44.お湯魔法を持った人材が欲しい
キリが悪いので分割します。いつもより少し短いです。
王都での晩御飯はすごかった、さすが貴族御用達の宿だ。すっごい量がでてきたのだ。ちなみに宿には食堂はない。部屋にある大広間での食事だ。
味は悪くはなかったのだが、この世界にはダシの文化はないのだろうか? 見た目が高級になっただけで、カイリさんの料理と対して変わらなかった。
「カイリさんが作った料理の方が、おいしいまである……」
「わかるか? 俺は王都で料理の研究をしたからな!」
値段を抑えるために食材に制限があるが、カイリさんの料理の腕は相当なものらしい。
あの値段で王都レベルの料理を作れるなんて、カイリさんやべーな。
それにしても量が多い、トラが食べてもまだまだ残ってる。
「なんかもったいないですね。マジックバックに入れちゃおうかな」
「「「ちょっと待って(ください)」」」
三人からちょっと待ったコールが起こった。
どうやら料理は、残しておかないと足りなかったと勘違いされて、次回からさらに量が増えるそうだ。なんか田舎のお母さんみたいな発想だな。さすがに宿の料理人と大食いバトルを繰り広げる気はないので、もったいないけど残した。一応手がついてない料理は、宿で働いている人が食べるからあまり無駄にはならないらしい。宿の従業員がどれくらいいるかわからないが、貴族がいっぱい泊まったら大変なことになりそうだ。
「料理人をパーティーメンバーに迎えたいですね。料理の改善をしたい」
ぼそっと言ったらカイリさんが喰いついた。
「この料理よりも旨い料理を知っているのか?」
旨いかどうかって言われると自信がないけど、なんか物足りないんだよなぁ。
「旨いかどうかは好みがあると思うのですが、俺は物足りないです。うまくできたらカイリさんだけに、特別に調理法教えますよ」
うまくいったらね!
「そうか! シロギスフライもうまかったからな。頼むぞ!」
カイリさんはもう冒険者じゃなくて料理人よりなのね。カイリさんは自分の店を持っているから、料理の実験に付き合わせるのは気が引ける。今回の護衛は異例だと思っている。でも、料理人が見つからなかったらカイリさんにお願いしようかなぁ。
「冒険者ギルドに行くとパーティーメンバーって見つかりますか? 料理人を含めてですが、もっと人材を増やしたいです。ポカリエスである程度の資金は確保できそうですし、いい機会だと思うんですよね」
「料理人はわからないが、料理に興味がある冒険者はいるだろう。俺がそうだしな……明日行ってみるか?」
んー、釣りに行きたいんだけどな。
「釣りは逃げませんよ」
クラフトさんに指摘される。
いや、逃げないかもしれないけど釣りから離されてるんですよ、あなた達にね!
明日はクラフトさんが留守番で、冒険者ギルドに行くことになった。カイリさんは護衛としてついてきてくれるらしい、護衛設定はまだ生きていたのか。
俺は今、お風呂に入っている。
この世界のお風呂は水風呂らしい、夏なのに寒い。ゆっくり浸かりたいが、寒くて入ってられない。明日お湯を出せる冒険者を探そう。お湯魔法とか持ってたら即採用しよう。そしたらベイツの村でお風呂屋さんを開こ、。きっと繁盛するはずだ。
あとは石鹸も欲しい、この宿にないところを見ると石鹸的なやつはないのだろう。異世界はないものだらけだな。もう少し人が増えたらいろんなことに挑戦していこう。
そんなことを考えながら、俺は日課の魔力循環を行うのであった。




