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130.鍛冶師がいない問題

 重大なことが判明してしまった。


 何が重大かって、うちのクランには鍛冶師がいないことが判明した。というか、ベイツに鍛冶師がいない問題が判明したのだ。


 どうやらベイツの街で金物を作っていたのは、現在クランハウスが建っている周辺に住んでいた大工さん達だったらしい。その時に作ってもらった刃物とかを使って今も生活しているそうだが、このまま不在のままというのも問題があるだろう。


 しかし、今更大工さんを呼び寄せても、ベイツの街の建物は大方俺がクラフトしなおしてしまった。だから呼ぶなら専門の鍛冶師さんがいいだろう。

 だが、今すぐ必要かといわれると実はそうでもないのが現状だ。なぜなら、材料さえあれば俺が作れるからだ。なんなら材料の方が無い! 今までは金の力で……いや、金の質量で何とかしたが、外貨を稼がなければベイツの街で流通する貨幣が無くなってしまう。


 現在サラさんのお家がやっているカーボロッド商会へ金属などの資材を発注しているが、いつやってくるのだろうか?


 まぁ深く考えても仕方がない、資材が届いてから鍛冶師を育てよう。そもそも、職に困っている人を集めたのだ、職人がいなくても当然だ。あとは職人を育ててくれる人材が必要か……どうしようかな。




 俺は今、サーフにてショアジギングを楽しんでいる。

 じいちゃんのママチャリのおかげで俺の移動範囲は格段に広がった。移動範囲が広がったということは、俺の釣りに行ける行動範囲が広がったということだ。船釣りも大物が釣れて楽しいが、今の旬はタケダだ。もう少ししたらキスのシーズンになっちゃうから今のうちにタケダを満喫するのだ。


 別に仕事を放棄しているわけではない。釣りをしながら今起こっている状態を整理するのだ。現状を整理し、これから何をするか決めるときに釣りをするのはなかなかいい。大きな海を見て、波の音を聞き、リラックスしながら考えるとなにかいい考えが浮かぶ気がする。

 ただ、この世界のタケダはデカすぎる、タケダがかかってファイトするとまとまりかけた志向がどっかに飛んで行ってしまうのが玉にきずだろうか?


 ようするにタケダが爆釣で良い案は浮かばなかった。やっぱり俺一人で考えてもだめだな。今の俺には優秀なクランメンバーがたくさんいる。みんなに頼ろう! 絶対にそれがいい。




 タケダをカイリさんの宿に卸し、俺はクランハウスに戻ってきた。

 マスター室ではサラさんが部屋の掃除をしてくれていた。あんまり使う部屋ではないので俺はあんまり掃除をしない。掃除というものは、部屋をきれいにするほかに、掃除をしながら異常がないか点検をする意味もあるのだが、そもそもこの部屋には異常があって困るものもないからさぼってしまった。サラさんありがとう!


「サラさん、ありがとうございます。埃たまっちゃってましたか?」


「いえ、手が空いたので掃除をしていましたわ。この時間にここに来るのは珍しいですね」


 そうだね、いつも釣りをしたりなんだりして外を飛び回っているからね。俺も忙しんですよ……


「街を見ていろいろ考えていたんですよ」


「そういえば、船を作ったと聞きましたわ。 国外へ興味があるのですか?」


 うんうん、誰かは知らないけど、ホウレンソウはしっかりされているようだね。俺には今のところサラさんに話した報告はないけど……っていうか、俺は国外に興味を持ってないんだよね。


「いえ、ただ沖の方で釣りがしたかっただけですよ。沖には大きなブリがいるようです。ブリもおいしい魚ですのでベイツの街に特産品になりそうですよ」


「そうなんですね、承知しましたわ。ブリしゃぶ楽しみにしてますわ」


 食べ方まで報告されてるじゃん!


「そうですね、先日は時間がなかったので1匹しかつれなかったので。次回はお土産いっぱい釣ってきますね。ところで、この街に鍛冶師がいるかご存じですか?」


 サラさんにはクランのメンバー含め、この街の情報の整理をお願いしている。俺は方向音痴だし、都市のせいか人の名前を覚えられない。特に美男美女は同じ顔に見えてしまうのだ。髪の色が違わないとはっきり言って間違える自信がありまくる!


「鍛冶師ですか……たしか、引退した元鍛冶師がいたはずですわ。高齢になり、腰を痛めてしまったとおっしゃっていましたわ」


 お、何だいるじゃん。これはポカリエスで治して頑張ってもらうべきだろうか? いや、本人がやる気がないのなら無理に現役に戻すのはよくないな。話し合って聞いてみよう、できればだれか見込みがいる人がいたら技術を教育してもらえると嬉しい。


「おぉ! いるんですね。ぜひその方に若手の教育をお願いできないか聞いてみたいです。近いうちに面談できるように調整してもらえますか?」


「わかりましたわ。できるだけ早く調整いたしますわ」


「おねがいします!」


 お礼はしたものの、俺の頭の中では鍛冶師さんにどんな釣り具を作ってもらうかでいっぱいだった。やっぱりメタルジグは必要だし、竿とか作れないかなー。

 あ、武具のことも忘れていないよ。俺のは弟子さんができたら練習用で作る用で……

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