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23.ミドリ草採取とポーション作成

 俺は今、クランクさんに教えてもらったミドリ草採取ポイントに向かっている。


 クランクさんは、やはりいい人なのかもしれない。

 ミドリ草のポイントを、北とか西とか言わずに教えてくれたのだ! はっきり言って方角を言われても良くわからない。ただでさえ東と西が怪しいし、この世界の北がどっちだかもわからない、自慢じゃないが俺は方向音痴なのだ。

 ベイツの街にくる時だって、ドラッシェン様の島から流れ出た河口からまっすぐ進んできただけだ。なので、わかりやすい目印は大歓迎だ。

 クランクさんの採取ポイントは、海岸側の門からまっすぐ行った先にある川を遡り、大きな木の周辺らしい。実にわかりやすい!


 それにしても……1時間は歩いていると思うが川が見えない。どういうことだ? そういえば距離を聞いてくるのを忘れていた。もしかして、日帰りできない依頼なのか?


「川が見えないな……」


『川の音も聞こえないニャ』


 まずい、いくら早朝に出てきたとはいえ、このペースだと夜飯に間に合わなくなってしまう。それはあまりにももったいない!


「トラ、俺を乗せて走ってくれ!」


『ネコには乗れないって決まってるんだぜ!』


 くそ! お決まりのつっこみをされてしまった。しょうがない、奥の手を使うか。


「しょうがない、身体強化で走る!」


 そう言うと、トラは俺によじ登り首に巻きついた。

 人にネコが乗るのはいいのか……いや、こないだこうしろって俺が言ったんだった。




 ドゴッ! ドゴッ! と爆音を立てながら俺は進む。

 俺はまだ、うまく身体強化を使うことができないのだ。グルグル廻してギュっとした魔力をクラフトし、ドンとして使っている。クラフトだとやれるのに、どうして魔力を感じられないのか不思議で仕方がない。

 今回は波打ち際を走っている、多少えぐれても、波の力でそのうち元に戻るだろう。それに湿った砂や石は舞い上がりにくい。音以外で人に迷惑を掛けることは無いだろう。

 たまに波を踏むとバランスを崩しそうになるので、捻挫が心配だ。依頼中にケガをしたら労災は出るのだろうか?


 15分ほどで川が見えた。あまり大きな川ではないが、クラフトさんが言っていた川はこれだろう。そうでなければあまりも遠すぎる!

 っていうか、クラフトさん、自分が知っている一番遠いポイントを教えたんではないだろうな? 実は街の近くにいっぱいありましたー! とか言われたら家出するぞ! そうなったらベイツの街トップの冒険者が居なくなるんだからな! ベイツは大打撃だぞ!


「さて、海と違って川は爆散させると生態を崩しそうだな……」


 俺は釣り人、自然を愛す男だからな。自然には、とっても優しいのだ。それに目視できるところに大きな木がある、目的地はあそこだろう。俺は木を目印に川沿いを進んだ。


 ここら辺は汽水域になるんだろうけど、水深も川幅もないな。川も穏やかだ。

 大きな木の周辺位まで行くと、どんな魚がいるんだろう? まさかこんな川にまでタケダが侵入してきたりはしないよな?

 あっちの世界では、シーバスは淡水でも生きられる。海から50㎞も離れた川でシーバスが釣れたという話も聞いたことがあるくらいだ。水門がなければどこまでも行けてしまう魚なのだろう。

 この世界のタケダにはそうなってほしくない。タケダもうまいが、淡水魚もたまには食べたい。イワナとかヤマメとかの塩焼きは最高だからな!




 大きな木の近くまでたどり着いた。

 河口から歩いて1時間ってところか? 川はかなり細くなったが、雰囲気的にはイワナやヤマメが釣れそうだ。でも今日の目的はミドリ草。まずはベイツ筆頭冒険者として依頼をしっかりこなそう。


 大きな木の周りにはミドリ草がたくさん生えていた。さすがヨモギっぽいやつ、誰も来ない秘境なのか、結構な背の高さまで伸びている。さっそく採取しよう!

 でもそのまえに、移植ベラが必要だな。俺は残念ながら出番がなくなったステンレスのナイフをクラフトし、移植ベラに作り替える。柄の部分が青いプラスチックの、可愛らしい移植ベラが出来上がった。子供が欲しがりそうだ。


 ザックザックと掘り、土をはらって10株毎に木に巻き付いていたツルで縛り、マジックバックに収納していく。数か所で同じことを繰り返したが、まわり一面ミドリ草だらけだ。増えすぎじゃないか?

 かなりの量を採取できたので、自分でもポーションをクラフトしてみることにした。


 まずは必要な物を確認、ポーションにはミドリ草と精製水が必要のようだ。たまにはクラフトの必要材料検索機能が役立つじゃないか。あと、容器? なるほどなるほど。やっぱり大雑把すぎて使いづらい。

 じいちゃんのポーションを取り出してみると、ガラスのような容器に入れられていた。ガラスだったら、そこら辺の砂で行けるんじゃなかったっけ?

 俺は川に向かい、川底の砂を手に取りクラフトし、じいちゃんのポーションと同じ形の容器を作った。


「これで問題ないでしょ」


 あとは容器に川の水を汲みクラフト。精製水ができた……と思う。見ただけでは違いがわからない。


 右手に精製水、ミドリ草の束を左手に持ち、こころに優しく、俺はクラフトを使った。


 できた緑色のポーション。青汁みたいな色をしている、ケガもしてないのに味見はしたくない……じいちゃんのポーションと比べてみても同じ色だし、問題なく作ることができたとおもう。

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