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139.対処法

あけましておめでとうございまず。

今年もよろしくお願いします。


元日の更新抜けちゃいました、ごめんなさい。

「忘れてましたけど、シェンさんとトラ、俺がやばくなったら助けてね」


 俺は2人にこそっとお願いした。危ない危ない、即効性の毒だったらやばかったな……いやー、危険が危ない。


『それくらいで死なないから大丈夫にゃ』


「うむ」


 まさかの2人とも助ける気はなかったらしい……




「……この手の毒は、お湯でしばらく温めると解毒できます。熱に弱い毒なんですよ。とわいえ、人間は熱湯では火傷してしまいます。なので、お風呂のお湯につけていれば軽症なら問題ないでしょう」


「それではお湯を準備します!」


「ちょっと待ってください、実はちょっと実験したいことがあるんです」


 お湯を準備しに向かおうとするクランクさんが立ち止まり、ギギギっとこちらを向いた。


「毒を受けたまま実験……」


 なんか、「コイツ正気か?」っていうような眼を向けられているが、俺にも考えがあるのだ。


「実は、毒を定期的に摂取すると免疫……いや、耐性ができることがあるんですよ。それが得られる毒なら、耐性を得られて毒の心配もなくなりそうだなと思いまして……」


「耐性……」


 この世界はスキルがあるし魔法もあるのだ、耐性だってスキルでありそうだ。っていうか、今更だが、俺以外にスキル持ってるって言ってるのは、スピナさんと魔法を使えるトレーラさんくらいしかわからない。

 スキルを詮索しないルールは分かっているのだが、みんなどうやって確認してるんだろう?


「ちなみに耐性のスキルとかあるんですか?」


「スキル……ですか?」


 そう、スキルだ。別に免疫ができるならスキルは関係ないのだが、こっちは異世界だからスキルが存在する可能性がある。


「というか、みなさんスキルって確認するんですか?」


 せっかくだからクランクさんに聞いてみた。あぁ、手がじんじんするぞ……


「スキルは教会で調べてもらえます。ですが、寄付金額が高い為、平民は調べずに自分に向いた仕事をするうちに、なんとなくスキルの種類を把握していきます」


 あぁ、みんなこんなスキル持ってそうだなっては思っているけど、暫定な状態なのね。だからギルドも職種を聞いて登録するのか……なんとなくわかってきた。


「スキルを調べる方法は教会のみなんですか?」


「そうです、王都にある教会にスキルを鑑定する魔道具があります」


 鑑定の魔道具ね……そういえばドラッシェン様が鑑定持ちだったな。調べてもらえばよさそうだけど、訓練の指導をしても、スキルのことを言っているのを見たことがない。きっと能力を見せる気はないのだろう。


「そうなんですね、魔道具作れればいいんですけどね。どんなものだかわかりますか?」


「スピナさんに聞いてみてはいかがでしょうか?」


 あぁ、言われてみればそうだ。協会にいたんだから現物どころか、どういうものなのかも知っているに決まっている。


「そうですね、そうしましょう! ところで……ちょっと痛くなってきたんでお湯お願いします」


 そうなのだ、ちょっと……いや、結構痛い。さすがに耐性も免疫もそう簡単に得ることはできないだろう。ちょっとずつ慣らしていかないとな……本当に耐性ができるかは不明だが、自分で試す分には問題ないだろう。せっかくだから本当にお湯で良くなるかも試さないとな。


 手をお湯に入れながら雑談すること1時間くらいだろうか? こっちの世界だと半刻で痛みは引いた。魚の形が似ていると毒の性質も似るようだ……いや、海の魚はお湯では生きられない、そもそもそういう風にできているのかもしれない。


「予想通りお湯で治療が可能なようです。これからこの魚の漁が始まります。漁の作業中はもちろんですが、解体中にケガすることも考えられます。万が一刺されたときはお湯で温めるように周知が必要ですね」


「そうですね……私は人を殺める毒ばかり考えていたのであまり考えが進みませんでした。まずは、現在食べないようにと言われている植物などから研究を始めようと思います」


「それはいいですね! 実はこの魚、毒があるのに食べるとおいしいんですよ! 毒が無くなればおいしいものもあるかもしれません。毒がある植物を手に入れたら俺にも教えてくださいね!」


 俺はカサゴだかオコゼだかわからない魚のフライを、クランクさんにお裾分けしてクランハウスに戻った。







「くぅぅぅぅ、ぴりぴりするぜ!」


「ポッパーさん、マスターには内緒ですよ。バレたら心配されてしまいますので」


「そうだな、それにしても毒の耐性か。冒険者には毒につえー奴が実際にいる。これは試さないわけにはいかないだろう?」


「あぁ、調理中に刺さって料理できなくなったら大変だからな。何なら味見も心配しなくていいじゃないか。料理人に耐性は必須だ!」


「カイリさんに賛成です!」


「私たちも漁中にケガして、帰ってこなくてよくなるのはうれしいですね」


「ぶはは、耐性ができたら潜って獲ってきてやらぁ!」


 ベイツの街の公衆浴場で、新たな試みが始まった報告はマスターには上がってこなかった……

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