやって分けたらいいのかわからない。もう少し様子をみることにしよう。
「今回の議題は最難関と言われる、ベイツの街近くにあるダンジョン探索です」
ちなみに、みんなの短期から長期の目標は、この4か月の間に個人面談で聞き取りしている。
ブレードさんは「スピさんさんを命の限り守る」なんて、ストーカーまがいの目標を立てていて困った。
「ダンジョン攻略メンバーはどうするんだ?」
ポッパーさんが質問した、ポッパーさんは相変わらず身体を動かすのが大好きだ。やはり一度身体が動かない苦しみを味わうと、身体が自由に動かせるありがたみとか出てくるのだろうか?
「今回はどんな魔物がいるか、時間はどれくらいかかるか、などの下見です。行きたい人みんなで行きましょう。行きたい方は挙手お願いします」
挙手をしたのは、カイリさん、ポッパーさん、スピナさん、クランクさん、ブレードさん、グスカートさん、トレーラさんの7名だった。
シャッドさんは、みんながいない間は宿の食堂で料理を作り、ナミさんやエメさん達は宿とクランハウスの留守番するそうだ。未成年組は大人たちから成人するまでは我慢しなさいと言われていたらしい。
「皆さんすでに相談していたのですね、それではこのメンバーで行きましょう。今回は下見なので無理はしません。ですが、戦闘にはなると思われます、武器や防具の手入れはしっかりしていってくださいね。食料は私が持ってます、もうすぐタケダがサーフで釣れだす季節なので、それまでには帰ってきたいので三日後に出発します。よろしいですか?」
よろしいようだ……
クランのメンバーには俺が金の力で武器をクラフトしている。皆の意見を聞きながら調整しながらクラフトしているのでなかなか好評だ。この世界から少なくない貨幣が消えてしまったのが心配だが、王様が何とかしてくれるだろう。
三日後の早朝、俺たちは大きな木へ向かって出発した。
毎日のギルドへの確認はエメさんとランドくんが引き受けてくれた。3日の間でスピナさんがどんなことをしているのか説明していたようだ。
「それでは俺は先に行って、イワナかヤマメ釣りをしているので、みなさん気を付けてきてくださいね。場所はクランクさんがわかっています」
そういって、俺は皆と少し離れた所から砂浜を爆跳した。
完璧に組織の連携を乱しているのはわかっているが、イワナかヤマメは遠くてなかなか釣りに行けないのだ。こういう時に釣らせてほしい。わがままなマスターでごめんなさい。
ちなみに俺の魔力は未だに循環しない、一応努力はしているのだが、なかなか頑固な魔力だ。そして、ギュッとした魔力をクラフトしても、魔力に色は見られないことから、俺の魔力は透明なのだろう。俺の心のように、とってもきれいな魔力をしているのだと思う。
「マスターは規格外なので気にしなくて大丈夫です。皆さん、魔力循環で強化し走りましょう!」
スピナさんが、唖然とする皆に大きな声で気合を入れているのが聞こえた。
春の渓流釣りというものはどうだったのだろうか? よくわからない。
ただ、わかったことがある、この時期のこの川は釣れない! まったくもって反応がないのだ。
爆跳してきた俺だが、爆釣はしなかった。しかたがないので、俺は今、河口付近で釣りをしている。
河口付近と言うのは、結構いいポイントなのだ。
あっちの世界だと汽水域にはスズキやクロダイの釣りができた。南の方に行くとクロダイそっくりのキビレっていう魚もいるんだっけ? そっちは見たことがないからわからない。
「お、キタキタ」
釣れてきたのは座布団サイズのヒラメだと思う。正直ヒラメとカレイの区別がつかないが、多分ヒラメだ。大きなヒラメは座布団サイズと言われるのだが、このヒラメのサイズは1m以上はある、座布団って言うよりはカーペットと言うかなんていうか……エイでなかっただけ嬉しい。エイは尻尾が凶器だから怖いんだよね。
でっかいヒラメを3匹ほど釣り上げたところで、みんなが到着した。ちなみに3匹中1匹のヒラメはクラフトで刺身にし、トラとおいしく食べた。やっぱり醤油があるといいね。あと、クラフトで捌くと寄生虫が消えるようなので便利だ。生き物が入らないマジックバックで何回も実験したから間違いない。
みんなが到着したところでお昼休みだ。
皆にもヒラメをご馳走した。おおむね好評だった、ポッパーさんは剣にヒラメの切り身を串刺しにして炎を纏わせ焼いていた。あきらかに能力の無駄遣いだと思う。




