表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/157

29.第一回パーティー会議をはじめます!ハイ拍手~!

誤字報告ありがとうございます。

すごく助かります。

 晩御飯は三人で食べた。俺とトラが並んで座り、対面にスピナさんだ。

 スピナさんには宿の食事量は多すぎるようで、半分くらいで手が止まった。痩せてるから胃も小さくなっちゃったのかな? 俺でも満腹になるくらいの量だ、元から量が多いの売りの宿なのかもしれない。

 残った料理はトラが食べるから大丈夫だよ、と伝えたら「トラさんよりも小食なんて……」と落ち込んでいた。実際のトラは、めちゃくちゃでかいから気にする必要はない。


 そうだ、確認したいことがあったんだ。「ゆっくり食べてていいよ」とスピナさんに伝え、エールが入ったジョッキを片手にカウンターへ向かう。ここからだとカイリさんとの会話が可能なのだ。


「カイリさん、今日のお昼にギルドの食堂で芋汁を食べたんだけど、カイリさんも芋汁作れる?」


「なんだ、芋汁が気に入ったのか? めずらしいな。でも、俺は作れない、芋に毒があるから許可がない人間は買えないんだ」


 あぁ、そういう感じね。ジャガイモの芽には毒があるのは、あっちの世界では子供でも知ってる。この世界では知られてなかったのかな?


「じゃあ、味噌は買える?」


「ミソって、あのスープの味付けに使うやつだろ? 癖があるからなぁ、売っているのは見たことがないな。気になるのか?」


 スピナさんが言うように、お金に困っている人専用の食事で好んで食べる人は少ないらしい。


「あの芋汁って、思い出の味に似ているんですよね。再現してみたいと思ってるんです。ちなみに大豆って売ってますか? 乾燥した豆なんですけど」


「芋汁を再現ねぇ、芋の許可を取るところからだな。豆は何種類か朝市に売ってるぜ。明日見に行ってみるといい」


 朝市か、そういえば行ったことがないな。明日スピナさんを連れて行ってみるか。スピナさんならいろいろわかるだろう。


「ありがとうございます、ところでパーティー会議をしたいのですが、女性を部屋に誘っていい物なんですか?」


「なんで明るいうちにしないんだよ、食堂が空いていない時間とかあっただろ! パーティー内では問題なくても周りからの目があるんだよ! 変なことにこだわるくせに、なんで当り前のことができない」


 なんかめっちゃ怒られた、ごめんなさい。

 食堂のテーブルはさすがに無理か、稼ぎ時だもんね。




「ナミ! ちょっと一部屋空けてくれ、アタルはイスを持っていけ! 扉は全開でやれよ!」


 カイリさんの機転で一部屋使えることになった。

 階段を上がってすぐの部屋、扉を全開にすると一階の食堂が少し見える。


「ナミさんありがとうございます」


「女性の冒険者は少ないから、注目浴びちゃうのよね。次は時間外の食堂使うといいわ。でも、聞かれちゃまずい話とかもあるものね。前もって言ってもらえれば、この部屋を準備しておくわ」


 あぁ、聞かれちゃまずい話もある可能性が有るから、食堂から追い出されたのかな?でも、扉全開だったら秘密も何もないと思うな。


 スピナさんの食事も終わり、残った分はトラが食べてくれた。異世界の猫には好き嫌いはないらしい。




「第一回パーティー会議をはじめます! ハイ拍手~!」


 パチパチパチ……拍手したのは俺だけだった。しかたがない、一回目だからな。

 イスは二つ、トラは俺の膝の上で箱座りしている。寝ないってことはちょっとは気にしてくれているのだろう。


「それでは、各自目標を考えてください。出来れば、短期、中期、長期の目標があるとなお良いです。考え付かなかったらひとまず一個でいいですよ」


 やはり目標は大事だ。個人としても、パーティーとしても。


「すみません、目標ってなんですか?」


 お、質問ですね。わからないことはどんどん聞くがいい!


「良い質問ですね! 目標は将来やりたいことです。今はできていなくてもやりたいこと。これがはっきりしていれば目標の為になにをやればいいのかがわかります。今回は目標を決め、そのために何をするか話し合うためにパーティー会議を開催しました!」


「なんとなくわかりましたが、私には聖魔法を使えるようになるということしか考えつきません」


 ちゃんと目標はあるね。オッケーオッケー。


「いきなり考えても、なかなか出てこないものですよ、長期の目標をそれにして、次回のパーティー会議までにゆっくりと考えてみてください」


「……わかりました」


 魔法は急に使えるようにならないからね……俺なんか魔力すら動かないんだから。


「ちなみに俺の目標を発表します!一応聞いて共有してください」


 そう言って俺は今考えている目標を、スピナさんとトラに説明した。


 短期目標:生活基盤の安定。現在の家の修理の仕事とミドリ草の採集、あと、わずかな収入だけど魚の販売。家の修理は先細りは確定なので新しい収入源がほしい。


 中期目標:パーティーメンバー増員、二人ではさすがに冒険は難しい。は夜の番すらままならず、早々に寝不足で崩壊するだろう。だからせめてあと二人は欲しい。ただし、この街には冒険者はいない、そこまで急がなくてもいいだろう。


 長期目標:人材育成。俺の職業は管理職、人材を育て最終的にはクランを作りたい。複数パーティーを持つには一人では無理だ。リーダーになれるような人材を、出来るだけ多く育成したい。できれば勧誘ではなくて育成したい。


「……いろいろ考えているんですね」


 スピナさんは感心しているようだ。さっきまでボッチだったけどな! 目標はでっかくだ! ただ、短期の目標はできるだけ小さくしないと、つまずいてしまうから小さくだ。俺の場合、短期目標を達成しないと生活ができなくな、りホームレス生活になってしまう。かならず達成しなければいけない。


「スピナさんは記念すべき最初のパーティーメンバーです。たくさん学び、後輩ができたら教えてあげてくださいね。あ、俺の悪い所は教えなくていいですからね!」


 言ってないが、クランができて軌道に乗ったら俺は釣り三昧生活を送るのだ!

 海辺に家を建てよう! 歩いて10歩で釣りができる場所に!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ