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66.春が来た

 ブレードさんがクランに加入して4か月がたった。


 冬の間は、訓練と流木拾いに精を出した。

 冬の海は結構荒れるので流木が豊作だったのだ。これでクランハウスや土地の開発に困らないだろう。


 訓練と言えば、ブレードさん達は身体強化有りだとランドくんや、ナギちゃんにも勝てなかった。

 やっぱりあの光る身体強化は普通の身体強化と何かが違うらしい。ただ、彼らにも非常に助けられたことがある。


 それは、彼らの戦い方がとても洗練されていたことだ。

 身体強化無しだと、ブレイドさん・グスカートさんはカイリさんとポッパーさんといい勝負をしていた。

 それがわかってからは、身体強化無しで剣術の型……素振りと言っていいのか? それの訓練を取り入れた。

 型の先生はブレードさんだ、聖騎士としてみっちりしごかれたブレードさんは、お手本のような剣の振り方をしていると、ポッパーさんが言ってた。


 ブレードさんには、型の動きを一つ一つ丁寧に教えてもらえるようお願いした。

 上段からの降り下ろした場合、どこで構え、どこで止めるのか……

 下段からの降り上げはどこまで上げるのか、横薙ぎでは……

 など、一つ一つの型を分解して説明してもらっている。


 ちなみにこの素振りには俺も参加した。剣術なんて全くのド素人だからね。

 今まではクラフトのインチキで何とかしてきたけど、将来何かの役に立つかもしれない。


 この素振りだが、最初はあまり評判が良くなかった。

 剣の形が皆違うのに、同じ振りをしていて意味があるのかと不安の声が上がった。


 うん、実は俺も不安だ! でも、型は昔から剣を使う人達の知識の集大成だと思うのだ。例えば上段から下段へ振り下ろす場合、最初と最後の剣の位置というのは長年の経験と知識の集大成だと信じている。


 短剣だと違うのかもしれないが、剣と大剣の場合は初速は剣が早いが、振り下ろした時の衝撃は大剣が大きいだろう。剣で大剣並みの衝撃を求めれば、もっと大きく振り下ろさなければいけないが、振り過ぎればその後の動きに悪影響が出ると考えられる。大振りがかわされた後に対応できなければ死が待っているだろう。


 みんな型を練習し、それを基本にして各々の武器に応用していけばいいのだ。もしかしたら、将来今よりもっと洗練された型が我がクランから派生していくかもしれない。というか、そうなって欲しい。


 4か月の修行の成果だが、それはそれは絶好調だ。みんな間違いなく強くなっている。

 みなの動きが統一されてきたせいか、連携までばっちりだ。そろそろ春、ミドリ草の採集も必要だし、大きな木の奥にあるというダンジョンに、挑戦してみたいとメンバーにも話してある。


 みんな自分の腕試しができると前向きだ。

 ちなみに新規メンバーの魔力の色が判明した、ブレードさんが白色、グスカートさんが茶色、トレーラさんが赤色だ。最近の女湯のお湯当番はトレーラさんが訓練を兼ねてやっている。エメさんは、ナギちゃんとナミさんがクランハウスに来た時に沸かしているようだ。


 ブレードさんの魔力の色が白色だというのにはビックリした。彼も聖属性のスキルを持っていたりするのだろうか? 武器にまとわせれるようになったらどんな効果があるか非常に楽しみだ。




 先日王都より騎士様がいらっしゃった。壮年のダンディな騎士様だった、名前は確かペレさんといったかな? ペレさんが一人でクランハウスに尋ねてきたので始めビックリしたが、できるだけ目立たないようにという、王様の配慮からだそうだ。ちなみにペレさんはかなり強いらしく、ポッパーさん達が全く歯が立たなかった。


 今回もポカリエスを100個、秋に採取していたミドリ草でクラフトしたのを売った。あと、ペレさんにはおまけでクランクさんのポーションも渡した。

 実は、クランクさんの緑の魔力だが、ポーションを作るときに有用なことがわかった。なんと、クランクさんが魔力をギュッとして手を突っ込むと、今までミドリ草が1本分程度しか溶けなかったのが、5本分も溶けたのだ。効能はよくわかってないので、多めに渡してペレさんに確認してもらうことにした。

 もちろん作成方法は企業秘密だ、なんてったってクランクさんの手が突っ込まれているポーションだ、知られてしまったら誰も飲まなくなってしまうだろう。




 ハスンの村や、周辺の朝市に来る農家の方々には、大豆と米の増産をお願いした。

 買い取り金額を上げてあげたいところだが、価格を上げると飼料価格が上がってしまう。家畜を育てている人たちが困るだろうと思い、値段はそのままにした。ただし、できたらできただけ買い取る約束をしたら喜んでもらえたので、これで良かっただろう。


 シャッドくんは、年をまたいだのでシャッドさんになった。クランハウスの料理人として大活躍だ。ギルドからも芋を入荷し、しかもクランの土地での栽培の許可まで勝ち取ってきた。実に優秀だ。

 ギルドからもらってきた種芋は俺のクラフトで改変した。見た感じ何も変わってないので育ててみないとわからないが、ジャガイモになっていてくれると嬉しい。

 シャッドさんは芋を植えて育てると張り切っている、自分の魔力の色は茶色、茶色は土に関係があるのではないかと考え、最近は畑予定地の土に手を突っ込んで何やら頑張っている。予想が当たっているといいね……


 現状はこんな感じだ、春だし新年度の事業を始めよう。

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