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60.イカはイカが?

 俺は今、クランハウスに戻ってきた。


 イカ釣りを満喫し、訓練場に戻るとみんな休憩所でまったりしていた。俺待ちだったようだ。

 クランハウスに戻るときに、ある大問題にぶちあたった。それは、帰りに馬車を使うとシルバーが泊る場所がないのだ。まさかの計算外だ!


 ちなみにシルバーは厩舎に一頭残されても、水と食料があれば快適だと言っているとトラが教えてくれた。でも毎日誰か厩舎に行かないと、シルバーが飢え死にしてしまうのではないか? 近いうちに厩舎に面して牧草地を作らなければいけない気がした。


 それはそうと、馬車問題だ。歩いていったら俺だけみんなに置いていかれるのは間違いないだろう。それと、ナミさんは元冒険者だから大丈夫だとしても、ナギちゃんも帰れないだろう。


「俺が引いていこう」


 馬車を目の前にウンウン唸っていると、ポッパーさんがまたしても脳筋発言をしてきた。

 いや、助かるよ? すごーく助かるんだけど、人力車感覚で馬車を引かせるのはいかがなものか? 絶対にあそこのクランはやばいぞって噂されるに違いない。


 と、思っていたが結局俺はポッパーさんの人力車に乗って帰ってきた。


「いい訓練になった」と、ポッパーさんが満足そうなのが怖い。




「カイリさん、イカはいかがですか?」


 そう言って俺はマジックバックからイカを1杯厨房に取り出した。いっぱいじゃなくて一杯だからね!


「おい、まさかそれを食うのか?」


 この世界では、イカは食べたことがない未知の生物だったようだ。


「ちなみに、これって名前あります? 俺の記憶ではイカなんですけど?」


「いや、聞いたことがない。漁師もそいつは捨てているだろう」


 食べたことないどころか捨てられていたのか、残念だね、おいしいのに。


「イカは焼いたりフライにするとおいしいんですよ。焼くには調味料が足りないのでフライにしましょう。食堂の秋限定メニューにするのも有りですね! 頑張って毎日釣りますよ」


「そいつも釣れるのか、何でも釣るんだな」


「趣味ですからね」


 そういって、イカの捌き方の説明をする。


 実はイカをさばくのにあまり包丁は必要ない。まず、指を突っ込み内臓と胴部分を剥がす。こっちのイカはでかいから指と言うよりは手を突っ込む様な感じになってしまったが……

 胴部分を剥がしたら、足を引っ張ると内臓と一緒に抜けてくるので、そのまま引き抜く。

 内側に軟骨が通っているので、胴をめくりながら軟骨を剥がす……のだが、大きくてめんどくさい。あとでカイリさんに工夫してもらおう。めんどくさいので軟骨に沿って縦に切れ目を入れて軟骨を取った。

 あとは、皮を剥いで胴部分の下処理は終了。


 ゲソ部分はかなりグロテスクだが、捨てるのはもったいないので調理してもらおう。シャッドくんもいるし、何とかなるだろう。まず、内臓を切り取る、内臓部分も食べれる部分もあったはずだが、精巣だったかが危なかったはずだ。


 あと、内臓には寄生虫も多い。イカだけだはない、肉食の海の魚には基本寄生虫がいる、寄生虫は寄生した宿主が死ぬと筋肉に移動するのだ。だからイカの刺身は切れ込みを入れたり、ソーメン状にして寄生虫を殺す。刺身も薄く切って寄生虫が居ないか職人さんは確認しているのだ。近年映えるように厚切りの刺身は、長時間冷凍でもしていない限りリスクが伴う。寄生虫で有名なアニサキスは数時間冷凍したくらいでは死なない。新鮮な魚だと大丈夫と言う人もいるが、新鮮だからこそ寄生虫の心配はするべきだと俺は思う。最近は〆てすぐの魚の筋肉にも、アニサキスが居たのを俺はこの目で見ている。ちなみに加熱すれば寄生虫は死ぬので、心配なら加熱一択だ。


 話がそれてしまった、カイリさんとシャッドくんに生の魚の危険性を説明しながらゲソの捌き方の説明を行った。まぁ、目玉とクチバシを取って、でかいので吸盤をナイフで削ぎ落すくらいだが……


 あとは、ちょうどいい大きさに切って素揚げだ。ゲソもかなりのでかさなので、一本づつ揚げたりした方が良いかもしれない。

 一切れ揚げて塩を振って食べる。ソースとか醤油も欲しいが塩しかないのだから仕方がない。でも、新鮮なイカのフライはうまい。

 始めは嫌がっていた二人だが、食べたら好評だった。秋の新メニューが決定した。


 そういえば、油の為に大豆を仕入れに行かなければいけないな。いや、そもそも味噌の為の大豆なのに油にしか使ってないじゃん。土地を買ったんだし、大豆も育てないと消費量が追いつかなくなってしまうかもしれない。


 じいちゃんの芋汁の為に、ジャガイモ・人参・タマネギ・牛肉・味噌か……先は長そうだ。王都で味噌以外のものを探してくるべきだったかもしれない。ひとまず明日はハスンに行って大豆を仕入れよう。

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